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辺境の冒険者Aさん  作者: ミの人
7/401

07 冒険者Aさんと冒険者ランクの盲点

あらすじ:記憶も意識も飛ぶうまさ! 肉汁ばんざい!


視点:Dランク冒険者 ソーサラーLv3 ケベックさん

『』:アルファさん


 ・・・うん。


 なんか食事中の記憶が飛んでるけど、なんでだろうね。


 今、僕達は【タンゴの町】へ帰ってきている。


 マイクがアルファさんと一緒に

 

 【冒険者ギルド】へクエスト報告へ行っているので


 僕達は先に宿で荷物を降ろして、酒場で一息ついてる所だ。



「なあ、ケベック。

 今回のクエスト達成でCランクへ上がれるんじゃないか?」



 今回はアルファさんのクエストに同行という形だけど


 確か{緊急クエスト}は、報酬は通常の倍貰えるんだっけ。


 じゃあ、ギルドポイントも結構貰えるはず・・・だよね?



「え? 上がれるけど僕達はまだ上がるつもりはないよ」


「ん? どういうことだ?」



 クエスト達成によってギルドポイントが溜まってきたら


 まず、威力の高い火力系のスキルを優先して修得する。


 そして、次のランクへの規定分が溜まったら


 さっさと上のランクへ上がる・・・というのが


 この町だけじゃなく【ナフォード王国】の冒険者達では


 一般的なセオリーと言われている。


 以前の僕達も、それが普通だと思ってたので


 最低限の火力スキルにだけポイントを消費し


 早めにDランクに上がっている。


 だけど、アルファさんに教えられて初めて気付かされた。



「受けれるクエストの{推奨ランク}というのは

 現在の冒険者ランクの前後1ランク相当まで。

 冒険者のランクが上がったら

 受けれるクエストの{推奨ランク}も1段階上がる。

 今の僕達だったら、Dランクに加えて

 EランクとCランクまでが受けれるクエストだよね。

 それはヤンキも当然知ってるだろ?」


「ああ、そりゃ知ってるさ。

 そして、Cランクのクエスト報酬は

 Dランクに比べて格段に上だよな。

 だから、さっさとランク上げればいいんじゃないのか?」


「でもさ、それやっちゃうと今まで受ける事ができた

 {Eランク推奨}のクエストが受けられなくなる。

 ・・・って事でもあるんだよ?」



 Fランク冒険者は、【冒険者ギルド】に登録したての初心者。


 {Fランク推奨といえば、近場での{採取クエスト}に


 配達や調査みたいな簡単な内容のものがほとんど。


 {討伐クエスト}も一応あるけど

 

 農家の畑や家畜を狙う害獣を追い払ったりとかだ。


 モンスターの駆除も近隣の森にたまに沸く【グリーンスライム】や

 

 海岸沿いで【ファングフィッシュ】みたいな倒しやすいものばかり。


 この辺のモンスターは攻撃力も弱いし、毒や状態異常も持ってない。


 実際の所、一般人でも相手に出来たりする程度の強さだったりする。


 うーん・・・実はFランクはサクッと通り過ぎたから


 僕もあんまり覚えてないんだよね。



「へ? 確かにそりゃそうだろうな。

 でも、Eランクのクエストなんて

 別に受けれなくなっても大丈夫なんじゃないのか?」



 {Eランク推奨}のクエストになると、討伐も種類が増える。


 近隣の山や森では、虎や熊みたいな危険な野生の獣。


 モンスターも、小型ではあるけど、酸を吐く【イエロースライム】や


 毒の胞子を撒き散らす【マタンゴ】に、ハサミが強力な【ザリガニ蜂】


 後は、海側に出る【大ヒトデ】や【大クラゲ】とかが対象になってる。


 でも、このランク帯の獣もモンスターも、そこまで大きくはないし。


 耐久力も防御力も低いから、火力系のスキルや攻撃魔法があれば


 火力のゴリ押しで、結構倒せてしまったりする。


 だから{火力万歳! 俺達TUEEEE}とか


 {超楽勝! これだけいいじゃん!}なんて調子に乗って


 みんな勘違いしちゃうんだよね・・・僕達もそうだった、反省。


 ちなみに、Eランクの討伐対象って


 Fランクの冒険者でも、パーティを組めば狩れなくもない。


 別名、脱初心者のランクとか言われてるしね・・・。



「Dランク冒険者って言ったら

 {半人前だけど、本格的に冒険者の仲間入り}って扱いだろ?」


「半人前ってのはちょっとアレだけど、まあ、そんな感じだな」


「だから{Dランク推奨}の討伐クエストって

 報酬もかなり上がってるけど

 それだけ難易度も危険度も上がってるよね?

