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莉央ちゃんとタイムスリップ!【短編シリーズ】  作者: LED
第4話 聖徳太子は非実在? 編
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二:舌を噛みそうな異名の数々。その意味は?

 聖徳太子こと厩戸皇子(うまやとのみこ)とは。

 元々は蘇我馬子(そがのうまこ)の下で、仏教の英才教育を受けた神童である。


「蘇我氏というのは、渡来人の管理を任されていた一族です」と莉央(りお)ちゃん。

「この時代の日本は、中国大陸や朝鮮半島からもたらされる資源や技術が生命線だったんですね。

 で、当時の中国で最先端の思想は仏教。蘇我氏は利発な厩戸皇子を、仏教エリートに育てようと画策したのです」


 あれから十数年の歳月が流れ、厩戸皇子も立派に成人する。

 推古(すいこ)天皇の御代にて、蘇我馬子と共に国政を支えるようになった。

 インテリで仏教に詳しく、渡来人とも交流が深かった彼の人気は絶大。すでに朝廷内でも中心的な存在となりつつあった。もうこれ十分、聖徳太子だよね?


「へえ~マジで人望すごかったんだな……要するに外交の切り札的なカンジかぁ。

 確かに聖徳太子って、頭良さそうなエピソード多いもんな。

 一度に十人に話しかけられても、的確に受け答えできたっていうし。

 その為に豊聡耳命(とよとみみのみこと)とも呼ばれてる、って話だったよな」

「ああ、すみません下田さん。その話は後世の学者がこじつけただけで、事実ではありません」

「……えぇえ……」


「いやー。細かい名称はホントいっぱいあるんで、詳細はググって下さいとしか言いようがありませんが。

 困ったことにこれらの数多くの聖徳太子の異名――意味が全く分かっていないのですよ」

「意味が分かってないって……どういう事だよ?」

「私に聞かれても。ただまあ、文字として記録に残っているからといって、意味も伝わっているとは限りませんからね」

「って、そういや俺たちはタイムスリップしてるんだよな。現地の人に直接聞いてみりゃいいじゃねーか!」


 ってな訳で俺は、現地のお役人や仏僧らしき人に早速質問してみたのだが……


「すんません! 厩戸豊聡耳皇子うまやとのとよとみみのみこってどういう意味っすか!?」

「どういう意味って……厩戸豊聡耳皇子うまやとのとよとみみのみこ厩戸豊聡耳皇子うまやとのとよとみみのみこでしょ。キミ頭悪いんじゃない?」

「答えになってねえ!?」


 誰に聞いても知りたい答えは返ってこず、むしろバカにされてしまった。


「あー……やっぱりこのパターンでしたか。当時の人間ですら、意味を把握してないですねこれ」

「そんなのアリかよ!? タイムスリップした意味がねえ!?」

「言葉の意味なんて、得てしてそんなものですよ。

 鎌倉時代、執権北条氏って『得宗(とくそう)家』って呼ばれていましたが。得宗の意味を知っている人、誰もいなかったそうです。

 我々現代人だって……例えばそうですね、『マジ卍』ってどういう意味? 由来は? って聞かれて正しく答えられます?」

「うぐっ……確かに……」


 その言葉が当たり前すぎて、いちいち何の意味だか考えずに使ってる――よくある話である。

 どっかの歴史学者が冗談めいて「(うま)年生まれで福耳だったからじゃないの?」なんて言ってたのを聞いた事あるが、案外その程度の由来なのかもしれない。

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