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辺境の冒険者Aさん  作者: ミの人
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88 冒険者Aさんと交換条件

あらすじ:新弟子(予定)はご主人様マニアだったようです


視点:ムトウ家 忍衆の棟梁 ユキシゲさん

『』:アルファさん


 疲れた・・・今回は本当に疲れた。


 まさか、主君が冗談抜きで慌てた上

 

 {本気土下座}をする事態になるとは・・・。


 全く、オクニ様とノブシゲ様にも困ったものだ。


 あの方達は、感情や直感だけで行動する事があるから


 たまに我々の想像の斜め上を行くから恐ろしい。


 だが、何とかノブユキ様の弟子入りの話は


 丸く収まりそうで良かった、本当に。


 それにしても、私が忍衆の棟梁になってから

 

 主君がマリ様関係以外で

 

 あれほど狼狽した姿は初めて見たかもしれん。


 まあこの先、そんな姿を見る機会はもう無いだろうが。



『交換条件に女の子よこせ』


「ふぁっ!?」



 ・・・・・・再び見れてしまった。


 それにしても、女の子とは?


 ・・・む? もしかして。



「(ぼそぼそ)主君、恐らくですが

 サクの事ではないでしょうか?

 昨日の報告にあった、囮に使った件です」


「(ぼそぼそ)・・・ああ、なるほど。

 それは確かにあるかもしれん。

 いや驚いた驚いた。

 いきなりの幼女よこせ発言だったから

 ついにそっちに目覚めたのかと・・・」


「あのー、内緒話のつもりなんでしょうけど

 全部聞こえてますからね?」


「あなた? いくら知己の友人とは言っても

 不義理が過ぎるんじゃありませんか~?

 今回はユキちゃんの事もあるんですよ?

 おふざけは必要ありませんわよ~?

 ・・・殴りますわよ? ゲンゴロウ」


「まー、いつもの如く、とぼけた事ほざいて

 相手の思考や感情を揺さぶるつもりで

 わざと聞こえる様に言ってるんでしょうけど

 それって、逆効果ですからね?

 何でしたら、ここで巨大化しましょうか?

 ミケの全力戦闘、お見せしましょうか?

 そんなに灰塵に帰したいんですか?」


「(がくがくがく)い、いやいやいやいやいや。

 も、申し訳ないでござる! いや、本当に!?

 アル殿の発言に驚いたのは本当なんでござるよ!

 決してアル殿を軽んじた訳では無いでござる!

 そこだけは信じて欲しいでござるよ!!!」


「えーーー? 【フソウ】では

 {表裏比興の者}とご評判の策士さんの

 何を信じろと~~~?(じとーーーー)」



 ま、まあ。


 今のは少し主君のおふざけが過ぎましたな。


 ・・・それにしても、相変わらずですな。


 相変わらず、マリ様には頭が上がらない模様。


 特に、幼名で呼ばれた際は逆らう事など不可能。


 この力関係はこの先も変わらぬのでしょうなぁ。



『まーまー、2人共。

 そこらで許したりーやー。

 今のは俺の言い方もアレやったしな。

 ま、そっちの【忍】のあんちゃんが正解や。

 あの嬢ちゃん、サクちゃんってゆーんか?

 あの子、見所ありそうやし、くれるか?

 勿論くれるやろ?(にっこり)』


「(びくっ)お、おう。

 勿論でござるよ!」


「(ぼそぼそ)なあ、ヒデ兄。

 あの人、何言ってるんだろうな?

 サクに見所なんてあるのか?

 あの、里の落ちこぼれの{ヌケサク}に?」


「(ぼそぼそ)控えろ、シゲジ。

 理由は知らないが、サクを所望なのだ。

 囮にしか使えなかったサク1人渡せば

 全て丸く収まるなら言う事は無いではないか」


「は~~~~~~~~っ、やれやれ・・・。

 そこのあなた達、わかってるんですか~?

 あなた達が散々バカにしてる

 その{ヌケサク}ちゃんのおかげで

 今あなた達は、生かされてるんですよ~?

 つまり、あなた達って~

 その{ヌケサク}ちゃんより劣る存在なんですよ?

