プロローグ
***「殿下はお下がりください」
彼は、王女の前に立ち右腕で血を流す左腕を抑えながら小声で話す。見るからに彼は体力の限界を感じるが、忠誠を誓った相手だからなのか、それとも愛する人だからか、前を譲ろうとしない。
○○○「あなたにこれ以上は、傷を負わせたくない」
「だから、だから。。。」
彼女は、涙を流し必死に彼に訴え続ける。だが、彼は前を向き続けている。
***「あなたに何かあれば、僕は自分が許せないでしょう。」
「僕の代わりはいるが、あなたの代わりはいない。」
彼は、小さな声で言葉を発した。
「さよなら、愛した人よ。あの時くれた恩を返すことは出来なったけど、少しでも恩を返せるように、この命を引き換えにしてでも奴を倒す!!」
走り出し、呪文詠唱を開始したと同時に右腕には今までなかった大剣を握りしめている。恐らく敵に出せる最大の攻撃であり最後の攻撃になることは明白だろう。
走馬灯のように、頭の中には、今までの思い出が駆け巡る。嬉しかったことや苦しかったこと、家族に怒られたことも愛されたいと思っていたことも。。そして彼女と誓い合った未来のことも。。
△△△「お前の全力を受け止めてやるのが、人間の世界でいう騎士の礼儀となろう」
「この攻撃が我を倒せなっかた時、お前をあの世でも苦しむだろう」
「さぁ、お前の全力を受け止めて王女も殺してやろう!!!」
敵の魔法が放たれる。その魔法を切り裂きながら前へ進む彼。
彼は、放たれている魔法がないかのように前へ進む。そして敵と交差した時、大きな爆発が起きた。