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辺境の冒険者Aさん  作者: ミの人
96/401

96 冒険者Aさんと盾のあれ・これ・どれ?

あらすじ:攻撃スキルの単発ぶっぱは、逆に危険だそうです。


視点:Eランク冒険者 ソーサラーLv1 ノブユキ・ムトウさん

『』:アルファさん


「っ!!!!!??」



 ああ・・・シゲのこの反応・・・これは駄目ですね。


 あまり、お師様のお手を煩わすのもご迷惑ですし。


 ここは私が・・・。



「うん・・・シゲ?

 その様子だと{防具}だと思ってたのだろうけどね。

 盾は分類で言えば{武器}なんですよ?」


「「え”え”え”っ”!?」」


『そっちのねーちゃんも一緒に驚くんかい。

 ま、しゃーないんやけどな。

 特に【フソウ】って、他の大陸と違って

 {武器屋}とか{防具屋}って無いからなー』


「この町みたいな、小さい町もそうですよね。

 全部纏めて{鍛冶屋}で受注生産ですから。

 ギルド御用達の【ビアー】でも

 {武具ショップ}で一纏めになってますし。

 多分、知らない人の方が多いんじゃないでしょうか?」


「あの・・・、私も知りませんでした」


「僕も防具だと思ってました、うおっ」


「あ、あの、おでも・・・」


「あ、あのその、わ、わたしも・・・」


『わはは。

 何や、モブ子ちゃん達もかー。

 こん中で知っとったのはユキだけやったんやな。

 まー、纏めて教える機会と思ったら丁度ええか。

 ・・・おっ! そうや、ユキ。

 知ってる範囲でええから、説明してみてくれるか?』



 ・・・!!


 こ、これは・・・大チャンス到来ですか!?


 上手く説明できれば、お師様に誉めて・・・いえ!!


 抱きとめて、頭を撫でて頂けるかも!!?



「(じーーー)あらあら、うふふ~」


「それでは僭越ながら、私の知っている範囲で

 簡単な説明をさせて頂きますね。

 ・・・そもそもですね、{防具}とは何でしょう?

 モブコさん、分かりますか?」


「えっ!? 私ですか!?(あたふた)

 ぼ、{防具}とは! ・・・えっと?

 ・・・体に身につけて、体を守る物?」


「はい、その通りです。

 さすが、専門の戦士クラスの方ですね、お見事です」


「え? あ、はい、えへへ(照れ照れ)」


「「・・・・・・(ぎりぃっ)」」


「えっと・・・ですね、少し極端な話になりますが

 私は{武器}と{防具}の一番の違いは

 結局の所、どういう目的で身につけているかどうか?

 ・・・だと思っています」


「どういう目的かどうか・・・ですか?」


『ほーー?』


「へぇ・・・まあ、確かに、少し極端ですね」


「先程モブコさんがおっしゃった通り。

 {防具}とは、攻撃を受ける事を前提として

 そのダメージを減らす目的で、身につける物ですよね?

 ・・・それでは皆さん。

 例えば、想像してみて下さい。

 最初から、相手に叩きつける、攻撃する事を目的に

 ・・・鎧を手に持ったとすれば

 それは立派な{武器}ではないですか?

 少なくとも、もう{防具}とは呼べませんよね?」


「・・・・・・あ、なるほど。

 そう考えたら、例えば、鎧じゃなくても

 その辺に落ちてる、木の枝でも石でも

 攻撃をする目的で手に持っていたのならば

 {武器}になりますよね? うおっ」



 うん・・・なるほどですね。


 私も【リューグー人】とは初めて会いましたけど


 お師様がおっしゃる様に、サバミソ君は確かに察しが良い。


 少し、私の例え話を聞いただけで、あっさりと理解して


 さらに、応用まで考えてしまえるのですね?


 はあ・・・姉様とシゲもこのぐらい察しが良ければ


 私ももう少し楽でしたのですけど・・・。



「・・・あっ・・・確かに。

 その例えなら、拙者でも分かるでござる、兄上」


「で、でも、でもでも、ユキちゃん!

