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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2022――
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99/205

仮題『砕』/『功』/『Look』

嫌なら殴っちゃいなよ。

眠気が絶えず、責め立ててるの。

仮題『砕』


しかして透明 隔てた一枚の

冷たい硝子に 手をあてて

紙魚の泳ぐ 外の世界を見上げるのは

ひどく寂しく 不確かで


手足を縛った 細い髪の縄は

灼かなものだと 老婆は言った

けれど そんなもので留められぬほど

熱を帯びては 拳を握れ



仮題『功』


さあさ 皆様お立ち会い

一度きり 無様なこの人生

空の観覧車すらも見上げぬほどに

罪の向こうにあるものでございます


傾かぬ天秤は錆びるほどに

良し悪しも善悪も 彼岸まで

それすらも見て見ぬふりをするのなら

ここで 仕舞いにございます



仮題『Look』


開いた眼にヒビが入る

水気を失くした 浅煎りの乾燥

目視の帳を破る その指先には

言い訳など効かぬとわかっていたのに


明日はどこだと探す声すら

直視することに耐えられぬままで

もう すっかり消えてしまった朝を

見据えてもなお 道は遠く



ねえ、

どこにいるの?

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