74 冒険者Aさんと炊き込みご飯
あらすじ:冒険者ギルドに【消耗品】として食材を寄付しました
視点:Fランク冒険者 ソーサラーLv1 サーバクン・ミーソットさん
『』:アルファさん
「「「『ごちそうさまでした!!』」」」
「(にこにこ)お粗末様でした。
満足頂けたようで何よりですよ」
「すっごく美味しかったです! うおっ」
「あの貝柱をどう使うのかと思ってましたが
炊き込みご飯とは・・・やりますね!
ね? ご主人様!」
『せやな!
うん、やっぱツリーさんに任せて大正解でしたわー!』
「お、おで、炊き込みご飯って初めて食べたけど
すごいおいしかったんだな。
つ、ツリーさん、ごちそうさまでした! なんだな」
うーん・・・ほぐした【シオヒ】の貝柱を
白米と一緒にじっくり炊きあげた料理ですか・・・。
【フソウ料理】として知ってはいたんですけど
実はさっき食べたのが初めてだったんです。
・・・ほかほかの湯気が立ち込める白米。
そしてその白米に混ざって、しっとりと柔らかく
それでいて、しっかりと原型を残している貝柱。
混ざり合い一つになったその塊を口の中で噛むと
・・・じわっと、貝柱の深い味わいが広がって
次に鼻孔を突き抜ける圧倒的すぎる風味!
そして、少し硬めに炊かれたお米の歯応えが心地よくて
噛むごとに独特の甘さ? うまさ? も加わり。
飲み込んだ後は、上に振りかけられた海苔の風味が
口とのどと鼻から抜け、満足感! っていうんですか?
その満足感! で頭が一杯になっちゃいました!
『それにしても、ツールさん。
全混ぜのやり方でうまい事作るよなー』
「(にこにこ)いえいえ、誉めて頂けるのは嬉しいですけど
さすがに【フソウ】の先生方の足元にも及びませんよ。
私もまだまだ精進が必要ですね」
「全混ぜ?
アルさんアルさん、炊き込みご飯って
別の作り方もあるんですか? うおっ」
『あーーー、別の作り方ってゆーか。
簡単に言うと、具材を混ぜ込むタイミングやな。
まず、米と切った具材を最初っから一緒に入れて
炊き上げる方法やな。
あとは、ご飯炊くのとは別にフライパンとか使って
具材を濃い目で炒めたり煮たりしといてな。
ご飯が炊き上がった後で、具材を混ぜ込む方法。
この2つ作り方が割と一般的やな~』
「先に混ぜる作り方・・・全混ぜって呼んでますが
1つのお鍋で作れるし、後混ぜに比べると
手間はそんなにかからないんですけどね。
具材の火の通り加減とか、米の水分量とか
色々と難しいんですよね、これが」
「(にこにこ)そうなんですよね。
混ぜてしまうと底に沈んでしまうので
調味料も具材も、満遍なく上に載せないと駄目なんです。
修行時代、教わった通りに何度やっても上手くいかず
私も、よく先生に呆れられたものですよ(にこにこ)」
『せやせや。
ご飯を硬めに炊こうと思って水を少なめにすると
具材の火の通りが微妙だったり、米が水分足らなかったり。
かといって、水多目にしたら
今度は米もびっしゃびしゃ、具材もふにゃふにゃ~。
・・・って感じやからな~』
「あっ、はい。
聞いてるだけでも難しそうなのがわかります、うおっ』
「まあ、後から混ぜる方は割と簡単ですし
【リューグー】なら具材は豊富ですからね。
覚えておけば色々作れると思いますよ、サバミソ」
「はい! ぜひ教えて欲しいです! うおっ」
「み、ミケさん、おでも教えて欲しいけど、いいだか?」
「もちのろんですわよ! ね? ご主人様!」
『おー、ええんちゃうかな。
せっかくやし、今度、屋台広場で作るかー。
主婦の皆さんも知りたいやろうしな。
あ、ツールさんにも味見てもらいたいから
ちゃ~んと持って帰ってきますで!』
「(にこにこ)はは、それは嬉しいですね。
ぜひよろしくお願いします」
「ご主人様、時期的にも山の幸づくしとかもいいですね!」
『おーー、そら、ええな。
キノコに山菜に・・・あー、ゴボウとか豆とかもええなー。
肉は・・・まああってもなくてもええぐらいやな。
わはは、何かやる気出てきたなー。
せっかくやし、土鍋とか七厘も使おか!』
「おお!! ご主人様がやる気モードに!!!?」
えっと、なんだかよくわかりませんけど
アルさんがやる気になった事はわかりました!!
楽しみだなあ!