 ギルドでも、{Dランク推奨}に斡旋する冒険者は

 Dランク以上ばかりなのは、当然の事だと思うよ。」


「危険度かぁ・・・そうだな、倒せなくは無いけど

 Eランク、Fランク相当よりは、確実に手強いって感じだしな。」



 そうなんだ、{Dランク推奨}のクエストって


 実は半数ぐらいはモンスターの討伐依頼だったりする。


 依頼内容は討伐だったり、撃退でもOKだったりと、状況次第だけど


 モンスター素材の納品がセットになっている事が多い。


 討伐対象も種類が多くて、火を吐く【レッドスライム】や

 

 水上でもお構い無しに飛び掛ってくる【デビルフィッシュ】。


 強力な牙と爪を持つ【グレーベアー】や【ブラッドウルフ】みたいな

 

 獣系モンスターも居れば、【巨大ムカデ】みたいな昆虫系も居る。


 あと、この辺には滅多に居ないけど、王都の【キロの町】なんかでは


 【オーク】や【ホブゴブリン】など、中型の亜人系モンスターの


 集団というか群れが対象だったりなんかもするらしい。


 ・・・いや、群れとか無理だと思うんだけどね、いくらなんでも。


 とにかく、このDランク帯の討伐クエストっていうのは


 【ナフォード王国】の冒険者達には壁になっていて


 このランク帯のモンスターを、狩れるかどうかが


 その冒険者の評価に繋がっていて、今後の指標にもなっている。



「DランクからCランクへ上がるのに

 必要なギルドポイントは結構多かったはずだけど。

 ポイント自体は地道に稼いでいれば、決して無理な数値じゃないし

 もう一つの条件{Dランク推奨の討伐系クエストを最低20件達成}

 っていうのも、時間かければ出来ないことは無いよ、確かにね?

 実際に、僕とマイクは、あと1件で終わりだし」


「・・・あ! そう言われりゃそんなのもあったな。

 ギルドポイントの事しか頭になかったぜ」


「まあ、この町だけじゃなく、王都の冒険者達の間でも

 その2つ目の条件がクリアできなくて

 長い間Dランクで留まっている人も居れば

 諦めて冒険者を引退しちゃった人も結構居るらしいよ」


「そういえば、そうだな。

 俺も同時期に冒険者になったやつらが7・8人ぐらい居たけど

 Dランクのモンスターとか倒せねえって断念しちまって

 その内の何人かは、もう引退して故郷へ帰ったって聞いたな。

 でも、俺達なら条件さえクリアすれば問題ないんじゃねーか?」


「確かに僕達は、ポイントも条件も、特に問題はないと思うよ。

 さっさとCランクへ上がろうと思えば、すぐに上がれるだろうね。

 でも、ヤンキ・・・もう一度聞くけど

 Cランクに上がるのは良いとして、その後はどうするんだい?」

 

「その後? ってどういう事だ?」


「まあ、僕達もアルファさんに言われて気付いたんだけどさ。

 例えば今日の【ワイルドボア】、アレまともに戦って倒せたかい?」


「ん? そうだな、やってみなきゃ・・・いや、キツイな。

 うーん・・・まともにやったら倒すのは無理だろな。

 でも、今回みたいに罠張って全員で囲めばいいんじゃねえのか?」



 そりゃ、アレだけを見たら、そう思うかもしれないけど。


 ヤンキは肝心な事を忘れてる・・・というかまだ気付いてないよね。



「・・・ヤンキ、君は短時間であんな完璧な罠張れるのかい?」


「・・・えっ? いや難しい・・・かな」


「{釣り}のやり方は教えてもらったけど、アレってできる?」


「うーーん・・・練習すれば・・・なんとか?」


「あの【ハイド】って・・・」


「あ、アレはまだ無理」



 そ・・・即答かぁ、意外。


 同系統の【シーフ】だからこそ、精度の違いを感じたって事かな?


 まあ、今からでも修得して貰って熟練度を上げれば


 あの域までは無理でも、Dランクのモンスター相手なら


 問題ないぐらいに使える様になると思うし、頑張ってもらおう。



「アレで{Cランク推奨}の討伐対象としては一般的らしいんだよ?

