67 冒険者Aさんと撲殺の時間だ!
あらすじ:ダンジョンの種は非売品です
視点:Dランク冒険者 ソーサラーLv3 ケベックさん
『』:アルファさん
『そんじゃ、撲殺のお時間やで~!』
「「「「「ぼ、撲殺!?」」」」」
昨晩、マイクが慌てて呼びに来て
その後もいつになくハイテンションだったから
急に何事かと思ってたけど・・・。
なるほどね、魚の子とあのおじさんを鍛えるついでに
僕らの面倒も見てくれるっていう事なんだね。
うん、確かに、これは来て正解。
まあ、訓練場の使用料は少し痛いけど
僕ら、基礎的な事を教えてもらったことないしね。
「なー、おっさん。
あんた俺らに教えれるぐらい武器に慣れてんのか?
あんまし、そーは見えねーんだけど。」
「全く、無礼なガキですね!
ご主人様はもがもがもが(ぎゅーーー)」
「おい、ヤンキ!! 失礼なこと言うなよ!
今回、お願いして
無理言って教えてもらってるんだからな!?」
『わはは、まあまあ、しゃーないって。
マイクくんも気にしたらアカンで~。
俺もキミらの立場やったら、そー見えるって。
別に武器で戦う専門家って訳や無いし。
一応教わった事は有るけど、ほとんど我流やしなー。
実際んとこ何がキミらに有益なんか俺もわからんし。
ま、100に1つでも拾える情報があったら
御の字ってとこちゃうか?』
「(ぎゅううう)ふがふが、もがー! もがーー!!」
うう・・・すいません。
最近、だいぶ態度がマシになってきたと思ってたけど
うーん・・・ヤンキにも困ったなぁ。
『んじゃ、始めよか。
サバミソとロバやんは渡しといた【メイス】な。
あと、モッブコットンちゃんも予備があるから
同じやつ(ごとっ)これ使ってなー。
あー、ついでにもう1本有るから、マイクくんらで
使いたい人おったら使ってええで』
「あ、はい、お借りします」
「僕は自分の【メイス】持ってきてます」
「僕は愛用の剣があるので」
「俺はメイン武器が【ダガー】だしなー」
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▽
「えっと、持ち方はこれでいいんですか? うおっ」
「え、えっと、武器に対して垂直に持って
て、手首は固定する・・・でいいのかな」
『そうそう、そんな感じやな。
でも握りはそんな強く握らんでええで。
柄のお尻部分に革の輪っか付いとるやろ?
そこに手を通してから握ると、しっかり握れて
ある程度手首固定できるから、やってみ~』
「えっと(ごそごそ・・・ぎゅっ)あ、確かに。
これなら、そんなに強く握らなくていいですね」
「その為についてる革の輪ですしね。
使用中にすっぽ抜ける事も無くなりますから
装備する時は必須ですよ」
「「「・・・・・・」」」
『ぶっちゃけ、上級ランクとか熟練者でも
この、握りの部分で知らんかったり失敗してる人が
結構多いねんな。
まあ、知らんでも問題は無いってゆーたら無いんやけど。
垂直に持たんかった場合は、手首を痛めやすい上
力がちゃんと伝わらんから、実は威力も減衰するからなぁ。
持ち方は慣れておいて損は無いで』
「ついでに言っておきますと
柄にぐるぐるに巻きつけてある滑り止めの布。
これも、たまには交換して巻き直す必要がありますよ。
滑ってしまうと、威力が半減どころではありませんし」
「(そういえば、この革の輪って使った事なかった)」
「(そっか、武器に対して垂直に固定して持つのか
確かに、それを意識してやった事ってないな)」
「(ダガーとかでも、お尻に付いてるやつあるけど
あれって、その為だったのか。
むしろ振り回しにくいから使ってなかったわ)」
うーん・・・知らなかった。
というか、僕が魔法系クラスの【ソーサラー】で
武器とはあまり縁が無かった事を別にしても
これは知っておくべき、慣れておくべき基本ですね。
『じゃ、しっかり握ったところで
それぞれ、目の前にある【カカシ】に
1回攻撃してみよかー。
手叩いて合図するから一斉にな~(パーン!)』
「わ、わかりました! うおっ(ブオンッ)」
「は、はい、なんだな!(ぐぐぐぐ、グワワワッ)」
「こ、こうですか?(ブーーーーンッ)」
「了解ですっ!(ビュワッ)」
「ええと、こうっ・・・かな!?(ブーーーーンッ)」
「よっし、うわ、振りにくっ(ビュバッ)」
(ドスンドウッドムッズビャッ!ドムッザグッ)
『OKOK~。
ま、今好きに攻撃してもらったけど
まともなダメージになっとるのはマイクくんだけやな。
あれや、全員振り回すのに力入れ過ぎやわ。
もちっと肩と腕の力抜いて振ってみたらええよ。
んじゃ、もう2回続けて振ってみよか。
行くで~(パーン!)』
(ドスンッドウッドムッズビャッドムッザグッ)
(パーン!)
