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第7話 揚陸

「ふふふ、いよいよ到着ですね。」




「今日は何か機嫌がいいね。何か良い事あったの?」




「はい、私はいつもお留守番でしたからこうしてレオルド様と旅をするのが夢だったのですよ。」




「確かにそうだな・・・・・・」




 多くの領民に見送られながら、テラトスタを出港した俺が率いる第一艦隊とイレーナ率いる第三艦隊は、リバスタでの補給を終え、ついに目的地を目視した。




「レオルド様、前方およそ10km地点に目的地と思われる島が見えます。」




「どうだ船員諸君、現在地はしっかりと把握できているか?」




「どうでしょうか、レオルド様。」




 俺は、渡された海図を眺める。


 そして、考えるふりをした。




 どう?あってる?




【はい、私の予測とほぼ一致しております。縮尺を考えれば、合格点だと思われます。】




「合格だな。俺の予測とほぼ合致している。腕を上げたな。」




「はっ。ありがとうございますっ!」




 今回、『春雨』の艦橋にいた船員達にはあるミッションを与えていた。それは、毎日正午に現在地当てクイズを行う事だ。


 航海において最も重要な事の一つに、現在地の把握がある。星の位置や羅針盤などを用いて、現在地を知る事は必須だ。そのため、この場を使って訓練を行ったのだ。


 結果は上々、これならば本番でも上手い立ち回りが出来るかもしれない。


 後は・・・・・・




「作戦行動中の全ての揚陸部隊に、伝達。プランAの実行準備を進めろ。」




「はっ。」




「レオルド様、本艦はどういたしますか?」




「俺たちは予定通り後方で待機だ。観測班は、しっかり観察して問題点を洗い出せよ。」




「「「はっ。」」」




 俺の指示で、船員はそれぞれ行動を開始した。


 今回の航海における2つ目のミッションそれは、強襲上陸からの拠点設営だ。


 今後、想定し得る事なので、軍事演習をしておこうという話だ。既にデュークス男爵家には話を通してあり、軍港の建設地帯に関しては永久租借地としてデュークス島の一部がハーンブルク家のものとなった。


 その代わりに、万が一ガラシオル帝国が侵攻して来たら援軍を送ってほしいと言われた。まぁ帝国が攻めて来ても何とかなると判断した俺はそれを了承し、交渉が成立した。




 ちなみに、機密保持のために付近にはハーンブルク領の人間が監視を行なっている。彼らには観測も同時に行なってもらい、問題点などを後で報告するように命令してある。




「レオルド様、準備ができたようです。」




「おぉ、クレア自身の準備も終わったか?」




「はい、完了しております。」




「・・・・・・やっぱりメイド服も良いけど、海軍の軍服もいいな。」




「レオルド様?」




 今までは、メイド服ばかり見ていたが、軍服も良いかもしれない。


 まぁデザインしたのは俺だけど・・・・・・




【発言がおっさんですよ。】




 それはおっさんに失礼なんじゃないか?




【私の言葉周囲に伝わらないので大丈夫です。】




 いや、わからないぞ。もしかしたらどこかで聞いている人がいるかもな。




【あり得ません。】




「どうしたんですか?レオルド様」




「いや、何でもない。プランAを発動しろ。」




「はっ。プランA発動っ!」




「「「了解」」」




 クレアの指示で、軍事演習が始まった。


 まず、『M-3』を装備した上陸部隊がそれぞれの輸送艦から小船と共に上陸を行った。


 少し遅れて、土木部隊が上陸、周囲を確認して拠点の設営を開始する。橋頭堡を築き、どんどん兵士を送る。




 本番なら、敵の防衛も考えられるが、今回は無しでやっている。その代わり、味方には地形の情報は与えておらず、それぞれの指揮官の判断で行動するように命令してある。


 部隊の一部は、サラージア王国戦で強襲上陸作戦を経験しているが、ほとんどは未経験だ。一応ミーティングなどはしているが、果たして・・・・・・




「思ったよりも上手く動けていますね。」




「あぁ、やっぱり正規軍なだけあるな。」




【練度もだいぶ上がりましたね。】




 アイが誉めるのにも納得できる。まだまだ改善点は多いが、軍隊らしくなってきた。




「お遊び盗賊団からそれなりに戦える軍隊になったかもな。」




「ははは、レオルド様はやはり厳しいですな。」




 隣に控えていた、『春雨』の新艦長は俺にそう言った。彼は、昔からハーンブルク家に使えているアコール家の当主で、ヨルクの父親だ。


 お母様の推薦によって抜擢された。ちなみに、お母様が次期艦長を誰にしようか考えているという情報を手に入れた彼は、その日からもう勉強を行い、見事艦長の座を掴み取ったらしい。




「まぁ甘くしたら、その分だけ人が死ぬからな。これからも出来るだけ厳しくする予定だ。」




「なるほど・・・・・・」




 標的が無いとはいえ軍事演習だ、当然実戦を想定して行動する。


 作戦開始からきっちり2時間後、俺たちも上陸を開始した。俺の様子を見かけた兵士達が、敬礼をして出迎える。


 案内に従って、俺は設営を終えた基地へと移動した。軍港建設予定地である湾全体が眺められる場所で、アイもここが良いと考えていた。




「レオルド様、いかがでしょうか。」




「クレア、良くやった。完璧だ。」




「あ、ありがとうございます、レオルド様」




 上陸作戦の最高責任者となっていたクレアは、俺の下へとやって来た。


 彼女には戦闘メイドとして、軍を指揮する練習を多くさせている。自分の身は自分で守れるので、正直護衛は要らないと考えている。


 だが、軍の指揮官としてならば、常に人材が不足しているので、彼女にはそちらの方向に進んでもらおうと考えている。




「じゃあ引き続き軍港の建設を進めてくれ、俺はデュークス男爵に挨拶してくる。」




「了解しました、レオルド様。」

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