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仮題『活声』/『好き』
永遠の別れなんて、陳腐なものさ。
仮題『活声』
腹の底から 絞り出されたそれは
わたしの鼓膜を 幾度も揺らし
酩酊にも似た不快感と隣り合わせの
入眠時のような心地のよさ
すっかり 目は見えなくなったけれど
それでも 眠りは深く 深く
最後まで残っているのは
聴覚だというのだから
仮題『好き』
あの並木の向こう 受話器を耳に
そんな姿が焼き付いたんだ
はらはらと木の葉 覆い隠すよう
君が見えなくなってゆく
カラカラに渇いた喉が ひどく痛んだ
骨の中を苦しみが泳いだ
肺に満ちた血で溺れる前に
これだけは伝えないと いけないんだ
甘えん坊だね、折れちゃえばいいのに。




