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莉央ちゃんとタイムスリップ!【短編シリーズ】  作者: LED
第3話 アヘン戦争編
9/56

プロローグ:いつもの

* 今回のあらすじ *


 俺は歴史好きの高校生・下田しもだ一郎いちろう

 クールな幼馴染・莉央りおちゃんと共に、19世紀半ばの中国――つまり清の時代に来ていたぜ!

 当時は麻薬であるアヘンがはびこっており、取り締まる動きが強くなっていた。


「どうやら『アヘン戦争』勃発前夜のようですね。

 一般的にはイギリスが悪いとされていますが……なかなかとんでもない事件だったんですよ。

 現代の先入観を捨て、当時の世相を理解しなければ――真相は見えてきません」


 麻薬を買わせる為に戦争ふっかけて、力づくで無理矢理従わせた……世界史ではそう周知されているアヘン戦争。

 俺の中ではイギリスの卑劣漢ぶりの代表例という認識だが、どうやら莉央ちゃんの考えは違うようで……?

 俺は歴史好きの高校生、下田(しもだ)一郎いちろう

 授業が終わった後、興奮冷めやらぬままクールな幼馴染・莉央(りお)ちゃんにまくし立てていた。


「全くイギリスって奴は、信義ってモノがねえ国だよなあ莉央ちゃん!

 それぞれの国にいい顔して、矛盾しまくりの三枚舌外交なんて……普通の感覚だったら絶対にできねえぜ!」


 今日の世界史の授業は、第一次世界大戦がテーマだった。

 俺は激怒した。かの暴虐邪智国家たるブリカス……じゃなかったイギリスの卑劣ぶりを、徹底周知せねばならぬという使命に燃えていたのだ。


 しかし俺の熱意に反して、莉央ちゃんの反応はいつも通り冷静だった。


「三枚舌……? ああ、フサイン・マクマホン協定、サイクス・ピコ協定、バルフォア宣言でしたっけ。

 あれらに関しては詳細を突き詰めていくと、必ずしも矛盾しない、という言説もあるようですよ。

 とはいえ人間、貰えると約束された領土(モノ)は都合よく拡大解釈し、取り分を多く求めたがる生き物ですので」


 イギリスの三枚舌外交とその条約内容については、今回のメインテーマではないので割愛。詳細は各自で調べてほしい。


「……むむむ。莉央ちゃんや、今回は随分とブリカスの肩を持つじゃあねえか。

 じゃあこっちはどうだ? アヘン戦争! こればっかりは言い逃れできねえだろ!

 19世紀の中国に、麻薬を大量に売りつけるために戦争起こしたんだろ? しかも香港(ホンコン)までブン()ってな!

 この戦争のせいで、百年以上経った今でも香港じゃ、きな臭い火種がくすぶってるっつー話じゃねーか」


「確かに現在の香港が、ただならぬ状況なのは認めますけど……

 その遠因となったアヘン戦争とて、何から何までイギリスが諸悪の根源だと、単純に断じる事はできないのです」

「むう。そこまで言うからには、何か証拠が――」


 食い下がる俺の周囲で、異変が起こった。教室が輝き出したのだ。

 気がつくと俺と莉央ちゃんは、まったく見知らぬ土地にいた。


「……あーあ。下田(しもだ)さんが余計な事を言ったせいで、また過去にタイムスリップしてしまったじゃないですか」

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