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辺境の冒険者Aさん  作者: ミの人
90/401

90 冒険者Aさんと初めての討伐クエスト報告会

あらすじ:鼻から溢れ出るフジョ汁


視点:Eランク冒険者 ファイターLv3 モッブコットンさん

『』:アルファさん


(もぞもぞ、シュッシュッ、もぞもぞ)


「あひゃはひゃひゃひゃひゃひゃっはーーー!!」


「・・・・・・」


「うーん、こう・・・ですか?」


(シューッ、シューッ、なでなでなでなで)


「むひょひょー、むひゃはうぅはう!?」


「あっ!? す、すみませんっ!!?」


「・・・・・・あ、あのう」



 えーっと、3日前。


 サバミソ君とロバートさんと一緒に{討伐クエスト}を受けて


 【西の森】の浅い所でモンスター退治をしてきた。

 

 その内容と、今後の話し合い・・・って聞いてたんだけど。



(もっしゃもっしゃもっしゃもっしゃ)


「そ、そこは弱いのぉおおお!! もそっと優しくぅ!」



 何かの獣・・・獣? 小さい熊? 太ったイタチ?


 ・・・と戯れる知らない女の子2人。


 その2人に指導するアルファさん。


 それと、それを眺めてるサバミソ君とロバートさん。


 えっ!? 何!? この状況って一体何なの!?


 ・・・というか、あの獣? ってしゃべってない!?



「あ! おはようございます、モブコさん! うおっ」


「お、おはようなんだな、モブコさん」


『んっ? おーっ!?

 気付くの遅うなってすまんね!

 おはよーさんや、モブ子ちゃん!

 まあ、そこのイス座ってくれるかー?

 テーブルに置いとる飲みもんは好きに、飲んでええでー』


「あ・・・は、はい(ガタタッ)」


「(じたばた)わひゃひゃはやあふぁふぁ!

 ふほっぷふほっぽぅううう!!(わっふわっふわっふ)」


『ほれ、2人共。

 ミケの毛づくろいの練習は一旦終了や。

 続きは夜にでもまた教えたる。

 とりあえず、モブ子ちゃんとは、お初やろ?

 挨拶しときー』


「はい、お師様。

 (すっ)どうも、初めまして。

 この度、お師様・・・アルファ様にお願いして

 弟子にして頂きました、ノブユキと申します。

 どうぞ、お気軽にユキとお呼び下さい(ぺこり)」


「あ、あ、あ、あの!

 わ、わたしはサクと申します!

 こ、この度! あ、アルファ様に、よ、養子として!

 お側に置いて頂けることに! な、ななりまして

 ご、ごじゃります!」


『(ぶふぉあっ)おっふぁ、おいおいおい!?

 サ、サク! サクちゃーん、緊張しすぎやで~。

 (ぽんぽん)まあ、昨日の今日やし

 環境変わって、まだまだ難しいかもしれんけど。

 (なでなで)慣れてきたら俺の事も呼び方も変えよな。

 {親父}でも{父ちゃん}でも好きに呼んだらええから』


「ふぁ、ふぁい!!(もじもじもじ)」



 ・・・何あれ! 何か、すっごい可愛い生き物がいる!?


 私もあんな可愛い妹とか欲しかったな!!


 ん!? というか!? 養子!?


 あっちの子はあっちで弟子!? 弟子って言ったよね!!


 養子に弟子って・・・一体ここ数日の間に一体何が!?



「(もそもそ)ふぅ~~~、やれやれですわ~!

 あ、よっこらせ~~(ひょいっ、ドロンッ!)~~っと」


「っ!? !!!!!!???」



 ふぁああああああああ!!!!!?


 よ、よく分からなかった獣が!!!!!


 ちゅ、宙返りしたと思ったら!?


 ミケニャンさんに変わったーーーーーー!!!?


 ま、魔法!? そ、そうよね!!


 ・・・そ、そういえば。


 【シェイプチェンジャー】って言う魔法が


 姿を変えれるって聞いた事あるし。


 き、きっとそれよね!? 魔法よね!?



「え~? 違いますわよ、モブ子ちゃん~。

 ミケは魔法なんて使ってませーん!」


「あっ! えっ!? は、はい!?」


「ふわぁ・・・、お見事です!

 素晴らしい術のキレ!

 さすがは【大妖怪】ですね、ミケお姉様。」


「(ぐわっ)お、お見事です! ミケ様!!

 さ、里でも、こんな綺麗な

 【変化の術】は見た事がありませんっ!」


「ふわぁ・・・。

 僕も見せて貰ったのは、まだ、4回ぐらいですけど

 何度見てもすごいですね! ミケ姉さん! うおっ」


「お、おではまだ2回目なんだな。

 熟練の技って事はおででもわかるんだな、うん。」



 えぇーーーーーーーーーっ!!!!!??


