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辺境の冒険者Aさん  作者: ミの人
98/401

98 冒険者Aさんと宿屋でちょっとひとっ風呂

あらすじ:仕事をさぼるギルドマスターは駆逐だっ! (※ 死んでません)


視点:すっかり機嫌の直った大妖怪 ミケニャンさん

『』:アルファさん


(ザバー・・・ザッバー、チャプチャプ)


「(にっこぉ~)さあ、ご主人様!

 次はミケの尻尾ですわよ!!」


『ほいほい。(しゃかしゃかしゃか)

 まったく、ご主人様使いの荒い従者様やな~』


(チャプンチャプン)


「ふあーーーー、うおっ。

 こんなに大きいお風呂もあるんですね!?

 気持ちいいです~!! うおっ」


「すごい! でっかい!(バシャンバシャン)

 気持ちいい! 超気持ちいい!!

 すごいね!? 叔父さん!

 わたし、こんな大きいお風呂って初めて!!

 いつものでっかいお鍋とは全然違うね!?」


「(にこにこ)ははは、そうだね、エイトちゃん。

 アルファさんがこのお風呂と装置を作ってくれたし

 薪割りと水汲みさえがんばったら

 これから毎日でも入れるんだよ?」


「毎日お風呂!? すごいね! 超すごい!!

 そうだ! 今度ノースちゃん連れて来て良い?

 ノースちゃんにも教えてあげたい!(ザバーーー)」


「(にこにこ)そうだね、今度と言わず明日連れておいで。

 そうそう、その時にはね? ノースちゃんのご両親も

 ゼークスさんとノイツェさんも誘うんだよ?

 ご一家でどうぞってね?」


「良いの!? だから、叔父さんって大好き!

 ありがとう! 超ありがとう!!(バッシャーン)」


『(わっしゃわっしゃ)あ、そういや、ツリーさん。

 このお風呂って、泊り客以外はどうすんの~?

 こっちは頼まれたから、作っただけやけど。

 外部客にも料金取って開放するん~?』


「(にこにこ)いえ、開放はしないつもりです。

 宿泊のお客さんと知り合いの方だけですね。

 お掃除は私達でしますけど、さすがに手が足りませんし。

 器具等のメンテナンスは

 ゼークスさん達に頼む予定ですしね。

 その代わり、お風呂は自由に入って下さいと言う事で

 既にお話はしてありますので」


「(にっこぉ~)あー、それは良い手ですね~。

 ご主人様~気持ちいいです~~~(わしゃわしゃ)

 鍛冶仕事は汗だくになりますから

 大きいお風呂はあちらにも好都合でしょうしね~」


「(すすすすっ)お師様。

 お師様のお背中は私が流させて頂きますね?(うっとり)」


『(わっしゃわっしゃ)おー? ありがとうな~、ユキ。

 ほれ、ミケ~、どこかかゆい所はございませんか~?

 ん? 何か尻尾の毛、増えとらん?(しゅぱしゅぱっ)

 ・・・ちゃうわ、尻尾自体でかくなってないか?』


「(にっこぉ~)えー? そうですかー?

 冬毛にはまだまだ早いですし、栄養つきすぎて太った?

 ・・・・・・あーーーー、ひょっとするとアレですかね?

 【大妖狸】の特性とか」


『あん? 特性?(ザパーーー、ザパーーーー)

 ・・・・・・あーーーー、あるかもなーー』


「おふーー、これならおででも全身浸かれていいだなぁ。

 アルさんアルさん、特性とかどう言う事なのかな?」


「(ごっしごっし)お師様、特性というのは、はぁはぁ。

 【妖怪】特有の、尻尾が増えるとか羽根が生えるとか

 そう言う類のものでしょうか?(ごくりっ)」


『せやな、ユキ。

 あんなー? ロバやん。

 【フソウ】の【妖怪】には、年月を経たり力が増したりすると

 身体的な特徴が変わるのが多いんや。

 例えば、年老いた猫は尻尾が二股に分かれて【猫又】になったり。

 狐の【妖怪】の【妖弧】なんて、年月を経て千年生きたら

 九尾の【妖弧】である【天狐】になるって言われとる。

 【妖狸】の場合やったら・・・どんな話しあったっけ?

