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仮題『1回』/『仮初』
ほら、やってみるといいよ。
仮題『1回』
欲しかったのは 覗き込めないもの
数字ですらない はじまりを
在るものに変えてしまうような
生々しく ざらついた手触り
際限のない 不可の壁に
何度も手を着いては 力を込め
一念が穿つ 孔の向こうに
憧憬を探して 翻る
仮題『仮初』
確かに 手を取ったはずだったの
触れた肌の滑らかさも
パレットの上の体温も
細胞のひとつひとつに刻んでいたのに
瞼の外の世界は ひどく吝嗇で
水晶の欠片さえも許してくれなくて
風が吹き溜まるキッチンの中
涙の痕だけが あなたを覚えている
それじゃ、おやすみ。
また夢で、ね。




