76 冒険者Aさんと次の訓練の時間だ!
あらすじ:乗るしかない! この大きな流れに!
視点:Dランク冒険者 シーフLv4 ヤンキさん
『』:アルファさん
・・・今日はまた訓練だ。
集まったメンバーは前回と同じ+1人?
正直、面倒くせー・・・非常に面倒くせーんだが。
確かに、前回教わった{攻撃の基礎}っていうか
体の使い方っていうのか? アレはすげえ役立った。
俺もクラスLv上がったし、あの後のクエストも順調だ。
でも、今回は受ける必要あんのか?
なにしろ・・・・・・。
『よっしゃ! 全員持ったな~?
そんじゃ、盾の使い方の訓練開始すんぞ~!』
俺、盾って初めて使うんだけど?
っていうかシーフに盾いらねえだろ、おっさん。
まあ、リーダーが覚える気満々なのは当然として
魔法使いのケベックもやる気見てえだし、しゃあねえか。
・・・にしてもなあ。
「今回はゲストにメガネさんが居ますけど
ローもサバミソも、気にしないように!
ご主人様の方にだけ意識を集中するんですよ!」
「・・・えっ? あっ、私の事は気にしないで下さい。
ギルド職員として後学の為に見学してるだけですので」
そう、今回は受付のおばさんが来てるんだよな。
前回と違って、おっさん達が訓練する時に教えてくれって
元々リーダーが頼んであったし、一応俺達の担当職員だし?
・・・ま、何だかんだでお世話にもなってるしな。
何より、今回は見学の交換条件で、俺達3人とモブコの
訓練場の使用料を半額にしてくれただけじゃなく
盾は無料で貸してくれてるんだからな!
見た目が地味な割りに、案外、気前良いじゃねえか!
へっ、別に見られるぐらい気にしないぜ!
『わははー! リッちゃんの前やし、張り切っていくで!
う~~ん、テンション上がってキターーーー!!』
「おっさんが一番気にしてるじゃねえか!!」
「・・・・・・はあ」
「(何かリマさんがアルファさん見てため息ついてますね
どうかしたんでしょうか?)」
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「・・・・うーーーん、イマイチわかんねえ!」
「そうですね、特に僕達は盾に慣れてないですし」
「私は、何となく理解はできたんですけど
こう、動かない相手だと実感が・・・」
そうなんだよな。
おっさんが言ってる事は一応理解はできるんだよ。
言われてみりゃ、確かにその通りなんだけどな。
動かねえ【ヘビーカカシ】相手にしててもなぁ。
『まあ、せやろな~。
んじゃ、模擬戦形式でマイクくんと実践してみよか。
【フソウ】には【百聞は一見に如かず】って言葉もあるし
100回聞くよりも、実際に1回見た方が早いやろ』
「はっ? リーダーと模擬戦?
いや、Dクラスとは言っても専門の戦士クラスだぜ?
いくらおっさんでも、そりゃしんどいんじゃねえか?」
「はあ~~~~~~~~~~やれやれですわ。
これだから、クソ雑魚ナメクジの童貞くんは困りますね~。
いくらマイク君が戦士クラスといっても
ご主人様にかすり傷もつけれるわけないでしょ?」
「はあ!? それは大げさに言いすぎだろ!?
いくらなんでも無傷とか無理に決まってんだろ!!
っていうか、童貞関係ないだろっ!?
お、俺は、ど、ど、童貞じゃねえっ!!!!!」
「お、おい、ヤンキ!! 失礼な事言うなよ!!
ヤンキがすみません! ミケニャンさん!」
『わはは。
おいお~い、喧嘩はアカンで~?
そんじゃマイクくん、何戦かやってみよか。
キミはそのままの装備でOKや。
俺はさすがに非殺傷の武器使うから安心してな~。
最初の1・2回はスキル無しでやってくれるか?
んで、あとはスキル使いまくってOKやで~』
「えっ!? それで良いんですか?
・・・・・・あ、はい。
では、よろしくお願いします!」
「じゃあ、ミケが開始の合図しますね~」
「「「「「「・・・・・・(ごくり)」」」」」」
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「はあっ! はっ! はあっ・・・・(がくんっ)」
「は~~い、それじゃ丁度10戦でキリが良いですし。
ここで一旦終了しときましょうか」
『せやなー。
(ごそごそ)ほれ、マイクくん、冷たいお水や。
コレでも飲んで一息ついとき~(ぽんっ)』
「はっ、はひっ! (ぜひーぜひー)
はりが、とうござい、ますっ(ぐびぐびぐび)」
嘘だろ・・・本当に無傷じゃねえか!!
っていうか、リーダーがスキルまで使っても
あそこまで手足出なくなるもんなのか!?
しかも、おっさん全然疲れてねえし!
何なんだ、このおっさん!?
・・・だ、だけど、確かにおっさんが言ってた事。
{盾を上手く使えば戦闘の主導権を握れる}ってのは
今の模擬戦見ててよくわかったぜ。
本当に、何もさせてもらえなくなるんだな。
そういえば、さっき、おっさんがついでに言ってたな。
{盾以外に短剣でもある程度は代用可能}だっけ?
・・・短剣でさっきのを・・・・・・ああ、なるほど。
要は盾がどうのじゃなくて、戦い方の問題なんだな。
そっか、うん、そっかそっか。
今日はそれがわかっただけでも、来た甲斐があったぜ。