 そして、僕達の今のメインの稼ぎは何だい?」


「メインの稼ぎ?

 【西の森】で【ドクドク草】とか【ピリピリ草】の採取だろ?

 討伐だったら、同じく【西の森】行って【マタンゴ】とか

 レッド・・いやレッドはきついな、【イエロースライム】辺りか。

 あとは【ザリガニ蜂】なんかは、割とおいしく稼げる相手だな。

 ・・・で、資金溜まったら消耗品とか準備して

 山の奥で【レッドスライム】とか【グレーベアー】って感じか?」


「そうだね。

 補修代とか雑費含めても、それでなんとか黒字収支だよね」


「で、それがどう・・・・・・あっ!?」



 どうやらヤンキも気付いてくれたらしい。


 そう、僕達が今のままCランクへ上がると


 ぶっちゃけ詰む。



「ヤンキも気付いたみたいだね。

 そうなんだよ、僕らが今のままCランクへ上がったらかなりヤバイ。

 はっきり言って詰むんだよ」


「詰む・・・」


「現状の受注してるクエスト比率って

 大体{Eランク推奨}4・5回やって{Dランク推奨}1回だろ?

 じゃあ、Cランクに上がったとして、その後のローテーションは?」


「それは・・・{Cランク推奨}だと、すぐにはキツイか無理っぽい。

 黒字収入でやっていける{Eランク推奨}はもう受けれなくなる。

 ってなると、ひたすら{Dランク推奨}をこなすしかないな。

 でも、基本討伐ばかりだから、消耗品や武具の補修代を差っ引いて

 懐具合は常にカツカツか金欠・・・うはー。

 結局は、無理を承知で{Cランク推奨}を・・・。

 うん、確かに詰むな。

 っていうか、誰か1人ぐらい死ぬんじゃね?」


「だろ? 僕らもその結論に辿り着いたさ。

 それで、アドバイス貰った後で、マイクと話して決めたんだよ。

 詰む結果しか見えないCランクに、無理して上がるよりもさ。

 まずは、Dランクでしっかりと資金貯めて装備を充実させる。

 そして、ギルドポイントは、コモン、クラス専用関わらずに

 必要なスキルを修得するのに消費して、熟練度もそこそこ上げる。

 少なくとも{Dランク推奨}のクエストだけでも

 黒字収支でいけるぐらい地力をしっかりと鍛えようってね」



 僕も、次の{3ランク魔法}を修得する前に


 修得しておきたい【ソーサラー】の魔法スキルが結構ある。


 睡眠付与の【スリープ】や、蜘蛛の糸っぽい【ウェブ】辺りの


 便利そうな新魔法を1つか2つ修得して・・・。


 あとは、現在は合計で1回しか使えない{2ランク魔法}を


 少なくとも合計3回ぐらいに増やせれば、かなり余裕出るだろうし。


 ついでに言えば、今の内にもう1人ぐらいパーティを増やしたい。


 可能なら、【癒しの奇跡】が使える神官か、壁役の重戦士・・・。


 まあ、そこまではちょっと高望みが過ぎるかな。



「ちなみに、これもアルファさんに教えてもらったんだけどね。

 この【タンゴの町】というよりも【ナフォード王国】全体で

 引退者のほとんどがDランク、Cランクの冒険者らしいよ」


「ん? 他の国は違うのか?」


「聞いた話だと、他国の【冒険者ギルド】ではね

 ラックアップの条件に支部独自の条件や試験を追加したり

 ランクアップの際に、ギルドの講習を半強制で行ってるらしくて

 そんな、詰む状態にならないように、注意喚起してるらしいよ。

 だから、重傷でリタイアとか、家業継ぐとかは別として

 この国みたいに詰んで終了とかは、そこまで無いんだって」


「そこまでって事は、居る事は居るのか」


「まあ・・・、どんなにギルド側で注意喚起しても

 自分だけは絶対大丈夫! 自分はそんな事にはならない!

 とか甘く見てる人って、どこにでも居るだろうしね」


「ふーん・・・なるほどねえ。

 じゃ、この国の【冒険者ギルド】では何でやらないんだろな?」



 そう、僕もそれは疑問に思ってアルファさんに聞いたんだよね。


 ・・・理由を聞いたらすごく納得したけど。



「この国は良くも悪くも辺境の田舎だかららしいよ。

 そもそも、その国自体が兵士の補助的な物としか見てないからね。

 【冒険者ギルド】には、資金も、職員も何もかもが足りないんだよ。

 特に、運営に必要な技術や指導、情報なんかに関われる

 上級冒険者に至っては、全くと言って良い程、足りないらしい。

 そりゃ、当然といえば当然なんじゃないかな」


「上級の冒険者が足りないって・・・

 今、この国には、確かAランクが4人も居るんだろ?

