75 冒険者Aさんと素朴な疑問 ⑤
あらすじ:炊き込みご飯は、春夏秋冬、年がら年中楽しめますね
視点:冒険者ギルド 受付嬢 エコーさん
『』:アルファさん
「リマ先輩~片付け終わりましたよ~」
「あっ、お疲れ様、エコーさん。
私の方ももう終わりですね」
「リマ先輩もお疲れ様です~。
あ、ギルド長は自業自得ですので~。
終わるまで頑張ってくださいね~」
「なんじゃい!? せめて労うぐらいせんかっ!!」
労うも何も~、サボってたせいじゃないですか~。
むしろ、それ手伝わされてるリマ先輩が可哀想ですよ~!
・・・・・・あ・・・そういえば~。
「そういえば、リマ先輩~?
アルファさんからおすそ分け頂いたじゃないですか。
ノーヴェ君は何かごまかしてましたけど~。
あれって、やっぱりそう言う事なんでしょうかね~?
うふふ、あの2人って熱々? 先輩も妬けます?」
「はあ・・・何をバカな事言ってるんですか、全く。
いいですか? エコーさん。
【冒険者ギルド】の規則では冒険者から職員個人に対して
寄付や物品の譲渡は禁止されてるのよ。
でも、ギルドの支部自体に対しての場合はね
禁止されていないというか黙認されてるのよ」
「えっ? そうなんですか~?
そういえば~、そんな事が書いてたような~
そうでないような~?」
「ちょっと・・・あなたも職員の中ではベテランなんですし。
しっかりしてくださいね?」
「あ! でもでも~!
それと、ノーヴェ君に渡したのは別の事じゃないですか~?
ねえ、先輩~?」
「・・・そ、それはそうですけど」
お!? おお~!?
珍しくリマ先輩が言いよどんでますね!
うふふふ、やっぱり、あの2人の関係を気にして~?
な~んだ! 口ではいつも何だかんだ言っても。
先輩もアルファさんを意識してるんじゃないですよね~?
「(にやにや)あーーー、それはじゃなエコー君。
な? わかるじゃろ?(にやにや、ちらっちらっ)
アルファ君がリマ君に渡した場合じゃったら
誰が見ても個人的なプレゼントになってしまうじゃろ?」
「あーーー! ですよね~~!
わかります、ギルド長~」
「(まあ実際の所、リマ君だとギルドの規則に則って
受け取ってもらえないってわかってたからじゃろうけど。
くっくっく・・・ここはこの流れに乗るしかない!!)」
「な、何を2人して馬鹿なことを言ってるんですか、全く。
そんなことあるわけないでしょ? 全く(ぷるぷるぷる)
ほ、ほら! ギルド長ももう少しで終わるんですから
早く済ませてしまってくださいよ! 全く!
私は受付から書類とって来ますので!」
(すたすたすたすた、ガチャッ)
あーーー、珍しいっ! リマ先輩照れてる~!
先輩、表面上はわかりにくいけど。
動揺すると{全く}って口癖がよく出るのよね~!
これはレアな場面ですよ!
明日、ノーヴェ君やみんなにも、こっそり教えなくちゃ!
・・・・・・あっ!
でも、ノーヴェ君はノーヴェ君で本気っぽく見えるのよね?
言っちゃっていいのかな?
職場で修羅場になったりしない?
うーーーん・・・ま、それはそれでいいよね!
「・・・本当に・・・全く。
・・・・・・そんな事あるわけないじゃない、全く」