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仮題『プロット-2』/『背後』
誰かが書いていたんだよ。
『プロット-2』
必然だと気がついていました
怜悧な筆先が見えたのです
間を分かつ線を引くために
私の指を傷つけたのです
最初から決まっていたのでしょう
上がるときも 下りるときも
壇上はいつだって暖かく
羊水のようでしたから
『背後』
疾んだ花が 列を成していた
足裏に 心地良い悲鳴と
ペトリコールの気配
やがてはゴム底に飲み込まれる
後ろから肩を叩かれたとき
はじめて 心は染まるのだ
それは 腐敗にも似た紫で
声も聞こえぬほど 沈めるのだ
いまさら、遅いよ。