 ・・・ああ、そうやそうや。

 腹を膨らませて、家よりもでかい腹鼓をポンポコ叩いたり。

 茶釜になって綱渡りしたり?

 金玉袋を巨大化させて、旅人を包み殺したり・・・・・・?』


「きんたま!? きんたまってあれだよね!?(じーーーーー)」


「(にこにこ)こらこら、エイトちゃん。

 女の子がそう言う事を連呼しないの。

 そして、見ようとしなくていいからね?」


「(ぼそっ)伝承の【妖狸】って変なのが多いですよね」


「(にっこぉ~)こら! そこ! ユキさん!

 狸が変とか言わない!!

 ちゃんと燃やされたり、からし味噌塗られたり

 泥船に乗せられて海で溺れ死んだりもするでしょ!?

 ・・・ダメじゃーーーーーーん!!!!!!??」


『(ジャバジャバ)まあ、ええやん、ミケはミケやろ?

 でもまあ【妖怪】で、尻尾が増えたりでかなったり系は

 多いみたいやし、別にデメリットも無いみたいやしな。

 (ザパーーーー)それよりも、ミケ。

 今日の仕上げは、ふわっふわになる液と

 しっとりになる液とどっちにすんのや?』


「(にっこぉ~)ふわっふわでおなしゃす!!」



▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽




(シャカシャカ、コシコシコシ)



 はっふう~。


 久々のゆったりお風呂は良いですわね!!


 こっちの大陸は、大きい銭湯どころか


 ご家庭にシャワーすら無いですし。


 まあ、さすがにギルド御用達の【ビアー】まで行けば


 シャワー室借りれますけど、一々行くのは面倒ですしね!


 ほら! サクさんもエイトさんも、頭洗いますわよ?


 え? 子供じゃないから1人で洗えます~ですか?


 良いから、目を瞑って動かないで下さいまし!!


 は? ご主人様に対して怒ってないのか、ですか?


 あの程度、いつもの事ですよ?


 いえ、いつもよりも優しいぐらいじゃないですか、おほほ。


 ほら! いつまでも喋ってると口に入りますわよ?


 流しますので、口も閉じてくださいまし!



(ザッパーーーー「もがもがもがー」ーーーーー)



『わはは。

 サバミソとロバやんは、長風呂苦手やからもう上がったけど。

 みんな、楽しんでくれたようで何よりやわ。

 な? ツリーさん、流し場も広めに作って良かったやろ?

 シャワーだけやったら、2・3人用の浴槽だけでもいけるけど。

 こんだけ広めの浴槽にするんやったら

 やっぱ、広い流し場も必須やからな!』


「(にこにこ)ええ、オススメの通りに

 広めで作って頂いて正解でしたよ。

 ああ・・・何か【フソウ】の露天風呂を思い出します」


「それにしても、お師様、凄いですね。

 本職の風呂職人もびっくりの、立派なお風呂場じゃないですか。

 浴槽や流し場も、簡易に見えてしっかりした造りですし

 床下に設置してあるのは【保熱石】と【吸水石】ですよね?

 ・・・なるほど、これで熱を逃がさず、湿気も防げる訳ですか。

 あっ、浴槽の中にも【保熱石】を設置してるんですね!?」


(ザッパー「もにゃもにゅもにゃー」ーーーン)


『ほーーーん!? 凄いなユキ。

 よー、見ただけで分かったもんやわ。

 そんだけ知っとったら、俺が師匠として教えれる事なんて

 あんまし、無いんとちゃうか?』


「何をおっしゃるんですか! お師様!!

 私の知識は、所詮、書物や伝聞で知ったものばかりですし。

 そもそも、【保熱石】も【吸水石】に関しても

 知られているのは、武具やマジックアイテムとしてだけです。

 こうやって、身近な物に応用する技術はお師様でないと!?

 やっぱり、お師様ですよ!!

 お師様でないとダメなんです!!!!(ふんすふんす)」


『お、おう!?

 まあ、ユキが納得できとるんやったら、別にええんやけどな。』


(シャワワワワワワワワーーーーーキャッキャッ、ワーワー)


「(にこにこ)ははは、ノブユキさんは

 心からアルファさんを慕っているってのですね。

 端から見ていてもよく伝わってきますよ。

 ・・・ああ、そういえば、アルファさん。

 脱衣所は壁の有る小屋になっていましたが

 お風呂場は周囲を衝立が囲っているだけなのですね?

