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続きの続きの続き

あ~朝である。


爽やかに起きた。

元気いっぱいじゃが、少々腹がへった。


しかたなし、散歩がてら食い物を探すか…

出来たらタロイモなんか植わっとればな~無理か。

有るとしても芋も原種なら、毒持ってるだろうな~

あ、どんぐりでも食えるぞ、無毒化は面倒じゃが。


と、こりゃ、草むらではなく、ジャングルに近いのう、とても歩けぬ。


「棄、孫!予の通る道を作るのじゃ」

「へいへい」


二人はやる気なさそうに、船にあったナタらしきもので枝を払いつつ

先行する。


う~ん、行けども行けども、シダやヤシらしきものだらけじゃ。

ココヤシの木はないんか?あれもないのう。

トゲトゲのついたヤシはおっきいのがあるのう。

ヤシといえば、前世で、ちょこっと聞いたが、幹が食えるのがあるとか。

試してみるか、他になんもないし。


「このヤシを伐採し、中身を食えんか確かめてみる」

「一本、川のそばまでもってこい」

「え?ヤシの木が食えるんで?」

「まさか~~」

「まだわからん、試してみるのじゃ」

「はァ~」


というわけで、近くの小川のそばにみんなで引っ張ってきたヤシの木を、前にしておるんじゃが~


「確か~2つに割って、中身をえぐり取って、ぐちゃぐちゃにして、樽の中の水で

よくもみ洗いをして、水に溶かす。で、しかるのちに放置すると、下に沈殿する。

うまく行けば、これが麦のかわりになる…だったかな?」

「ホントですかい?」

「だいたいどこで聞きかじられた知識で?」

「だまされてますぜ、秀頼様」


も~うるさい、うるさい。


「黙れ~い。今まで、秀頼様の英知のおかげで飢えなかったのを忘れたか!」

「さよう、さよう。黙ってとりかかれい!」

「へ~い」


ありがと、棄、孫。

ふたりの一喝により、作業はサクサク進み、大樽の中は濁って真っ白。

みな、期待してじっと見つめること数刻。


「お!、澄んできた。見よ、白き沈殿物が~~」

「やった、ばんざい、バンザイ」」


沈殿物を陰干しして乾燥させた。

一本のヤシから三十貫ぐらい取れたんと違うか?

大量じゃ、これで食えたら…

まず、乾燥させた粉と水で練り、鍋底に薄くはり、焼く。

これは!

膨らんでないパンみたいになったぞ。

後は安全かじゃが…


「棄、孫食うがよい」

二人はすぐ食いついた。


「もぐ、もぐ」「むしゃむしゃ」

「ど、どうじゃ」

「余り味はしませんが、焼き魚でも巻いたらいけるのでは」

「そ、そうか。では予に焼き魚と味噌を持て」

「あ、われにも」「われにも」

みなでガンガン練って、焼き、挟んで食う」

「うまい!」

「うま~」

良かった、虫せんべいは食わんでも良さそうじゃ。

「さすが秀頼様、ありがたし」

「へ、へ~」


良き気分じゃ。腹も膨れた。寝るぞ。

「予は疲れた、昼寝するぞ」

「はは、ささこちらへ」

寝床に行き、寝た。


「すすすすす」

で、予はすることもなく、夜になり、飯を食い、寝た。


**************


翌朝。


「今日も元気じゃ、頑張ろうぞ。修理班、魚釣り班、ヤシ班夫々にがんばれい」


満腹したみんなは元気元気。

ヤシの粉も焼いたり、煮込んだりすれば消化もよい。

タンパク質は魚と貝、なければ虫せんべいでいいか。

虫を集めて、すりつぶし、シダ粉でつなぎとし、焼く。

これが気持ち悪いんだよな~予は食べんぞ。

他に足りんのはビタミンか…


「これい、みな、海草を食うんじゃ、消化悪いから味噌でグタグタに似て味噌汁でのめい」

「味噌がなくなりました~~」

「なにい~それでは塩で煮て」

「ソレもありませ~ん」

一大事じゃ、塩がなくなれば重労働で倒れるぞ、なんとかせねば。

「そうじゃ、海草を集め、炎天下で何度も何度も海水をかけよ。さすれば塩辛い海草の出来上がりじゃ。これを魚などと一緒に煮ればよい」

「な~る、さすがは秀頼様」

「やんや、やんや」

ふむ、とふんぞり返る秀頼であった。


*************


ま、それやこれやで1ヶ月ほど経った。

ヤシの粉のおかげで、我ら、なんとか飢えもせず、修理に励んでおった。

予は大将だで、指示するのみ。

おかげで一貫近く肥えたわ、ほ、ほ、ほ。

そうして曲がりなりにも修理は完了し、ニッポンに帰るんじゃが・・・

どちらに進んだらいいの?誰か教えて。

こういう困ったときは…


「棄、孫を呼べ」

「は」

やってきました二人連れ、予は問う。

「いよいよ修理はなった。いざニッポンに帰るぞ」

「はは~」

「喜ばしいことで」

ふたりとも、喜色満面。

「で、じゃ」

「は!」

「どちらの方向に船出するのじゃ?」

「はあ?」

「そ、それは秀頼様がお決めに…」

「馬鹿者、予は船乗りではない。より彼方の海原へ、深く深く進んでしまったらどうする!」

「どちらに進めば日の本に帰れるかと聞いておるのだ」

「わ、わかりもうさん」

「ならば、さっさとわかりそうなやつを連れてこい!」

「は」


二人は慌てて退出する。

もう、肝心なときに役立たぬ奴ら。ソレぐらい考えとけよ、と予がブツブツ言っておると、

一人の水夫が恐る恐る近づいてきた。

まあ、こいつのほうがマシかと思い、再び予は問う。


「これ、日ノ本へ帰るぞ。船はどちらの方へ向かえば良い?」

「さあ~わし水夫ですが、遭難したことがないで、わかりやせん」

「ま、まことか!」

「へえ、ただ…」

「何でもよい、話すがよい」

「へえ、遭難して帰ったという話を聞いたことがありやすが、その話の中に、南海の島にたどりついたと」

「知ってるのは、そ、ソレぐらいで」

「む、南海とな」


ここがもし南海なれば、その反対、北に行けばよいのではないか?

「う~む、参考になった。褒美をとらす」

試作品の虫せんべいを手元にあった5~6枚を渡す。

「へ?あ、ありがとうございやす」

水夫はせんべいを手に帰っていった。

重畳、重畳。


よし、北に進むぞ。


「皆のもの、集まれ!」

ぞろぞろと集まる二八?人。(

「皆のもの、日ノ本へ帰る方角が決まったぞ」

「お~」

「北じゃ、ひたすら北じゃ」

「さすれは日の本に帰れよう。夢、疑うことなかれ!」

「おお~」

「さすれば取りかかれい!」


そして、我が船は湾をでて、大体、北に向かい出航した。


頼むぞ~~海の神様~~~ニッポンに帰りたいよ~~~


ニッポン近海の島にもサゴヤシが有るかは…

ないだろうね~~

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