 色々と驚く事だらけで、どこから驚けばいいの!?


 な、何か普通に受け入れられてるっ!!?


 えっ!? ま、魔法じゃないの!?


 だ、{だいようかい}って何!?


 っていうか、ミケニャンさん。


 何で、相変わらず、私の考えてる事わかるのっ!?


 えええ!? 心でも読まれてるのっ!?


 な、なんで! 何で!? こ、怖いっ!!



「(にやにや)またまた~モブ子ちゃん。

 心なんて読めるわけ無いじゃないですか~」


「あ、そ、そうですよね・・・・・・はうっ!?」


『わはは~。

 ミケ、悪戯はその辺で辞めとけよ~。

 驚かせてもうてごめんやで、モブ子ちゃん。

 まー、ミケのアレコレは【種族特性】って事で

 あんまし、気にせん方がええで~。

 {ふーん、そうなんだ~}程度で流しときー』


「・・・・・・あ、あははは、そ、そうなんですね!」


 

 よし! 深く考えるのはやめよう!!



▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽




『ほーん。

 サバミソやロバやんは【鎧ネズミ】で問題無しと。

 んで、モブ子ちゃん。

 【ザリガニ蜂】や熊相手にも戦ってみたんやろ?

 どーやった?』


「そうですね・・・熊は少し苦戦しましたけど。

 正直、驚くほど安定して倒せましたね」



 はは・・・バレバレでしたか。


 あれから、アルファさんとミケニャンさん達に


 {討伐クエスト}での成果を報告してるんだけど。


 やっぱり、その辺りは予想通りですよねー。


 ・・・前に、武器の使い方教わった後、マイクさん達と

 

 討伐に行った時は【鎧ネズミ】だけに絞ったけど


 今回は盾の使い方・・・というか


 逆の手の使い方を教えて貰ったわけだし。


 私だけで積極的に攻撃してくる敵と戦ってみたのよね。


 結果はまあ、報告通り。


 【サソリ蜂】って、体長は30cmぐらいしかないのに


 攻撃的な性格で、大きなハサミ振り回してくるし


 ぶんぶんと飛び回るから、少し苦手だったんだけど


 教わった盾の使い方のおかげで、かなり余裕で倒せた。


 それに、ばったり遭遇した気性の荒い熊。


 さすがに熊は、毛と筋肉でダメージが通り難くて


 倒すのにちょっと手間取ったけど・・・。

 

 でも、こっちの被害に関しては、ほぼノーダメージ。


 せいぜい、普段と違う動きをしたから


 少し疲れたかなっ・・・て程度。


 それを含めても安定。


 あっけない程の超安定。


 今までの苦労って一体・・・。



「ぬふふふ~。

 モブ子ちゃ~ん?

 今までの苦労は一体何だったの!?

 とか思ってませんか~?」


「は、はは・・・そ、そうですね。

 ・・・王都で失敗してパーティ解散した事とか

 ライス・・・あっ! 酒場で働いてる子で

 こっちへ来てからも組んでいたんですけど

 もう引退しちゃったから・・・。

 ライスも引退しなくて良かったのかな、とか。

 そんな事をちょっと考えちゃいました」



 最初からこんな戦い方を知ってたら


 ライスと今でもコンビで冒険できてたのかな?


 そもそも、王都で組んでいた孤児院の同期の2人。


 あの2人とも一緒に、今でも王都で冒険者を・・・。


 はは・・・今更よね。



『わはは。

 でもな、それはちゃうで、モブ子ちゃん。

 今までの苦労や経験は、無駄では無いんやで?』


「・・・・・・えっ?」


『モブ子ちゃんな?

 以前のしんどかった時期や苦労を経験しとるから

 安定やった~って、実感できるんやで?

 そこら辺の比較対象ってのは、どーしてもなー。

 そればっかりは自分で体感せんとわからんしなー』


「それにですね、モブ子ちゃん。

 今までの経験が有るからこそ

 あっさり対応できたんですよ?

 例えば【ザリガニ蜂】でしたら

 {蜂だけど針よりハサミが怖い}とか

 {すばしっこくて戦いにくい}とか

 {意外と凶暴で危険}だったりですか?

 その特徴と怖さを実感してたからこそ

 ちゃんと対応できた訳ですしね」


『せやな。

 知識で知ってて、頭ではわかってる~だけやと

 実際、そんなにあっさりと対応できんしな。

 色々苦労した経験ってのは、対応力の幅とかに

 結構出てくるんやで?