 その辺、理解してます~?」


「「なっ!? 何っ!?(がたたっ)」」


「あらあら、まあまあ、落ち着きなさいな~。

 ミケちゃんもそのぐらいで許してあげて? ね?」


「マリさんがそう言うなら・・・と言いたい所ですが

 ミケの事はどうでもいいんですよ。

 そこの雑魚の人達が、己が分もわきまえずに

 ご主人様のおっしゃった事に疑念を持った。

 そこに、カチーンと来ただけですので」


『わはは。

 まーまー、許したりーや、ミケ。

 変人扱いはいつもの事やんか?

 俺は特に何とも思ってないしな。

 いつもの事やいつもの事~』


「いや、本当に部下が申し訳ない。

 それにしても、その納得の仕方は

 どうなんでござろうな・・・。

 拙者も変わり者の自負は有るでござるが

 アル殿も相当でござるよな」


『せやろか?』


「・・・まあ、変わり者云々はともかく。

 サクをそちらに渡すのは構わないでござるが

 理由は何でござるか?

 これは、馬鹿にしてる訳ではなく

 事実として言わせてもらうでござるが

 あの子は、確かに【忍】の才が無いのでござる。

 運動神経も反射神経も並以下。

 性質も気弱で、同年代に友も居ない。

 アル殿としては、何がそれほど気になったのか

 そこを聞かせて欲しいでござる」


『理由ねえ・・・。

 まあ、ビビって震えながらも根性見せたから

 そこが気に入った、ってのもあるんやけど。

 別に【忍】としての才能無いんやったら

 他の事させてみたらええやん』


「他の事?」


『里では、料理や家事が得意やったりせんかったか?

 縫い物とか小物作りはどうやった?

 川や海での魚釣り経験は? 動物育てたりとかは?

 他の大陸のクラスに適正が有るかもしれんで?

 案外、伝説に残る様な大魔導師になれるかもしれん。

 そこら辺の可能性有りそうやなーって思ってなー。

 ま、里では要らん子扱いみたいやし。

 それやったら、俺が貰ってもええやろ?』


「「「・・・・・・」」」


「あらあら~、さすがはアルファさんね~。

 本当なら、私達が気付いて

 そういう機会を与えてあげないとダメなのに。

 うん、とっても素適な考えだと思いますわ~。

 あなた~? 私は大賛成ですわ。

 あら? あなた~、どうかしました~?」


「おらっ!(どげしっ)ぼーっとしてないで

 早くご主人様にご返答しなさいよ!」


「うぬっ!? け、蹴る事は無いでござろう!?

 ・・・アル殿。

 理由、しかと聞かせて貰ったでござる。

 幼女嗜好(ロリコン)のエロ親父的な返答だったら

 どうしようかと思ったでござるが

 思ってたのと全く違う内容で、感動したでござる。

 拙者達の至らぬ点を指摘してくれただけでなく

 尻拭いまで申し訳ござらん。(ぺこりっ)

 サクの事、よろしくお願いするでござる!」



 幼女嗜好(ロリコン)のエロ親父だったらどうしよう。


 確かに、私もそれ少し思いましたが


 さすがに口に出すのはどうかと思いますぞ、主君。


 ・・・いや・・・ああ、そうか。


 つまりは、その回答を予想してたからか。


 主君の命令ではなく、他者から引き出した言葉で


 我々の過ちに気付かせるのが目的だった訳ですな。


 その為に、主君自ら、わざと道化を演じて。


 ・・・いや、半分は素ですな、多分。


 恐らく、アルファ様という存在は、主君にとって


 素のキヘエ様を出せる数少ないお人なのでしょう。



『誰がロリコンのエロ親父やねん!?(しゅぱっ)』


(スパーー「ドナイナットンネーン!」ーーーーン!!!)


「(ビリビリビリ)あばばばばばばばっ!!!?」


「あー・・・【ツッコミくん弐型】で一閃っ。

 本当は少し怒ってらっしゃったんですね、ご主人様」


「(きらきらきらきら)ああっ!? 素晴らしいっ!!!

 この効果! この完成度っ!! 流石ですっ!!!

 素晴らしすぎます! 素適ですっ!

 んっ!!(ぴくんっ)

 や、や、やっぱり、私が師匠と仰ぎたいのは

 このお方しかないですーーーーーーーー!!!!!」


「そして、あなたは一体どっから出てきたんですか。

 ご主人様マニア」


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↓ こっちも開始しました・・・開始しちゃいました。
猟団の団長Bさん
こっちはチートや変態成分高めの傭兵稼業です。



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