 あとは、確かBランクが30人ぐらいだっけ?」


「いや、それなんだけど、南の【ドラント王国】なんかは

 一番近い【アハツェの町】だけでも

 Aランクの冒険者は20人以上いるらしいよ。

 Bランクに至っては100人越えてるんだってさ」


「ひゃ・・ひゃく・・」


「王都よりは発展してるこの町だって、元々は開拓村だからね。

 ようやく人口1000人ぐらいらしいし。

 支部が設立してから、まだ、たったの10年だって聞くし。

 まあ、そりゃ色々足りないよね」



 アルファさんが言うには、この国はいわゆるド田舎ではあるけど


 それよりも問題なのは、王族や貴族に権力が集中してるって事。


 結局、冒険者自体が下に見られると軽い扱いになってしまい。


 国からは予算も補助金も出ないし、依頼だって国経由。

 

 おまけに、その内容も国の兵士の補助や、権力者の雑用が大半。


 英雄譚に出てくる様な、伝説級のモンスター退治や


 古代遺跡に秘境の探索! みたいな胸躍る大冒険なんてものは


 この国では期待しない方が良いらしい。



「ほーん・・・あれ?

 それにしても、この国のBランク以上の冒険者って少なくね?

 毎年それなりの人数がランクアップしてるだろ?」


「その理由は、僕でも分かるかな。

 この【タンゴの町】はどんどん発展中だし

 仕事も多いから、あまり、そうは感じにくいけど。

 結局、冒険者として大冒険したい人や、英雄志願の人達って

 Bランクまで上がったら、さっさとこの国を出て

 南の【ドラント王国】とか、船で【フソウ】へ行っちゃうよ」


「確かに・・・そりゃそうだな。

 冒険者として大冒険したいなら、みんなそうするだろうし

 将来的には俺だって多分そうする」


「そもそも、冒険者やってる人って

 村出身で、農家の次男や三男みたいな人達が

 {実家継げないから仕方なく}なんて理由でやってるのが多いし。

 他には{都会の暮らしに憧れてる}とか{刺激に満ちた生活}とか

 {一攫千金に憧れて}って感じで田舎出て来た人ばかりだもんね。

 そりゃ、そこまで行ったら他所へ移っちゃうよ。」


「俺もそのタイプだわ。

 何にも無い田舎の農村で、兄貴が実家継ぐから俺は養子か婿入り。

 その後は、そこの家で肩身狭い思いしてこき使われ続けて

 一生畑を耕して終わる・・・とか、もう目に見えてたからなー。

 そんなの勘弁って家出同然で飛び出てきた口だからな」


「僕だって似た様なもんだよ・・・。

 まあ、僕の場合は昔から魔法に憧れてたから

 マイクに誘われて、一緒に村から出て冒険者になったんだけどね。

 多分だけど、CとかBランク冒険者としてそれなりになった辺りで

 気付く人は気付くんじゃないかな・・・?

 思ってたのと違う! ・・・ってね」


「・・・で、この国じゃ無理だから他所へってな。

 ん? じゃあ今この国に残ってる中級以上の冒険者って?」


「王都の冒険者の場合は、城の手伝いとかばかりで面白味はないけど

 危険度は低いし、収入は割と安定してるっぽいんだわ。

 実家住みとか、結婚して家族できた人とかは

 そのまま残ってるんじゃないかな。

 後は、この国内であれば上位者で居られるからとか・・・?

