プロローグ
今日も暑いというのに俺こと多賀和希は溶接をしている。
べつに、工業系の作業が好きでもないのにさせられている。
それなのになんで溶接なんかしてるのかといえば、それはここが工業高校だからだとしか言いようがない。
初めて出来た彼女にベタ惚れし、高校卒業と同時に籍をいれようという妄想に耽け入学した。
しかし、その彼女には入学してすぐにふられ、そこから1ヶ月は何もする気になれなかった。
なんでこんなことになったのか。
どこで道を間違えたのか・・・・・・。もはや俺には分からない。
「和希!もう7時よ起きなさーい!」
いつも通りの母の声が家の中に響く。
7月になり季節はもう夏。工業生にはかなりきつい時期となってきた。
それでも、布団から出て顔を洗い朝食を食べる。こんな毎日を過ごしている。
「急ぎなさいよー?今日もそなちゃん迎えに来るんでしょ?
」
「うん。7時半に来るって言ってた」
そなとは岬空詩のことで、ただ家が隣というだけで他に特別なことは何も無い幼稚園からの一つ年上の幼なじみだ。
「多分もうそろそろ来るはずだけど」
っと思っていたら、
ピーンポーンピーンポーン
ずいぶんとタイミング良くインターホンが鳴った。
俺は鞄とバッグを持ち玄関に向かう。
「来たっぽいしもう行くわー。いってきまーす」
「はーい。行ってらっしゃい」
そして、今日が始まる。