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起:マジキチヤクザの世界へようこそ!

* 今回のあらすじ *


 俺は歴史好きの高校生・下田しもだ一郎いちろう

 クールな幼馴染・莉央りおちゃんと共に、気がついたら過去の日本(鎌倉時代)にタイムスリップしていたぜ!


 そこで俺たちが見たものは、鎌倉武士団という狂気の戦闘集団だった……! コワイ!!


※ 最新の研究学説に基づいて、元寇の描写をしています。たぶん。

※ 参考文献:「蒙古襲来」 服部英雄/著(山川出版社)

 俺と莉央(りお)ちゃんは今、見知らぬ土地をあてどなく彷徨(さまよ)っている。


「ふむ。地形から察しますに――ここは北九州・大宰府(だざいふ)にほど近い場所のようです」

「明らかに周りの景色違うのに、地形だけで分かっちゃうの!? スゲェな莉央(りお)ちゃん!」


 俺のモノローグは莉央(りお)ちゃんに、たったの一行で覆されてしまった。

 前々からクールだと思っていたが……何の予告もなく過去の日本(?)にタイムスリップしたというのに、物怖じせずに状況分析。彼女は同じ高校生とは思えない肝の太さだ。


「あ。あそこに屋敷みたいなの見えるぜ! 今度はチンケなあばら家じゃねえ!

 きっと人も住んでるだろう。何とか事情を説明して、助けてもらおうぜ!」

「下田さん。迂闊に近づかない方が――」


 莉央(りお)ちゃんの言葉が終わるより速く、びいん、という鋭い音がして――俺の鼻先を、飛んできた矢が掠めた。


「ひいィッ!? な、なんじゃあこりゃあ!?」

「やはり。ここは鎌倉武士の家のようですね」


 屋敷の中から、剣呑な雰囲気を放つコワモテの武装集団がワラワラと出現する。


「か、鎌倉武士ィ!? アイツラって、家の近く通りがかっただけでいきなり射撃してくんの!?

 いくら何でも野蛮すぎない!? 何者なんだアイツラ? 某漫画の世紀末モヒカン野盗かよ!?」

「言い得て妙ですね、下田さん。この際ですから教えておきます。

 彼ら鎌倉武士を、現代人の価値観で測るなら――超実戦型のヤクザ軍団です。

 いえ。ヤクザというのもおこがましい……極東に目覚めし奇跡の戦闘民族といっても過言ではないでしょう」


 俺は腰が抜けてしまった。だって今、殺されかけたんだよ!? 普通ビビるよね!?

 ってか莉央(りお)ちゃん、幼馴染が目の前で死にかけたってのにクール過ぎない!?


「奇跡ってか悪夢じゃね?」

「見て下さい、あの壁にかかっている醜いオブジェを。ここら辺を通ったせいで射殺された犠牲者の首です」


「おええええッ……ウッソだろ……アタマおかしい……!」

「鎌倉武士としては普通です。むしろ最初の一射目で死ななかっただけ、私たちは幸運でしたね」


 ともかく、俺と莉央(りお)ちゃんはあっという間に鎌倉武士に取り囲まれてしまった。


「なんだァてめぇら。おかしな格好しやがって。

 このお屋敷が、泣く子も黙る○○家のモンと知ってて通りがかったんだろうなァ!?」


 メチャクチャ人相の悪い武士の一人が詰問してくる。

 周囲の雰囲気から察するに、俺たちがどう答えようが(なぶ)り殺しにする気マンマンだ! コワイ!


「いいえ。全く知りませんでしたが……ここで私たちを殺すのは損ですよ」


 この状況でも悲鳴すら上げず、凛と立つ莉央(りお)ちゃんスゲエ。


「……あぁん? 命乞いかぁ?」

「そうです。私たちはあなた方のお役に立ちます。読み書きができますから。

 来たるべき戦争に備え、あなた方の活躍・手柄を記録する係……必要でしょう?」


 莉央(りお)ちゃんの言葉を聞き、鎌倉武士(チンピラ)どもはやや態度が柔らかくなった。

 命惜しさの世迷言として問答無用で惨殺される未来もあったのだろうが……莉央(りお)ちゃんの堂々たる振る舞いに、どうやら只者ではないと察したらしい。

 俺たちは屋敷に入り、武家の頭領と対談。実際読み書きができる(莉央(りお)ちゃんと俺は書道の心得もあり、それなりに達筆だった)と証明できたため、この家に雇われる事となった。

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