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辺境の冒険者Aさん  作者: ミの人
95/401

95 冒険者Aさんと戦闘のスス〆

あらすじ:左手の使い方と言っても卑猥な意味ではありません。


視点:もうすぐ脱・下級 行者 サムライLv3 ノブシゲ・ムトウさん

『』:アルファさん


「「「「「「左手の使い方?」」」」」」


『せやでー。

 まあ、左手っちゅーか、正確には

 メイン武器持ってるのと反対の手の事やねんけどな。

 とりあえず、左手って事にして話すで?』


「あ、はい、お願いします、うおっ」


「左手・・・左手?」


「メイン武器を持っていない手・・・盾って事ですか?」


「ほわー?」


「・・・意味が分からないでござる」


「・・・・・・あ、あら~?」



 えっ? 母上が知らない・・・?


 基本なのでござるよね?


 どう言う事でござろうか?


 ・・・・・・それにしても。


 拙者も敗北に衝撃を受けたでござるが


 姉上が想定外に衝撃を受けてる姿を見てたら


 何だか平静を取り戻せたでござるよ。


 まあ・・・一応、拙者は2対1でござったし


 相手の2人は、攻守の連携も取れてたので


 悔恨よりも、納得の方が大きいでござるが


 姉上は1対1でござったしなあ・・・。


 おまけに、完全に格下だと思っていた相手でござるし。



『わはは。

 まー、マリちゃんは感覚で動いとるから

 多分意識せんとやっとる技術やと思うで?

 それでやなー・・・うん、弟くんが丁度ええかな』


「えっ!? 拙者でござるか?」


『せやでー。

 ちょいと、実践演習を手伝って欲しいから

 (ずびしっ)そっち側に立って構えてみてくれるか?

 獲物はキミの持ってるその太刀でええから』


「こ、こうでござるか?(しゃきーん!)」



 む、むむむ!


 拙者、何させられるんでござろうか?



『よっしゃー、んじゃ、とりあえずな

 まずは、上段で切りかかってきてくれるか?』


「えっ!? き、危険な・・・」


「いいから早くしなさいな!

 あなたごときが、ご主人様を心配するなんて

 少なくとも30年は早いですわよ?」


「なっ!?」



 さ、30年・・・。


 そこまで馬鹿にするでござるか!?


 今持ってるのは、さっきまで使っていた木刀ではなく


 ちゃんと銘入りの、れっきとした真剣でござるよ!?


 当たれば大怪我は必然。


 ・・・・・・ええい!! 構うものかでござる!!



「で、では行くでござる!!(シュランッ)

 とあああああああああ!!!!!!(がばっ!!!!)」


『(すっ)相手の攻撃に対して前に出て~。

 (ガギンッ)相手の武器に{盾を当てに行く}っと。

 ポイントは、出始めの{手の部分}を狙う感じや』


「ぐぬっっ!?」


「ほう・・・、さすがにあっさりと受け止めたでござるな」



 ど、どうしてそんなにあっさりと止めれるでござる!?


 さっきの模擬戦も、徹底的にこれをやられて


 拙者の攻撃や動きがほぼ封殺されたでござる。


 盾というのは、攻撃から身を守る物では無いのでござるか?



『まー、こんな感じやな。

 かなーり前の方で当てに行く訳や。

 弟くんは不思議そうな顔しとるけど

 別に特別な事はなーんもしとらんし

 ちゃーんと理由もあるんやで?

 はてさて、今ので何か気づいた子はおるかー?』


「・・・お師様。

 1つは、相手の攻撃を最小限に抑える為ですよね?

 攻撃が伸びきる前に、打点をずらして勢いを殺す」


「打点をずらす?

 ユキちゃんはわかるんだ・・・」


『ほー、流石にユキは既に知っとったか。

 せやなー。

 理由の1つはそれで正解や。

 剣にしろ刀にしろ、武器が長ければ長いほど

 打点ってのは前になるからなー。

 早い段階で盾をぶつけときゃ

 武器の威力は最小限も発揮でけへん』


「基本的にどんな武器でもそうですけど

 武器って言うのは、振り回す事で遠心力を利用して

 重量でぶっ叩く道具ですからねー。

 硬度や刃の鋭さなんてのはオマケみたいなものですよ。

 手前で勢いを殺されたら何の意味も無くなります」


「・・・な、なるほど。

 ひ、1つと言う事は、まだ有るのでござるか?」


「えっと、アルファさん。

 他の理由の1つって、受けた後の事ですよね?

