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仮題『月』/『太陽の歌』/『Water moon』
けれども、ほんとうのさいわいは、一体なんだろうね?
仮題『月』
絡まり仕掛けの宇宙の舟は
静かの海に 影を落として
角砂糖が 水に溶けていくように
柔らかく 解けていった
あの銀色の地を夢見たあなたが
今も この星空を漂っているのだと
星屑の安寧を祈る 私の手を
そっと 弔いの闇夜に翳すのです
仮題『太陽の歌』
目が溶けていくようだった
焼け付く肌は わたしの言葉が
何もかも偽物だと暴こうとしている
欺瞞も 虚勢も 虚言も
すべてが照らし出される世界は
蒸発するほどに 生きにくい
あなたがねじれてしまう前に
お願いだから 下を向いて
仮題『Water moon』
手のひらに掬い取っては溢れていく
とろとろと 広がる滑らかな水面を
心と 呼んでいた風待草は
とうに枯れて 砂に還った
だから 地面に這いつくばって
格子状に編んだ台詞を 舌先へ
あなたが 夜空を見上げるようにと
冷たく 冷たく 注ぐのです
明るい色ばっかりじゃ、目が痛くならない?
夜に憧れるなんて、薄弱だね。