 元々、盾は相手を殴る為に作られたわけじゃないでしょ?

 鎧とかと同じで攻撃から身を守る物なんだったら

 拙者は、やっぱり{防具}だと思うでござるよ!!」


「いえ? 違いますよ、姉様。

 盾は、当たったダメージを軽減する目的の道具では無く

 そもそも、攻撃を受けない為に手に持って扱う道具です」


「・・・えっ?」


「例えば・・・そうですね。

 姉様、敵が刀で切りかかってきたらどうされます?

 姉様は刀で攻撃を受けるか、流すか打ち払いますよね?」


「まあ、そうでござるね」


「それとどう違うのですか?

 道具の形が違うだけで、やっている事は同じですよね?」


「・・・た、確かにそうでござるが(むーーーー)」


「「「あー」」」



 全く・・・姉様も頭では分かってしまったとしても


 感情が先に立って、理解したくないのでしょうね。


 ・・・もう、面倒臭い姉様ですね。



『わはは。

 頑固者のねーちゃん以外は

 みんな何となく納得できた感じやな。

 うん、ユキは例え話も上手いし、説明も簡潔で丁寧やん。

 たいしたもんやな! (ぽんぽんっ)

 よっしゃよっしゃ!

 おっちゃんが誉めたるわ~(なでなでなで)』


「「!!!!!!」」


「・・・誉めてもらえるの、いいなぁ」


「確かに、拙者も兄上の説明で理解できたでござる。

 さすがは、拙者の敬愛して止まない兄上でござるよ!!」



 (ぷるぷるぷる)・・・ふふふふふふふふふふふ。


 お師様は、その素晴らしい技術や講釈の数々を

 

 ご自分で書などに残される事はありませんが。


 教えを受けた方が残している事はあるのですよ!!


 あふっ・・・【フソウ】内に残っている関連書は

 

 大半に目を通して記憶し理解しましたし。(びくん)


 大陸外の物は、母様や父様の伝手を借り・・・んっ!


 【五十六商会】に依頼して取り寄せたりもしました。


 うぬぼれでは無く、お側に仕えているミケ様の次に

 

 お師様の思考も嗜好も理解している・・・はぁはぁ。


 自負はあります!!・・・んっ(びくくっ)



「・・・うわぁ・・・このご主人様マニア、やべぇです」


『んじゃ、まー、ついでにちょっと補足しとこーか。

 (スチャッ)ほれ、この【メイス】見てくれるか?

 ここ、ここの部分や!(つんつん)

 これな? ガードの、鍔の部分からぐるっと覆ってて

 柄を握った時、手を守る様な形になっとるやろ?』


「はい、拳をすっぽり覆える形のガードですよね」


『これって【ヒルト】って言う、一体型のガードなんや。

 まー、握る手を護る為の物では有るんやけど

 ここの出っ張り(つんつん)で引っ掛けて受け止めたり

 受け流したりする事が出来る様になっとる訳やな。

 そんで、それだけやなくて、その他にもなー?

 この部分で、直接殴ったりもできる様に作られとる。

 ・・・で、何か気ぃ付かへん?』


「受け止めたり、受け流したり、殴ったり・・・」


「えっと、盾と使い方が似てますね、うおっ」


『おっ! サバミソ、正解や!

 キミもホンマ察しがええよな~。

 よっしゃ! サバミソも誉めたろー!

 よーしよしよしよしよしよし~!(なでなでなで)』


「「ぐぬぬぬぬぬ」」


「(ぼそっ)・・・いいなぁ、わたしも誉められたい」


『それとな、おまけの補足やねんけど

 盾ってのは{メイン武器とセット}なんやわ。

 {鎧とセット}じゃ無くてな』


「えっ? そうなんですか? うおっ」


「メイン武器と・・・ああ、確かにそうですね。

 用途考えたらその方が納得です。

 ・・・・・・あれ? そう言えば・・・」


『ん? モブ子ちゃんどーかしたんか?』


「アルファさん。

 私、前に王都に居た時なんですが。

 向こうの{防具屋}では{鎧とセット}で

 展示販売してたのを見たんですけど。

 あれって、何故なんでしょうか?」


『あーーー、それなー。

 まあ、他のでかい町でもそうなんやけどな。

 {武器屋}と{防具屋}で店が分かれてる場合。

 確かに{防具屋}でも置いてる店はあるんや』


「!?(がばっ)

