72 冒険者Aさんとシオヒを狩る
あらすじ:アルファさんとミケさんは、モブ子さんと呼ぶ事になったそうです
視点:Eランク冒険者 ファイターLv3 モッブコットンさん
『』:アルファさん
(ザザーーン、ザザーーン)
「それで、私はどうしたら良いんでしょうか?」
『んじゃ、とりあえず俺が説明しながらやってみるから
それ見とってくれるか~』
えっと・・・まず【シオヒ】の近くに・・・。
え? あっ!? 無造作に!?
・・・なるほど、あくまで待ちのモンスターだから
普通に近寄っても大丈夫なんですね?
次は・・・えっ!? そんな無造作に!?
疑似餌を軽く叩いて・・・だ、大丈夫なんですか!?
あっ!! 口を伸ばして・・・!!
ええーーーー!? 伸ばした口を掴むんですか!?
うわ、本当に無造作にむぎゅっと掴んじゃった・・・。
え? その後は引っ張るんですか!? 口を!?
そ・・・そこからどうするんです?
あ、そこは普通にダガーで本体を刺すんですか?
えっ? なるほど、ダガーを貝との繋ぎ目に・・・。
そうやって本体を貝から引き剥がすんですね?
うそ!? 無造作に引っ張ったら簡単に取れちゃった!?
その引き剥がした本体は、どう処分したら良いんですか?
・・・・・・た、焚き火にポイですか!?
あっ・・・あっという間に縮んじゃった。
『ってな感じやな~。
慣れれば今みたいな感じでいけるけど
そんな難しく考えんでええよ。
そんじゃ、モブ子ちゃんもいってみよか!』
「ふぁ・・ふぁいっ!!!」
ええと、まず近づいて・・・。
うう・・・向こうからは襲ってこないと聞いてても
これは緊張するっ!?(そろりそろり)
つ・・・次は、疑似餌をポンポンするんでしたっけ?
じゃ、じゃあ! いざっ!(ぽんぽんっ)
・・・・・・ わ! わ! わわわ!?
本体からにゅっと口が伸びてきましたよっ!!
こ、こ、これを、よ、横から・・・!!!!
(ぎゅううう)はっ、はうっ!!?
掴めたっ! 上手く掴めたけど・・・感触がががが!?
え!? あ! はい!? ひっ、引っ張りますぅ!!
(ぐぐぐぐぐ・・・ミョーーーーーン)
あ・・・あわわ・・・あわあわあわてずにダガーで!
(グサッ、ザクッザクッザクッ)こ、こ、こうですよね!?
・・・・・・あっ! 思ってたよりは簡単に取れました。
こ、これっ、そのまま火にくべていいんですよね?
(ぽいっ・・・パチパチパチ、シュオオオ)
『どうやった? モブ子ちゃん。
そのやり方やったら、思ったよりは簡単に駆除できるやろ?』
「あ・・・あ! はいっ! これなら私でも出来そうです」
「ちなみに、普通に戦って討伐しようとすると
Dランク相当のモンスターだって事を実感できますよ?」
「えっ!? そ、そ、そっ!? そうなんですかっ!!?」
『せやでー。
試しに1匹だけやってみよか?
危ないから、ちょい離れて見とってくれるかー?
じゃあ、あの1匹はぐれとるやつで試すで?』
まずは貝に普通に攻撃ですか?
あっ! 【メイス】で叩くんですね?
・・・ええっ!? 衝撃を吸収したっ!?
え? 貝の表面に特殊な液体が膜を張ってて?
それって斬撃も打撃も効かないって事ですよね?
・・・今度は【ショートソード】で疑似餌ごと刺すんですか?
ふわっ!? 体液が飛び散って!!?
あっ・・・アルファさんよく避けれましたね。
えっ? なるほど、知ってたから避けれたですか。
や、やっぱりアレに当たったら麻痺するんですよね?
あっ! 貝が閉じて刺さってた【ショートソード】が挟まれて。
・・・・・・って、ええええええええええええ!!!!?
貝が立ち上がりましたよ!?
貝の下に体!? ええええええ!? 何か生えてきたっ!?
目!? 目なの!? 目が生えてカタツムリっぽくなった!?
う、うわあああっ!!!!!? あれ口よね!?
口が6本出てきてウニョウニョしてるうぅうう!!!!!
体液撒き散らせながらアルファさんに向かって進んでるっ!!
き・・・気持ち悪ぅうううううういいいいーーーー!!!!
何! このモンスター!? 【スライム】より気持ち悪っ!!
『ほいほいほい(さっさっさっ)ってわけでな~。
こうなると倒しにくいったらないんやわ。
・・・そんじゃ、まあ危ないしトドメ刺しとこか。
(ごそごそごそ)あらよっと(ぽいっ、ブワワワワッ)』
(シュワワワワワワワワワ・・・・・・)
「えっ!? な、何振りかけたんですか?」
『小麦粉やでー』
「粉でも紙でも、水分が吸い取れれば何でも大丈夫ですよ。
ちなみにその辺の熱々の砂でも、そこそこ効果ありますね」
「・・・あっ! 目とか引っ込ませてますよ?
貝に戻っていってるんですね?」
『せやで。
体の水分がなくなってきたら、また待機状態に戻るんや。
で、しばらくしたら、また貝が開いてくるわけやな』
「あの・・・アルファさん。
結局、その場合はどうやって倒せばいいんですか?」
『せやな~~。
剣とか刃物やったら、歩行状態になった時に
貝の下部分との繋ぎ目をズンバラリンと切断したらええで。
あの部分って、本体から伸びて繋がってるから
切断できたら、さすがにその内動かんようになって死ぬし。
・・・まあ内臓詰まっとるから、見た目グロいけどな~』
「うっ・・・私もグロいのは少し勘弁して欲しいです。
はうう、普通の討伐が大変というのがよく分かりましたよ」
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽
▽
あの後、お昼挟んで昼過ぎまで【シオヒ】を狩ったけど
残った素材部分の剥ぎ取り方法も教えてもらいましたし
慣れたら、私でも数こなせるようになったよね。
・・・それにしても、新鮮な貝柱の部分なら
生でも食べれるって事で、お昼ご飯の時に
刺身をご馳走になったんだけど、美味しかったなあ。
魚料理が豊富な【タンゴの町】でも魚介を生で食べるって
あまり無いし、私も初めてだったんだけど
【フソウ】の昆布出汁の醤油をちょっとつけて
口に頬張ったら、舌先でトロトロにとろけて・・・。
もう! 甘い! 甘かったの!! すっごいの!!!
噛んだら、ねっとりとしてて芳醇な香りでいっぱい!!
味も風味も印象強すぎて、今でも残ってる感じがする!
何!? 刺身ってあんなに美味しいの!?
ああ・・・また食べたい・・・癖になっちゃうよねアレ。
でも、アルファさんやミケニャンさん達が言うには
何でも刺身で食べれるわけではないみたいだし
クエストも、1人だと危険に対処できない事があるから
来る時は絶対にパーティでって、釘刺されちゃいましたよ。
うーーん、見透かされてるなあ・・・。
今度、マイクさん達を誘って来てみるなら大丈夫かな?
あ、刺身は市場の魚屋さんで、今度聞いてみようっと!