 他所との違いに気付いてるかどうかは別として

 ここでなら、Bランクってだけでチヤホヤされそうだし」


「俺も人の事言えないけど、勘違いしてる奴等とか多そうだなー。

 ・・・・・・あーーー。

 さっきヤバイって言ってたのは、その事もあるのか」



 なんだかんだで、ヤンキも結構鋭いというか察しがいいよね。


 今日だけでそこまで気付いたんだし。



「つまりアレだな。

 攻撃スキルだけでサクサクCランクまで上がったとして

 そこで通用しなかった場合は、進退どっちも無理になって詰む。

 そして、もしCランクでも通用したら通用したで

 {俺TUEEE! 楽勝ーー!}ってなって

 おバカな勘違い野郎達の仲間入りしてたって事か。

 んで、自己満足な優越感に浸ったまま大冒険は忘れて

 この国でずーっと低迷を続けるとか・・・ヤバイすぎるだろ」


「ま・・・まあ中級以上の全員がそうだって訳じゃ無いけど。

 そうなる可能性は高いって事だよね」



 元々、冒険者としての経験・技術・専門知識などが乏しいこの国で


 下を鍛えてくれるはずの、まともなベテラン勢まで外の国へ出て行く


 これじゃ、この国では冒険者の質も人数も向上するわけがないよね。



「アルファさんも、バカにしてるとかじゃなくて

 この国のAランクの人ですら、戦闘力や技術も知識も

 他国だったらBランクと同程度以下しかないけど

 大丈夫かって、むしろ心配してたぐらいだし」


「なるほどなー・・・。

 いや、実は俺も少しソレは思ってたんだわ」


「えっ? そうなのかい?」


「おう、えっとだな、【タンゴの町】には

 【フソウ】や、南の【アハツェの町】から

 たまーに行商人が来るじゃないか」


「うん、1ヶ月か2ヶ月に1回ぐらいかな

 行商人の人達が来るね」


「それで、大体、護衛が付いてるだろ?

 見るからに凄腕っぽい人達が」


「そうだね、落ち着いた歴戦の戦士って感じで

 そういう雰囲気纏ってるよね、あの人達」


「ちょっと前に、話す機会があってな、あの人達に聞いたんだよ。

 そしたら、あの人達のほとんどが

 臨時で依頼受けたCランクやBランクの冒険者なんだと」


「え、そうなの!?

 僕はてっきり、Aランクの人とか凄腕の元軍人とかが

 専属で雇われてるのかと思ってたよ」


「あの人らと比べたら、この国のAランクですらなぁ・・・。

 うん、何か妙に納得したわ」


「あ、でも、アルファさんが言ってたけど

 ギルド職員のリマさんは、元冒険者という事もあって

 実体験から要点を理解してる上、真摯な応対をするから

 他国のギルド職員と比べてもかなり優秀な方なんだってさ。

 この【タンゴの町】の【冒険者ギルド】が順調に発展してるのは

 リマさんの仕事ぶりあってこそ! って手放しで誉めてたな。

 だけど、周囲でその事も、その価値も理解してる人が少ないから

 イマイチ評価されないんだろうなーって、嘆いてもいたけどね」


「なるほどなー・・

 あの{アラサーの地味職員}さんがねえ・・・」


「あ! それ、絶対にアルファさんの前で言っちゃ駄目だぞ。

 ぶん殴られる程度だったらまだ良いけど

 最悪、僕ら全員見限られる可能性があるからな」


「さすがにそんなこと言わねーよ。

 俺にだって、あのメガネ職員さんが

 あそこのギルドの中で一番優秀だってわかってるさ。

 これでも、このパーティに入る前は

 全部の窓口へ一通り行って確認してんだよ。

 結局、最終的にはあの人の窓口へ行くようになった事で

 今のパーティ斡旋してもらえたんだしな」


「だったら良いんだけど・・・くれぐれも気をつけてよ?」


「分かってるって任せとけ!」



 ホントかな・・まあ、僕達が気をつけてれば良いか。


 さて、そろそろマイクも戻ってくる頃かな?



「何か話が逸れたけど、そういう理由だから

 今回のギルドポイントもスキル修得に使う予定だよ」


「了解。

 俺も今日はあの後に色々教わったし

 隠密スキルだったり、罠だったりと色々幅を広げてみるわ。

 確かに今のままじゃ【シーフ】になった意味無いもんな。

 アクロバティック系のスキルも、使い勝手良さそうなのあるし

 華麗に姿を消して、モタモタしてる奴を後ろからバッサリ!

 そんなアサシン系を目指すのも有りだよなー」


「そうそう。

 遠回りが逆に近道で、長続きの秘訣でもあるってね。

 まあ、緊急のはさすがに無理だけど

 今でも{Cランク推奨}クエスト自体は受けれるわけだし

 余裕見て何度か受けてみて、通用するって確証得られてから

 ランクアップするってのもありだと思う」


「だよなー。

 ・・・おっ? 帰ってきたかな?」


(ドタドタドタ・・・・ガチャッ)


「おーい! 戻ったぞー。」


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↓ こっちも開始しました・・・開始しちゃいました。
猟団の団長Bさん
こっちはチートや変態成分高めの傭兵稼業です。



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