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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2022――
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16/205

仮題『雫』/『モザイク』/『ことば』

あーあ、なくなっちゃったね。


ご愁傷さま、だね。

仮題『雫』


ぽつり ぽつり

ぽつり ぽつり

いつの間に間に 溢れていく

腹の傷から 溢れていく


ぽつり ぽつり

ぽつり ぽつり

尊きものかと手で塞いだ


ぽつり ぽつりの音がやんだ

私がぜんぶ こぼれおちた



仮題『モザイク』


別れのワンシーン

出会いのワンシーン

継ぎ接ぎ 並べてみれば

たったの一枚を描き出す


けれど 想いも志もなく

流れる鉛のように緩慢に

生きてしまったあなたの画は

ぼやけ おぼろげに映るでしょう



仮題『ことば』


音を()ねた 舌の先

置き忘れた 紫の辻

蛹のままで死んだ蝶を

蝋に漬けては 飾るのです


しまいまで綴らぬのならば

命に責任を取らねばならず

それはいつか 声もないまま

ああ 感嘆符


最後まで言わなきゃ。

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