(ドスンッ!ドゴッドムッズシャッ!ドグッザグッ)
『よっしゃ、いったんストップな~。
ん~・・・やっぱ、慣れてない人間の方が
変な癖ついてない分、逆にコツつかみやすいっぽいな』
そうなのかな?
どっちにしろ僕には重くて
マイクみたいにブンブン振り回せないんだよね。
確かに、最初の1回目よりは2回目。
2回目よりは3回目の方が上手くいったような?
うーん・・・正解を知らないから、よく分からない。
「えっと、アルファさん。
僕の場合どこがまずかったのか
できれば教えてもらいたいんですが・・・」
『あー、マイクくんの場合なー。
全体的にまずいって事は無いんやで?
なんぼか練習したら、握りと力の抜き方も覚えれるやろな。
まあ、強いて言えば、剣を腕の力で振ってるってのと
当てた時の打撃点がずれとるってとこが問題やな』
「えっ、腕の力・・・?
じゃあ、こんな感じ(ビュッ)・・・ですか?」
『いや、えーっと、腕で振らんと肩と腰で・・・。
うーん、何か説明しづらいな』
「ご主人様~、打撃点の事もありますし
【メイス】の予備を使ってもらって
全員まとめて説明した方がよくありませんか?
あ、あとヤンキ君は根本的に短剣の使い方間違ってます。」
『あーー、せやな。
じゃ、ミケ、お前は短剣は詳しいし
ヤンキくんへの説明は任せるわ。
んじゃ、マイクくんはそこの予備使ってくれるか?』
「えっ!? 俺何か間違えてんの?(むかっ)
・・・・・・なあっ! おっさん!!
何だかんだ言う前に見本見せてくれよ、見本!!」
って!? おーーーーい!? またか!?
いちいち噛み付くの辞めてくれよ!!!
せっかく良い所なのに怒らせないでーーーー!!!!?
『よっしゃー、任せとけ~~!
ま、元々そのつもりやったし
順に説明しながらいくで~
じゃ、サバミソのちょっと借りるな』
「あ、はい! しっかり見てます! うおっ」
「お、お願いしますなんだな」
「(怒ってないみたい? よ、よかったー)」
『まず、握りやな。
革の輪っかに手首を通して柄を垂直に握る(ぎゅっ)
構えはまあ好きにしたらええけど。
左に盾持って、右で殴るなら左足が半歩前やな。
当然やけど、ひざは内股気味に軽く曲げとく』
「ふむふむ、内股気味」
「僕は盾無しの場合も考慮しないとダメかな」
『んで、体の中心はまっすぐで顔は正面を向いたまま
武器を持った方を横から後ろに捻るやろ?(ぐぐぐっ)
あっ、この時、肘は軽く曲げとくんやで?』
「正面向いたまま横に捻る・・・」
「体の中心まっすぐに保つの難しそう」
「あ、肘はまっすぐじゃだめだったんですね、うおっ」
『そっから、肘と腕を固定したまま(ぐっ)
一気に前方へ振りぬいて・・・(ひゅぱっ)』
(ズバアアアアアアァッッン!! バキャッッ!!!)
「!! ひっ!!? こ、壊れたっ!?」
「う、うおっ!?」
「・・・!!」
「さすがです、ご主人様~」
『・・・っと、こんな感じで打撃を叩き込むって感じや。
ちなみに今のって、腕の力はほとんど使ってなくてな。
当たる寸前に、体重移動で負荷かけただけなんやで?』
「「「「「(ぽかーん)」」」」」




