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05 ケルミシュ


 無事にケルミシュ村に到着。


 今回の幌馬車旅は個人契約なので、ギルドへの依頼完遂報告の必要は無し。



「なんか困りごとがあったら、ギルドで俺の名前を出してみて」

「そこそこ伝手が多いから、手助けとかできるかも」

「それじゃ、元気でね」


 アシュトさんも、お元気で。


 良い旅を。



 ---



 ケルミシュ村は、結構栄えてるね。


 秩序のある活気っていうのかな、村全体の雰囲気がいい感じに元気。


 荒くれ冒険者に好き勝手させない圧、みたいなキリッとした空気が、この村の活気のミナモトなんだろうね。



"魔灸の森"沿いにあるこの村は、森で狩れる魔物や森の恵みの動植物をふんだんに使った魔物料理が名物。


 常設採取依頼が多いって聞いてるし、旅費を稼ぐにもうってつけ。


 出来ればそこそこ長逗留して、美味いもん食べながら蓄えを増やしたいな、なんて甘い考えですかね。


 ってことで、まずは宿探し。



 宿もピンキリ。


 お貴族さま御用達な高級宿から、


 とりあえず雨露をしのげればいいって感じの雑魚寝宿まで。


 まずは、地元の人からおすすめの宿を聞いてみましょ。



 あそこの隅っこにある、お昼どきなのに妙にガラガラな飯屋で、昼飯がてら情報収集、かな。


 この栄えてる村で、あそこまで閑古鳥してるのは、


 隠れた名店発見か、不味くて閉店寸前か、


 このギャンブル感こそが旅の醍醐味。




「いらっしゃい、ひとりか?」

「空いてるとこ、座って」

「注文、決まったら呼んで」



 店内には、ガタイの良いおっさんがひとり。


 コック 兼 ウエイター 兼 用心棒、かな。


 えーと、とりあえずメニューは、と。



『ケルミシュそば(肉あり・肉なし)』

『具材は旬の日替わり』



 おっと、ギャンブル感アップですよ。


 なんだか、そば打ちが趣味のおじさんが脱サラして田舎に開いた店、みたいな雰囲気がチラホラ。


 あっちの世界での経験だと、ああいうお店って当たり外れ激しいんだよな。


 人生にアクティブな人たちだから、諸々のこだわりが普通のお店とは違ってたり。



 って、先入観はNGでしょ、食べる前にどうこう言っちゃいけないよね。


 食べ物屋の評価はがっつり食べてから、それが礼儀。



 おじさーん、肉あり、ひとつ



 ---



 ケルミシュそば、うめぇ!


 何かは分からんけど、歯ごたえと肉汁感のバランスが絶妙な肉、


 山菜系のあっさり出汁のつゆ、


 そして、このキリッとしたそば。



 ラーメン系の麺は、どんな具材にもスープにも負けないって感じの鍛え上げたアスリート系美人、


 うどん系の麺は、食べた人を官能的に感動させちゃうボンキュッボン系美女、


 そば系の麺は違うよね、


 なんと言いますか、過剰な自己主張しないところが逆に挑発的な、清楚で控えめなのに仕事ができる大和撫子系乙女?


 って、食いながら何考えてんだろ、俺。




「美味そうに食ってくれて嬉しいよ」


 ごちそうさまです、親父さん。


 いや、ホント美味いですよ、このそば。


 なんで客が来ないのか分からんのですが。



「干されてるんだよ」



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