 受けた後に行動の主導権を握れるって事だと思うんですが」


『おっ、それも正解やモブ子ちゃん。

 ええねー、ちゃんと理解してくれとったか。

 ・・・受けた際にな、相手が取る行動は3つしか無いんや。

 {前に押す}か{後ろに引く}か{硬直する}かやな』



 拙者は呆然として、完全に硬直したパターンでござるな。


 ・・・ああ、なるほど。


 それが分かっていれば、後の行動は対応し易いでござるな。



「シゲ、硬直した際のその隙。

 反撃されるには十分すぎる間だったよね?

 戦場においては致命的な隙だったのは理解できてるかい?」


「はい、兄上。

 さっきの模擬戦の時は挟撃されてたので

 焦ってて気付きませんでしたが

 こうして、1対1であっさり防がれた上、説明までされれば

 さすがに拙者でも納得できましたでござる。

 はは・・・一瞬、頭真っ白になりましたよ」


「まー、初見だと大半は硬直しちゃうでしょうね。

 気持ちよく攻撃ぶっぱしようとしてたのに

 いきなり手前で止められて、動き規制されたら

 そりゃー、思考も止まるってもんですよ」


『せやな。

 まー、そこら辺は慣れで対処するしかないからなー。

 理解しながら色んな状況の経験積むしか無いわ。

 ・・・そんでやな、盾を一当てした後の行動なんやけど

 相手が力押ししてくるんやったら、いなせばええ。

 じゃあ、弟くん。

 ちょい、この状態で、力押ししてみてくれるかー?』


「え? 力押し? ・・・こ、こうでござるかっ!?

 ぐ、ふぬぬぬぬぬぬ!!!(ぐぐぐぐぐぐぐっ)」


『そーそー、そんな感じそんな感じ。(ぐぐぐっ)

 ・・・で、その場合なんやけどな?

 相手の勢いに合わせて、盾を一瞬だけ手前に引くんやけど

 その時に、盾を起点にしてな、勢いを横か後ろにいなす訳や。

 例えば、こんな感じに・・・なっ! っとな(ひょい)』


(ギィンッ! スカッ)


「(がばっ)うわっ!?

 おっととととっ!?(どだだっ、よろよろよろ)」


『これで、体勢を崩した相手は隙だらけになるやろ?

 後は、背中でも足でも好きに攻撃したらええし

 一旦後ろ下がって体勢を立て直すのも有りや。

 ま、そこは状況次第やけどなー』


「アルさん、相手が後ろへ引いた場合はどうすれば? うおっ」


『その場合は、こっちも引いた方がええな。

 追撃に行こうとしたら、こっちの体勢も崩れるから

 逆に返り討ちに遭う可能性の方が大きいんや。

 相手が引いたら、こっちも引いて仕切り直しが無難やな

 要はこっちがやられなきゃええねん。

 負けなきゃ勝ちってな』


「なるほど、分かりました! うおっ」


「あらあら、{負けなければ勝ち}ですか~?

 【行者組合】では絶対に許されない事だけど

 冒険者としては大事なことなのよね~」



 確かに、母上の言う通り、組合だと教わる・・・


 と言うか、言い含められるのは逆。


 何が何でも対象を討伐しないといけないので


 {死ぬなら、刺し違えてから死ね}と教わるでござる。



『ちなみに、相手が引いた時に、飛び道具で追撃は有りやで。

 例えば、サバミソやったら魔法使えるやろ?

 【マジックアロー】で魔法の矢をとばしてもええし

 【コモンスキル】の【ライト】で目潰しも有りやな。

 戦士系やったら、武器から衝撃波飛ばすスキルや

 属性魔法を打ち出すスキルも有ったやろ?

