77 冒険者Aさんと情報交換 ①
あらすじ:非殺傷武器=ハリセン(ツッコミくん伍型)
視点:冒険者ギルド 新人受付嬢 インディアさん
『』:アルファさん
現在、お昼の14時過ぎ。
【冒険者ギルド】の受付窓口が忙しいのは午前中と午後1番。
夕方になればクエスト報告や納品の窓口が忙しくなるんだけど
少し前に、担当内容別に窓口が完全に分かれたから
この時間になると、依頼に来る依頼人以外は
受注用の窓口を訪れる人はほとんど居ない。
・・・冒険者はクエストに、ギルド職員は交代で休憩にと
そもそも、ギルド内の人口密度が激減する時間帯なのよね。
わたいも休憩終わったので、後は終了まで暇かなと思ってた。
思ってたんだけど・・・。
「・・・あのう~、お暇なんですか?
おっちゃ・・・アルファさ~ん?」
『わはは!
いやいや、やらなアカン事だらけで時間ないんやわ~』
「でしたら、ここであたしと話してるよりも~~~。
その用事を優先された方がいいんじゃないですかぁ~?」
『まーまー、そう言わんと。
この時間帯は受付も暇やろ?
ちょっと、おっちゃんの雑談に付き合うて~や~』
ちっ・・・無駄にギルドに詳しいおっちゃんは
これだから面倒臭いんですよね~。
まあ、ロバートさんと魚くんのコンビが順調に
Fランクでも受けれる不人気クエストを解消してくれて
こっちとしては助かってるし、評価もされてるから
しばらくは、お暇なおっちゃんの無駄話に
お付き合いしてあげてもいいんですけどね・・・暇だし。
「はあ~、でもなぜあたしなんですぅ~?
リマ先輩は今日はお休みですけどぉ。
エコー先輩や、ノーヴェ先輩とも仲が良いですよねぇ?」
『いやいや、インちゃん。
雑談ってのはな~、無駄話とは、またちゃうんやで~。
あ、いや、無駄話6割、情報収集4割ってとこか?
でも、無駄と思ってても実は有益だったりもするしな~。
色んな人から色んな話聞いて。
自分に有益かどうか判断下せばええんやしな。
インちゃんかて、そういうの得意やろ?(にやにや)』
「・・・・・・さあ? 何のことですかぁ~?
あたし、頭良くないからそういうのわからないですぅ。
えへへ~~~(くねくね)」
・・・・・・あーーー、やっぱりこのおっちゃん。
わたいの本性に完全に気付いてやがりますね。
というよりも、この人、わたいなんかよりよほど・・・。
多分、わたいみたいな、ずる賢いだけの小娘と違って
本物の悪党とかそういう類なんでしょうねーーー。
あ~~~~関わりあいたくないですぅぅぅぅ。
『わはは、逆に考えたらええやん。
インちゃんが仕入れておきたい話も
今やったら、どっかの口の軽いおっちゃんが
ペラペラしゃべってまうかもしれんで?』
「え~? もう~、仕方ないですねぇ~。
少しだけですよぉ~~~?」
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽
▽
・・・・・・・・・・・・くっ。
17時・・・結局、もうこんな時間。
何だかんだで、情報交換が有益だったのが腹立つっ!
むむむう、これじゃ、おっちゃんの掌の上じゃない!?
そのおっちゃんは、今{さわメン先輩}と和やか談話中。
・・・それにしても、あのおっちゃん。
冒険者よりも商人とかやってる方が合ってるんじゃない?
・・・・・・いえ、各所から聞いた話だと
本当に商会の人らしいのよね、よく知らないけど。
確か【五十六商会】・・・だったかな?
デルタの実家が貴族位を貰ってる大商会なのは知ってる。
王都で知らない者は居ない大商会の【ドライエック商会】。
元々は【ドラント王国】から来た商会なのよね、確か。
だからこそ、デルタと仲良くしてたんだけどなーー。
あの子のお父さん、すっごいやり手の商売人なんだろうけど
子育ては失敗しちゃってるわよね・・・完全に。
『そうそう、ノーヴェくん、この間な~』
「それはそれは、うふふふ・・・」
うーん・・・どうしようかな。
【ドラント王国】の素材の在庫変動かー・・・。
この町にも影響出そうなやつを、重点的にお願いして
クエスト受けてもらえば問題ないよね。
わたいのお願いならホイホイ聞いてくれる人ばかりだしぃ?
『んでな~、そのせいであんな事になってな~』
「ふふ、アルファさんもうっかりされるんですね」
でも、それよりも重要なのはアレよね。
そっか、あの規則の抜け道を利用したら
法に引っかからずに個人的な利益上げれるんだ・・・。
それなら、バレないし、そもそもバレても罰則も無い。
ローリターンだけど、ほぼノーリスク。
・・・・・・やっぱり完全に悪党じゃないの。
って言うか、わたいにその情報教えてどうしろと?
信じていいものやら・・・・・・うーーーーん。
「そうそう、よかったら今度一緒に・・・(ぎゅっ)」
『ほう! それはおもろそうやな、ええやん』
・・・いや、っていうか、あの{さわメン先輩}?
何でおっちゃんの手を握って、ほほ染めてるんです?
えっ・・・えっ・・・やっぱり、そうなの?
他の職員の人達の中にも、怪しんでる人が居たり
あの2人見て黄色い声揚げてる人も居たけど。
まったく・・・何を期待してるのやら。
・・・・・・んっ?
「・・・・(じーーーーーーー)」
「(ひそひそ)フジョ様っ! これはもしやっ!?」
「(ひそひそ)いかんぞ、慌てるでない。
慌ててはいかんぞ、ビーエルよ。(ごくりっ)」
「(ぼそぼそ)すばらしい! さっそく当たりですね!
これはすばらしい!(ふんすふんすふんす)」
・・・何っ!? 誰っ!!?
何であの人達、柱の陰から覗いてるのっ?
しかも、片方は恍惚の表情浮かべてるしっ!!?
こ、怖っ!!!!!