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仮題『怒り』/『診断』
許してあげなよ。
『怒り』
ぐらぐら 煮立つ
ぐらぐら 煮立つ
腹の底で 肋を叩く音がする
押し込める手には火傷が浮かび
ケロイドの壁が痒みを誘う
差し出された 冷たい水さえも
今は癒やしにも慰めにもならず
狂おしいほどに ひりついて
いつかの発散を待っている
『診断』
硝子が割れるような音だった
それは命が砕ける音であり
一方で 霧に捧げる音だった
「先生、病名は何なのでしょう?」
「病ではなかったのです」
それはあなたが備えた機能であり
一方で 最後の血管を断つ機能だった
薬ばかりが増えていくね。