 そうゆーのは追撃に使うと効果的やな』


「魔法は・・・まあ、弓矢とかもそうですけど

 本来は相手の射程外からの遠距離攻撃に使う物ですしね。

 中途半端な距離で、単発使用しても

 避けられるか防がれるかで、あまり効果無いし

 使用後の隙が大きいから、逆に危険なんですよ。

 近距離で相手が体勢崩して下がってる時なら

 魔法も、ほぼ確定で当てれますし、反撃されにくいです」


「な、なるほど、魔法を使うにしても

 使い方で効果的かどうか変わるんですね! うおっ」


『せやでー。

 そういや、最初に訓練した時。

 下段や中段からの攻撃を推奨したやろ?

 あれもな、盾を併用すると効果的やねん。

 ってゆーか、それ前提の使い方やな』


「併用ですか?」


「目隠し効果ですよね? お師様。」


『せやな。

 何やユキに教える事って、あんまし無さそうやなー。

 ・・・まあ、そうゆー事や。

 元々な、体の構造上、足元ってのは死角なんや。

 で、逆に目の高さやそれより上ってのは反応し易い。

 だから、上段からの攻撃ってのは見え見えやねん。

 それでやな、例えば・・・(ずずいっ)』


「(びくっ)うっ!?」



 うおっ・・・び、びっくりしたでござる!


 突然、鼻の高さぐらいまで盾を突き出されて・・・。


 ・・・あ、これは確かに。



『どや? 弟くん、中段、下段って見えるか?

 ついでに、その状態から攻撃とかできそうか?』


「いえ、そのどちらも難しいでござる」


『やろ?

 これで、胴でも足でも攻撃し放題や。

 まあ、メイン武器にもよるんやけど

 剣や斧持ってて、これやられるとなー

 後ろに飛んで、距離空けるぐらいしか無いんやわ』


「なるほど、その為の中段、下段の攻撃なんですね?」


『せやで、モブ子ちゃん。

 相手の攻撃にぶち当てるの慣れたら、併用できるで?

 例えば、相手の攻撃を防ぎつつ視界を塞いで、下段に反撃。

 さらに、相手が後ろに飛んだらスキルで追撃するやろ?

 それで、相手が怯んだり倒れたりしたら

 おまけで、更に追撃のボーナスタイムやな!』


「更に追撃・・・」


「・・・あ、何かイメージできました!

 それなら、攻防の隙も少なそうですし

 大ダメージを負うリスクも少なく戦えそうですね!!」



 つまり、その一連の流れというのは


 さっきの模擬戦で、拙者が2人がかりでやられていた事を


 1人でできる様になるという事でござるな。



「・・・それに、分かってるかどうか知りませんけど

 ご主人様が今おっしゃった戦闘方法って

 特別な事、何もしてませんからね?

 神様の加護も特殊能力も必要ないんです。

 追撃方法も道具で代用できますしね」


「アルさん、ミケさん。

 お、おでだったら追撃するにはどうしたらいいだか?」


『ロバやんやったら、【コモンスキル】と道具やろな。

 例えば【ライト】の光で目潰ししてもええし

 【クリエイトウォーター】で水を顔に噴出してもええ。

 んで、相手が驚いて倒れてくれたら、ナイフや石投げつけたり

 【小オイル】【大オイル】投げつけて、焼き殺すのも有りや。

 【コモンスキル】は修得にクラス制限無いし

 何だかんだで冒険中に使い勝手ええスキルばかりやしな。

 ギルドポイントに余裕出たら覚えるとええわー』


「な・・なるほど、なんだな」


「あらあら~。

 クニちゃんもシゲちゃんも、理解はできたかしら~?

 あなた達は攻撃しか意識してなかったみたいだけど

 基本の攻撃と防御と回避。

 それを織り交ぜた、応用的な戦い方が大事なのよ~?

 神様の加護や術は便利で強力だけど

 それだけを単発で乱用しても、通用するのは最初だけ。

 使うなら、効果的に使える状況を作り出して使うの。

 それが出来ないと、この先厳しいわよ~?」


「・・・・・・」


「母上、拙者も目から鱗と言うか

 非常に参考になったと言うか・・・。

 少なくとも、自分の至らなさには気付いたでござるが。

 盾という物の認識が変わりました。

 まるで、武器の様な使い方をするのでござるな・・・」


「「『は?』」」



 ・・・えっ!?


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↓ こっちも開始しました・・・開始しちゃいました。
猟団の団長Bさん
こっちはチートや変態成分高めの傭兵稼業です。



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