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莉央ちゃんとタイムスリップ!【短編シリーズ】  作者: LED
第7話 ハイチとドミニカ編
33/56

序:超ざっくりなハイチとドミニカの歴史

「アイエエエ!? ハイチ!? ハイチナンデ!?」

「何テンパってんですか下田さん」

「だってハイチってアレだろ? ブードゥー教なんだろ!? 捕まってゾンビにされちゃうかもじゃねーか!」

「……典型的な無知からくるド偏見ですね。一昔前のホラー映画の見すぎなのでは……

 いくら何でもハイチもドミニカも、そこまで野蛮な国ではありませんよ。まあどちらも政情不安で、時の大統領がしょっちゅう暗殺されたりクーデター起こされたりしてますが」

「じゅーぶん怖いわ!?」


 それにしたってなんでまた、中国ではなくカリブ海の島なんかに着ちまったんだ?


「……恐らく、環境破壊についてちょっと話していたからではないでしょうか。

 将来、地球環境がどうなるかを知るには、なかなかいいサンプルなんですよ、特にドミニカの方は。

 環境問題というと、ネット上じゃ何かと胡散臭いイメージありますけどね」


 ふーん。と……俺たちの目の前で、イスパニョーラ島の情景が早送りになって流れていく。


「あ。いちいちリアルタイムで追っていたらしんどいですから、ダイジェスト形式でやってくれるようです」

「ダイジェストって、ンなご都合主義的な……」

「まあ、今に始まった話じゃないじゃないですか。慣れれば快適ですよ」


 ミもフタもない莉央(りお)ちゃんの言葉をよそに、島にデッカい船がやってきた。


「最初にイスパニョーラ島を訪れたのはスペインです。ポルトガルと並んで大航海時代、ブイブイ言わせていた覇権国家ですね。

 征服者(コンキスタドール)の御多分に漏れず、現地住民を無理矢理脅して鉱山採掘などに酷使しました。持ち込まれた疫病のせいもあり、島民の数は激減します」

「サラッと言ってるけどマジでとんでもねえ話だなオイ」


 しかしそんなスペインの勢いにも、陰りが見え始める。


「あちこち世界中に船を出し過ぎて、貿易の利ザヤよりも戦費や維持費の方がデカくなったスペインは衰退します。

 しまいには金が無くなりすぎて超絶めんどくさい消費税を導入したため、国内産業が一気に下火となり一等国から脱落。デデーン! スペイン、アウトー! ってなもんです」

「…………」


 莉央ちゃん的にはギャグのつもりだったみたいだが、盛大に滑ってる件。

 ともかく、気を取り直して。落ち目になったスペインの次に来た船は……フランスだった。


「フランスはスペインよりも金を持っていて投資しまくったので、サトウキビ畑の大規模農業で大儲けします。いわゆるプランテーション、という奴ですね。

 これがまた大成功でして。一時はフランスの富の四分の一をこのイスパニョーラ島で稼ぎ出したそうです」

「はえ~……植民地経営って、当たればそんなデカいんだな」

「ええ。遠い国と貿易して、珍しい品々を交換して売りさばくだけで莫大な利益がでますからね。ウハウハですよ」


 しかしそんなフランスも、時が経つにつれ凋落する。なんかさっきから同じパターンだな。


「フランス革命でゴタゴタした後、ナポレオンさんがあちこち戦争ふっかけまくったせいで、やっぱりお金が無くなりました。

 アメリカにルイジアナ州を売却するついでに、イスパニョーラ島も放棄されたのです」

「毎回思うが、金の切れ目が縁の切れ目ってのは世界共通なんだな……

 あっ。なんか現地の黒人の皆さんが暴動起こしてる」


 フランスの影響力が弱まった隙をつき、西部で黒人奴隷だった人たちが立ち上がった。結果「ハイチ」という国が出来上がる。


「奴隷たちは解放され、ハイチは白人ではなく、現地の黒人たち自らの力でやっていくんだ! という事になりました」

「お~、なんかスゲエ。めでたしめでたしってヤツだな!」

「それがそうでもないんです。ハイチはなまじ独立独歩でやっていこうとしたせいで、大失敗します」

「……へ? 一体どういう事だってばよ?」


 ハイチは国民一人ひとりに土地を持たせ、皆小さいながらも自営農家となった。

 でっかいプランテーションで小作人としてコキ使われていた時代と比べると、とっても良い事のように思えるんだが……


「小規模な自営農って、基本的に生産効率が悪いんです。自分の食い扶持を確保したら、それで満足してしまいますからね。

 大規模農場を運営していた頃は、サトウキビを大量生産して輸出で儲けていたんですが、独立したハイチはそれを封じられ、あっという間に貧乏になりました」

「ダメじゃん!?」

「で、今更方針転換しようにも、プランテーション経営のノウハウを持っていた白人たちは、独立運動の時に追放したのでそれもできない、と」

「踏んだり蹴ったりじゃねーか!? つーかジンバブエと同じパターンだしソレ!?」


 一方、東のドミニカはもうちょっと柔軟だった。欧米諸国とうまく付き合って、経営ノウハウを学んだり経済援助を受けたりして発展したのだ。

 しかしハイチの方は奴隷解放運動の歴史が裏目に出て「反抗的な黒人国家だ!」とレッテルを貼られ、ろくすっぽ支援もしてもらえなかったのである。


「は~……なるほど。それで隣り合わせの同じ島国だってのに、ここまで差がついちまったんだな」

「はい。それでは今度は、ハイチとドミニカを統治した支配者を見ていきましょう」

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