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女騎士は婚活中

騎士になって五年、そろそろ限界を感じている。


エターニアは子どもの頃から運動が好きだった。そしてこの国が大好きだった。日々襲い掛かる魔物の恐怖から、自分の大切なものを自分の手で守りたいと思った。


だが十八から騎士団に所属して五年が経ち、二十三歳になると、自分の限界が見えてきたのだ。


「辞めようかな、、、騎士団」


その言葉を聞きつけて同僚のクリフが驚いたように言った。


「どうした!?

変な物でも食べたのか?

拾い食いはダメだと言っただろう?」


「私はお前の飼い犬じゃないぞ!

そんな事するか!!

昼にちゃんと食堂でたらふく肉を食べたわ!


そうじゃなくて、騎士団での生活に限界を覚えてきたんだよ」


「何言ってるんだ?お前。

先週の魔物討伐の遠征でまたエースだっただろ。

出世頭じゃないか。羨ましいぞ、部隊長」


そう言ったクリフをキッと睨み、エターニアは叫んだ。


「お前には分からないさ、クリフ、お前には!!

お前この前タルク食堂の看板娘に告白されたらしいじゃないか!

それを素気無く断ったとか、ふざけるな!

私だって恋したいし結婚したい〜〜!!

何故巷では男性騎士はモテモテで、女性騎士は倦厭されるんだ〜〜!!」


そう言って地面にゴロゴロと転がる、見かけだけなら美女のエターニアを狂人を見るような目でクリフは眺めた。


「女性騎士である事が原因じゃなくて、お前が見かけに似合わずこんな事する奴だって内情を知られているせいで内輪で売れ残ってるんだろ。

少ない女性騎士は何だかんだ騎士同士でくっつくから、実際は騎士団内の女性未婚率はかなり低いだろ。


しかもお前強すぎるんだよ。

前代未聞の女性エースだから、騎士の男が怖がってるんだ。

騎士団の中に居ないで猫被って街に出ろ!しおらしく

【文中での改行】振舞って王宮の文官塔に行け!ここでうじうじと生息するな!」


その言葉にエターニアはキッと睨んで言った。


「この前いい感じになった人は居たんだ!

文官の同年代のやつ。

それが、、それが、、、」


嫌な予感がしながらクリフが聞いた。


「それが?」


「森の近くにピクニックに行くことになったんだ。ツノークル湖だ。

たまに弱い魔物が出るが、一年に一回くらいだし、出たとしても成人男性なら簡単に討伐できるくらいの魔物だ。

まぁ一応と一張羅のワンピースを着ながらもスカートの下に小刀を備えておいた」


あ、もうこれ駄目な流れだな。クリフはそう思ったものの、聞き始めてしまったので先を促した。


「それで?」


「そして出たんだ。

いや。唯のスライムだった。

だがブルースライムだったんだ。

一般人でも普通のスライムなら頑張れば獲物が無くても怪我する事なく倒せるが、残念ながら獲物がないと文官の彼には難しいと判断した。

その為、隠し持っていた獲物を貸そうと彼を振り返ると、全てを置いてダッシュで逃げている彼の背中が見えた」


返す言葉が流石に無く、クリフは沈痛の面持ちで目を瞑った。


「むしゃくしゃした私は、騎士としてこんな状況でも魔物を放置はできないと判断し、そのスライムを処理してさっさと街に帰ろうと思った。

だが最初はナイフでサクッとやろうと思っていだが、苛々が止まらなくて、つい思いっきりブーツで踏み潰してプチッと退治してしまった。

そのため一張羅のワンピースにブルーの飛沫が少し散ってしまった。泣きっ面に蜂だよ。

あぁ、因みに彼に関する私の最後の記憶はあの時の背中だ。

つまり音信不通になった」


クリフが恐る恐るエターニアに言った。


「よかったら、友達紹介しようか?

肝座ってるやつ」


「是非頼む!!!」

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