78 冒険者Aさんと到着してしまった一行
あらすじ:まずい人達にまずい所を見られてしまいました。
視点:八百萬一番目の亜神 フジョ様
『』:アルファさん
「う”わ”ぁ・・・・」
「なんじゃ、人の顔を見るなり、うわぁとは。
失礼な狸娘じゃのう」
「あなた、人じゃなくて【亜神】でしょうが」
(ドヨドヨ「あしん?」「あしんって何?」ザワザワ)
『わはは。
それにしても、久し振りやねー、フジョ様。
また取材旅行なん?』
「おお、久しいのう、アルファ。
それに狸娘もな。
ま、そうじゃな、いつもの取材旅行じゃよ!
うむ、先程は実に眼福だったぞ?
来た早々良いものを見れたわ、むっふっふっふ」
「・・・うわぁ」
「あ、あのう、アルさん・・・?
【亜神】と聞こえたんですけど、この方達は? うおっ」
「おお!? これは珍しいのう。
この童は、まさか【リューグー】の子かえ?」
「あ、はい! 【リューグー】から来ました
サーバクン・ミーソットと申します神様! うおっ。
幸運にもアルさんとミケ姉さんと出会えまして
一緒に居させてもらってます! うおっ」
「おお、おお・・・。
近頃珍しい、礼儀正しい童じゃな。
ふむ・・・童よ、わらわの名はフジョという。
ここへは取材旅行で来ておってな。
何時までおるかはわからぬが、よろしくのう」
「はい! よろしくお願いします、神様! うおっ」
ふむ、あの海底にある引き篭もり大陸の
引き篭もりの者達の中にも、外へ出ようと思う者もおったか。
それは実に喜ばしいことじゃのう。
あそこへは、一度取材旅行へ行った事もあるが。
良い題材も皆無じゃったし。
同好の者どころか、全く興味すら持ってもらえんかったしな。
(ザワッ「かみさま?」「え? かみさま?」ザワッ)
「いやいや、童よ、一つ間違えておるのう。
わらわは神の類ではあるがな、正確には【亜神】なのじゃ。
おまけに【フソウ】ではな
【八百萬神】の一員にも入れてもらえない半端者なのじゃ」
「えっ?
【亜神】と言うのは、神様とは違うのですか? うおっ」
『わはは。
よく言いますわ~、フジョ様。
【亜神】やのに、既に{神話級}の信仰得とるんでしょ?
単に【神格昇華】してもうたら、今みたいに
気軽に取材旅行できんようなるからやないですか~』
「はてさて、何のことじゃろうなぁ?
童よ、【亜神】と神の違いに関しては
後でアルファにでも聞くがよい。
そこの神を神とも思わぬ男になぁ。
むっふっふっふっふ」
「やれやれ・・・な~にが半端者ですか!
あなたのおかげで、世界中に変な信仰広まりまくって
元々は【八百萬神】の一員だったのに
風評被害から、他の神や【亜神】達に
{アレと同類はやめて}とか{一緒にして欲しくない}って
理由で{八百萬飛んで1番目}の神として呼ばれてるくせに。
ねえ? 【八百萬一】の神様~?」
やれやれじゃ、相変わらず遠慮の無い主従じゃな。
ま、こやつらとしても
わらわが、その方が気楽なのを知っておるからのう。
こういうのも、気が効いていると言えるんじゃろ。
(ザワザワ「何のこと?」「えっ! あの方が!?」)
(たったったったっ)
「えっと! お話中にいきなりですみません!
【八百萬一】のフジョ様でいらっしゃいますか!?」
「・・・・・・え!? ま、まさか」
「む?
いかにも、わらわがフジョじゃ。
・・・お主、もしかして?」
「はい! フジョ様やユガミ先生の大ファンです!!
あ、あの! もしよろしければ!
この愛読書にサインを頂けませんか!!?」
おお! これは嬉しい誤算じゃのう。
大陸の端っこにある辺境の地と聞いておったので
娯楽本の流通は期待しておらんかったのが
この地にも同好の者が既におったか。
しかも、世間に知られる、ユガミだけではなく。
わらわの事まで知っておるとはな。
よいぞよいぞ!
これは少し奮発してやろうかのう。
「むっふっふっふ。
よいよい。
わらわは同好の者を大切にするでな。
サインぐらいいくらでもしてやろうぞ。
さらに、この新作のカードもおまけじゃ」
「ありがとうございます! ありがとうございます!
ふぁっ! こ、こ、これは!!!!
~~~~~~~~!!!!(声にならない叫び)」
(ザワザワ「わ、私も!」「私も!」ザワザワ)
(ドドドドドド「え? 何のこと?」ドドドド)
『わはは。
何だか凄いことになってもうたなぁ』
「・・・・・・う”わ”ぁ”。
ギルド職員の中にこんなにも!?
何人かそれっぽいのは居ると思ってましたけど。
・・・世の中腐りすぎでしょ」
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(たったったったっ)
「フジョ様ー! お待たせしました~!
拠点変更の登録終わりましたよ~」
「うむ、ビーエルよ、もう終わったのかえ?
いやいや、彼らが話し相手になってくれたしのう。
退屈はせんかったよ。
この地にも同好の者が多い事もわかったしのう」
「おお! それは実に喜ばしい!」
「・・・・・・何も喜ばしくないんですけど~」