2/205
仮題『病熱』/『わたし』
さよならくらい言ってよ
『病熱』
鉛の雨を飲んだ
きみが笑ってくれるから
爛れた胃の腑の熱すらも
誇らしく押し込められた
けれど いつしか一人になっていた
内側から喰い破られていく
ああ あの熱がまだ燻っているのだ
ぼくは とけおちるのだ
『わたし』
両目に釘の罪人が嗤う
腹を裂かれた妊婦が濁す
値せぬと 破った鼓膜と
外連に焦げ付く即興詩
人に向かぬと確かめた
抉れ抉れと積み重ねた
そんなきみの起床時刻だ
葬列に並べ 諦めを零せ
何にもなれぬ命なのだと
いい加減認めてしまえよ
私だって嫌だよ