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仮題『雨声』/『救う』/『Return』
八行は、読んでて疲れない?
仮題『雨声』
天井を叩く 叩く ちいさな手
あの日の軒下が 追いついてきて
つまらない大人になってしまった
か細いわたしを 責め立てるのです
何にでもなれるという嘘を
きっと夢は叶うという嘘を
信じ切ることができていたとしても
この肺腑は 冷めきっていたでしょう
仮題『救う』
捨に至る そのずっとずっと前に
九つの後悔を拾ってゆこう
門を通るための証はいつだって
青紫色を しているのだから
夢寐の屏風を掠めた尻尾を
やれ 政のせいだと決めつけ
定かでもない足裏の傷を
弾いて 弾けて 雀の音
仮題『Return』
誰かが幸せになるためならば
差し出すことを厭わないのだと
自慢気に口にするあなたの瞳が
ひどく 気持ち悪く見えた
交換の成り立たない依存ほど
罅入る硝子の橋のように脆く
安寧を求める心を凍てつかせる
身投げのようにすら見えたのだ
閉じ込めなきゃ、輝けないってこと?
ね、気付いてよ。