 危なかった~って体験は

 身を持って知った危機意識ってのは

 冒険者続けるんやったら重要やで?』


「き、危機意識ですか?」


『せやでー。

 例えば、敵が攻撃してくるとしてやな。

 それが{どんぐらいの威力なのか}程度やったら

 まだ、知識で把握できる範疇なんやけどな。

 それくらったら{どんだけ痛いか~}とか。

 {どこまでのダメージなら耐えられるか~}とか。

 致命傷になる境界線や、死への恐怖感ってのは

 何度も体験せんと分からんもんやしなー』


「そうなんですよねー。

 才能有る子とか、要領の良い子だったら

 {Dランク推奨}のクエスト辺りまでなら

 そこまで致命傷になる事も少ないでしょうし。

 そもそも、攻撃の大半は避けちゃいますしねー」


「う・・・私なんか{Eランク推奨}ですら

 苦戦してるんですけど」

 

「・・・私の姉様と弟は、まさにそんな感じですね。

 母様譲りの天性の勘に身体能力と反射神経。

 本能に任せた突撃で速攻をかけ、相手を圧倒する。

 ・・・実に羨ましい限りです。

 私は、そんな恵まれた才能はありませんし

 情けない事に、何度も大怪我経験してますので」


『いや、だからなー?

 それでええねん、ええねんでー。

 逆に、その危機意識持たんまんまで

 色々すっとばして先に進むとな。

 あっさり死ぬでー』


「えっ!? 死ぬ!?」


「死んじゃうんですか!? うおっ」


「そりゃ死ぬでしょ。

 良くて、命だけは助かったとしても

 その後に冒険者としては再起不能でしょうし?

 危険な場所、危険な罠、危険な敵に危険な攻撃。

 どんなに才能があったとしても

 危機意識が無かったら、対処も予測もできないでしょ?

 それとも、どうにかできると思いますか?」


「・・・・・・思いません。

 実際、私もライスも、故郷の仲間達も

 そこまで意識してませんでした。

 奇襲されるかもって危険を意識してなかったから

 休憩中にモンスターに襲われて大怪我。

 こっちへ移って、2人で再スタートしたものの

 前よりも推奨ランク低い地域のモンスターだから

 大丈夫・・・って油断してたら

 かなり相性の悪いモンスターと遭遇しちゃいまして

 またまた大怪我ですよ。

 本来はどんなモンスターでも、危険な存在なんだって

 当たり前の事忘れちゃってたんですよね。

 私以外は、みーんな心折れて冒険者引退しちゃいました。

 まあ、命が助かっただけ、幸いだったとは思いますけど」


「なるほど、過去にそのようなことが。

 ・・・そうすると、モッブコットンさんは

 かなり心根がお強いのですね。

 普通、そんな事が何度も続いたのなら

 冒険者を続けるどころか

 立ち直る事ですら難しいでしょうに」


「あはは・・・・・・。

 あ、ユキさん、私の事はモブコでいいですよ?

 単に私はパーティの中で壁役だった分、

 少しだけ怪我に対する耐性があったんでしょうね。

 まあ・・・、続けられたって言っても

 結局はEランクで燻ってるだけの凡人ですので

 リマさんにお世話して貰ってばかりでしたし。

 はは・・・、情けない話で、どうもすいません」



 あーーーーっ、もう!


 何でこんな話してるんだろ。


 自分で言ってて、本当情けないなあ。


 認めたくないけど、やっぱり私って才能無いのよね。


 凡人なのよ凡人!


 あーーーー!!! 恥ずかしいっ!!!!



『(げらげらげらげらげら)ぶふぉあ!!!

 キミ、おもろい事ゆーなー?

 ええかー!? モブ子ちゃん!!

 凡人歴30年以上、凡人の中の凡人!!

 まさに凡人オブ凡人の俺の前で凡人を語るとはなぁ!!

 もう、10年程、凡人を磨いてから出直しぃ!!!』


「ふぁ!? は、はい!!?」



 えええええ!?


 そこに反応する!? 凡人ってとこに反応するのっ!?


 Dランクとは言っても、戦闘クラスのファイターを


 圧倒する様な凄い人が、凡人な訳無いじゃない!?


 しかも、凡人を磨くって何っ!?


 凡人オブ凡人って、意味分からないし!!!



「(げらげらげら)ご主人様~!!

 凡人を磨くとか意味不明すぎますよ~!!!

 モブ子ちゃんも戸惑っちゃってるじゃないですか~。

 ・・・・・・・・・あれ?(ぴたっ)

 ご主人様~、何の話してたんでしたっけ?」


『(げらげらげら)わはは~。

 何をゆっとんのやミケ~。

 それはアレやアレ!

 アレや!

 ・・・・・・・・・。

 ・・・あれ?

 マジで何の話しとったんやっけ?』



 ええええええええええええええ!!!!!?

 

 何!? 何なんですか!? この人達っ!!!


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↓ こっちも開始しました・・・開始しちゃいました。
猟団の団長Bさん
こっちはチートや変態成分高めの傭兵稼業です。



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