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10 能力


 日も暮れて月明かりだけの街道を、警戒しながら徒歩の旅。


 単身の冒険者が街道を夜通し歩くなんて、やむを得ず旅を急ぐベテランか、自殺行為と気付けないルーキーくらい。


 もちろんどっちでも無いけど、俺なら大丈夫。


 ありがたいことに、荒事を避ける能力だけはあるんだよね。



 この世界にお呼ばれされた召喚者は、特別な固有スキル以外にも"3点セット"なんて呼ばれている便利能力を授かる。


『収納』『鑑定』『翻訳』ってやつだね。


『収納』は、マジックバッグ的な便利空間が扱える能力、


『鑑定』は、物事の詳細情報が分かる能力、


『翻訳』は、他言語種族との意思疎通補佐能力、かな。



 この3つの能力が使えるのが召喚者のお約束なんだけど、


 困ったことに個人差が大きい。



 例えば『収納』


 幌馬車2〜3台を余裕で『収納』出来る人もいれば、弁当ひとつでいっぱいいっぱいな人もいる。


 俺の『収納』は、肝心の『収納』能力が大ハズレ。


 容量が小さすぎて、小銭入れくらいにしか使えない。


 まあ、訳あって小銭も入れられないんだけどね。



『鑑定』の方は、俺的には大アタリ、かな。


 取得可能な情報自体はショボいんだけどさ。


 人によっては、ステータスのかなり細かいとこまで分かるみたいだね。


 それこそ、初対面の娘さんのスリーサイズとか。



 俺のは、かなり適当。


 情報を知りたい相手の、俺と比較した場合の相対的な能力があやふやに分かる程度。


 俺より"スゴく強い"とか、"かなり賢い"とか。


 でも、確かに内容はあやふやだけど、瞬時に判断しやすいので俺としては重宝してる。



 大アタリな理由は、使い勝手。


『鑑定』可能な範囲が異常に広い。


 正確に測ったことは無いけど、かなりの広範囲を『鑑定』で探知出来る。


 つまり、あっちの方に"メッチャ強い"魔物が居るぞ、とかが広範囲レーダーちっくに識別可能。



 実は、ある程度なら感情も分かるので、対人危機管理にもとても有効。


 酒場の隅でこっちをにらんでるゴツいおっさんは俺が気に食わないみたいだから近寄らないようにしよう、とか。


 ギルドの受け付け嬢が俺に興味津々みたいなので距離をおいた方が良さそう、とか。


 うん、大事だよね、危機管理。



 というわけで、月明かりで夜通し街道を歩くなんてことも出来ちゃうんですよ。


 まあ、体力の方はお察しなんで、普段は幌馬車に便乗してるんだけどね。



 ってことで、そろそろ休憩できる場所、探そうかな。



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