 まあ、それはそれで開放的で良いのですけど・・・」


『あー、それなんやけどなー。

 どないしょっかな・・・、いや今は夜やし。

 明日また明るい時に見て貰ってから

 メンテ方法含めてネタばらししよーと思ったんやけど』


(ぺったんぺったんぺったん、ザブブーーーーン)


「(にっこぉ~)あら? ご主人様。

 もう衝立のネタばらしされてしまわれるんですかー?

 明日っておっしゃってませんでしたか?」


「(ザバッ!)え!? ネタばらし!?

 アルファのおじさん!

 衝立ってあの周りに立ってる板だよね?

 え!? 何々!? 何か秘密あるの!?」


「あふあふあふ・・・ふわぁ・・・(ぽわーーーん)」


『わはは。

 まー、詳しい事は、明日説明するとしてな。

 実はこの風呂場って、外から見ると

 壁に囲まれた小屋になってるんやで?』


「ふわっ!? えっ!?」


「えーーー? ・・・・ははーん!?

 わたしをだまそうとしてるんだ!

 子供をだまそうなんて、悪いおじさんだな!?

 超悪いおじさんだ~~~!!」


「いえ、それが、本当なのですよ。

 私もお風呂場の中を見た時、心底、驚きました・・・。

 今でしたら、多分こういう事なのかな?

 ・・・という予想はありますけど。

 私も知りたいです、お師様」


(ジャブジャブジャブ、カポーン)


『わはは。

 まー、ネタばらしするとやなー。

 実際には、外見通りの小屋になっとって

 周囲もちゃんと全面板壁で覆われてるんや。

 防腐の塗装した丈夫なやつでなー?』


「へあっ!? あ、あ、アルファ様?

 わ、わたしには、板壁の上と下に

 隙間が空いてる様に見えます。

 あ、あと、正面のこっち側の方は衝立ありませんよね?

 お山が見えますし・・・あの・・・?」


「(にこにこ)なるほどなるほど。

 そこに、アルファさんの凄い技があるわけなんですね?」


「(にっこぉ~)おほほほほ! そう言う事ですわ!!

 ご主人様はとっても凄いんですのよ!!

 板壁の内側には、外の景色が見える様に

 正面と上下に【透過の染料】を使用しておりますの!!

 これで、開放感は抜群!!

 その逆に、外側には【透過防止の染料】を使用!!

 魔法で覗きなんて下劣な真似は、絶対させませんわ!

 おまけにこの壁! 防音に関しても細工がしてありまして

 聞こえる音は、外から内への一方通行のみ!!

 中の音は一切漏れませんわよ!?(ドヤァ!)」


「!?(えーーーーーー!?)」


「ふわぁ・・・よくわかりませんけど、凄そう!!」


『って、全部お前がゆーんかい、ミケ!?

 ・・・まー、壁に関してはそんなとこやわ。

 ちなみに、排水はツリーさんの希望通りに

 バッチリ循環系にしといたで?

 浴槽の底に排水用の栓も付けといたし

 湯気も含めて、風呂場から出る水は全部

 外の貯水槽に溜まる様にしといたで~~?

 しかも、その貯水槽には浄水機能付けとるし

 風呂場の湯沸し槽まで水道も引いてあるから

 何回でも使える様にしておいたわー』


「(にっこぉ~)おまけに、貯水槽の上部には

 雨水も取り込める仕組みにしてありますし

 内容量は何と外見の5倍!!

 最初にたっぷり水補給しておきましたので

 水不足の心配もありませんわ!!(えっへん)」


「・・・!!?(それって、まさか!?)」


「う~~~ん!! よくわからないけど

 凄いね! 超凄い!!!

 さすが、ミケおねえさんとアルファおじさん!!

 やったね!? 叔父さんっ!!」


「(にこにこ)はは、そうだね、エイトちゃん。

 こんな立派なお風呂を作ってくれた

 アルファさんには感謝しないとね。

 エイトちゃんも明日からのお手伝いは

 今まで以上に頑張ってもらえるかい?」


「うん! 任せて!! 超任せてよ!!!」


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猟団の団長Bさん
こっちはチートや変態成分高めの傭兵稼業です。



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