66/205
仮題『鬱』/『別世界』/『お先に』
きぃ、きぃ、わう、わう。
今、何見てるの?
仮題『鬱』
踊れ 踊れ 閑古鳥が鳴く前に
寂しい声を押し殺して 知られぬよう
仮面の下には 爛れた素顔
カボチャを刳り貫いて 知られぬよう
誰にも愛してもらわなくてもいいや
どうせ 枯れてゆくばかり
首まで沈んだ 沼の心地に
絞められた首 息が止まる
仮題『別世界』
6.1インチの窓の向こうに
並んだ令色の待機列を眺めて
下卑た唾液を垂れ流すことしか
哀れなあなたには できないのです
それを秩序と呼ぶのであれば
もはや殴打と切創だけが交流で
鈍痛を与えることでしか
わたしたちは わかり合えないのです
仮題『お先に』
弔いの言葉は もう結構です
紫色の道行きは 暖かに染まっていて
二度も三度も 環を描く小鳥が
息絶えるまで 寂しくはないのです
あなたが朝を忘れたのなら
わたしの記憶とともに 陽を刻んで
夜明けを共に見られるようにと
次の舞台に向かいましょう
生まれ変わったら、また死のう。
次の死を尊ぶために、また次を精一杯に生きよう、ね。