 ほ、ほら! やっぱり防具なんじゃ!?」


『ちなみに、そうゆー店ってな。

 店主の人も、商売で取り扱ってるだけで

 大半は戦いに関して素人さんなんやわー。

 作ってる所から仕入れてきて、販売してる訳やな。

 確かに、装飾とか色とかをお揃いにして誂えた

 鎧と盾って、セットで展示すると見栄えはええねん。

 でも実際は、見栄え重視の儀礼用なんやねんな、アレって』


「ぎ、儀礼用?」


「王都とかだと騎士や貴族の人も利用するでしょうし。

 そういう公式の場に出る、金持ちの人向けですねー。

 商売で売ってるだけの商人には

 実戦向きかどうかなんて、知った事ではありませんし」


「な、なるほど。

 確かに・・・今考えると

 装飾ばっかり豪華で、実戦向きじゃ無かったと思います

 ま、まあ、私達は駆け出しの貧乏パーティでしたので

 いいなー格好いいなー、って眺めるだけでしたけど。

 あははは・・・(てれてれ)」


「うぐっ・・・な、何で。

 何故、{鎧と盾のセット}が

 実戦向きじゃないと言えるんでござるか!?」


「えっ!? あの。

 鎧と盾がお揃いでも、何のメリットも無いですよね?

 でも、左右の手に形や重量のバランスが悪いのを装備したら

 戦い難くて仕方ないですよね?

 それにもし、最初からセットで作られた物じゃ無くても。

 {武器屋}で、剣や盾が一緒に販売されてるのなら

 その場で手に持って、しっくりくるの選べますよね?」


「確かに、戦い方で形や重量バランスって変わりますし

 【サムライ】にとっての、刀と鞘の関係に似てますね。

 ・・・それと・・・姉様?

 もう、いい加減にして下さいね?

 今でも十分失礼ですけど

 それ以上は、本当に無礼に当たりますよ?」


「ぬぐっ・・・だって・・・」


『わはは。

 まーまー、ええやないか、ユキ。

 その手の議論で熱くなる事も有るもんやってー。

 ・・・そうそう、そんでな?

 何か、左手を使う話から盾の話に移ってもーたけど。

 ぼちぼち、左手の話に戻るでー?』


「・・・・・・(もじもじ、ちらっちらっ)」



 はうっ・・・さ、さすが、お師様。(ぷるぷるぷる)


 あれだけ無礼を働いた姉様を笑ってお許しになるだなんて!


 さすがです! 


 ・・・ふふふ、モブコさん。


 実はお師様に誉めて頂くのを、少し期待してたのですね?


 私にはお見通しですよ・・・私もそうですし。


 ですが、実に残念です。


 そのぐらいでは、お師様にはお褒め頂け無かった様で・・・。

 

 それに、もう話題も変わりそうですしね?


 やはり、あのお師様の絶技を味わえるのは限られた・・・。



『あ、それはそうとして。

 その前に、ええ話題を振ってくれたモブ子ちゃんを

 存分に誉めたらなあかんな!!

 モブ子ちゃん~! 次からもどんどん話題振ってな?

 ついでに、きっかけ作ってくれてありがとうな~

 ホンマ、ええ子やな!(ぽんぽんっ)

 よっしゃ、よっしゃ、よっしゃ!(なでなでなで)

 おおっ!?(もふんもふん)

 モブ子ちゃんの髪の毛はポワポワのモフモフで

 撫で心地ええな!!』


「はふぅ!? あわわわ(てれてれてれ)」


「「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ」」


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猟団の団長Bさん
こっちはチートや変態成分高めの傭兵稼業です。



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