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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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140/205

仮題『福音:Birthday』/『Fake』/『放浪:amen』

深夜一時にいなくなった、誰かの影に囚われたまま生きなよ。

嘘つきは食べられちゃうよ。

仮題『福音:Birthday』


ああ サイレンが響く

きみは慄く 舌の底で鉄の味がした

ああ 奇妙に蠢く ものを見ていた

教科書通りの防腐処理をした


空が腐り落ちる時 悪魔はそばにいた

いつか死ぬ日まで 健やかにあれと

誰かの声が お守りのように

呪いのように響いていた



仮題『Fake』


ピリオドまで続けてほしいな

焼き付いてしまった痕は

簡単には消えないからと

それもまた わたしの都合


忘れたくないな 忘れたくないな

そう思うわたしは 綺麗だから

輪郭の端まで塗り潰されて

末期と嘯くくらいには



仮題『放浪:amen』


 視界の端まで 真っ白な地平

 靡く服の裾はこそばゆくて

 呑気なわたしに 猫が問いかける

「砂漠に咲いた 薔薇はお好き?」


 答えずにその首を手折るほどに

 今日のわたしは ご機嫌で

 毛皮に吹き付けた砂を払って

 花弁と一緒に 飲み干した


靴紐の代わりに髪を、

鞄のかわりに金槌を。

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