58 冒険者Aさんと獲物解体
あらすじ:腹ペコ達が美味い飯の匂いを嗅ぎつけて集まってきました
視点:食通のご隠居と孫娘の護衛 Bランク冒険者 サムライLv9 ジン・クロガネさん
『』:アルファさん
「お帰りなさいませ!! おじさま!!!(きらきらきら)」
「・・・でしょうね!
ははっ、お約束ワロス~ですわ。
ねえ! ご主人様?」
『わはは、そうゆーなってミケ。
ただいまやなー、姫さん。
それに、ゲンさんにジンくんも、よーこそやで』
「うむ、夜分にすまんな、アルファ君にミケニャン君」
「こんばんわやでー、にーさんにあねさん。
ぞろぞろとすんまへんなー」
「そんなことよりも、早く早く!(うおおおおおん)」
う~~~ん、クエスト帰りで疲れてる上に
晩飯前にぞろぞろ押しかけたのに
動じへんと歓迎してくれくれるんやもんな~。
さっすが、にーさんですわ~! 相変わらず器でっかいでんな!
ワイが女やったら惚れてまうところやわ!!
・・・・・・にしても、ヒゲの嬢ちゃんも相変わらずやな。
「えーーーと、一応お伺いしますけど
こんな時間に、皆さんどうしたんですか~?」
「まあまあ、ミケのあねさん
そんな塩対応せんといてくださいよ~。
ま、アレですわ! アレ!
いつものお嬢の勘ってやつですわ!!」
「おじさまが無事に帰ってくるのと!
おじさまが楽しみなもんを獲ってきたってのを!
ウチ、ビビビっと感じましたんよ!」
『なるほどな~、ま、いつものことやね。
わはは! これも【弁才天様】のご加護ってやつなんかな?』
「いややわ~、おじさま!!
そんなん、ウチがおじさまをお慕いしてるからに
決まってるやないですか~。(ふんすふんすっ)
ご加護なんて無くても、ウチにはビビビっと感じますんや!」
まあ、実際どうなんやろな?
【弁才天様】って{多才にも程があるやろ!?}ってぐらい
色んな御利益の塊みたいな神さんやけど。
ホンマにご加護の力なんか、それともお嬢の巫女さんの力なんかは
結局、どっちかは分からんのよな~。
そういや{縁結び}とか{恋愛成就}の御利益もあったんやっけ?
それやったら、案外どっちも正解ゆーても間違いちゃうんやろな~。
「はあ・・・まあ、今更ですわね。
ま、皆さん、ちゃんと手伝って下さいよ?」
『せやなー、せっかくやし、みんなでやろか!
あ、ミケ、その前に、サバミソとロバやん呼んできてくれるか?
あの2人にも解体は慣れさせんとアカンしな』
「「「はーい」」」
「うう・・・おなかへったー(ぐおおおおおおおん)」
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
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▽
『さてと、そんじゃ周囲に灯りも灯して明るくなったし
特製の防水シートも敷いたし、今回の獲物出すで。
びっくりして腰抜かしたらアカンで~!』
(ごそごそごそ、ズルッ、ズルルルルルルルルルルッ)
「「「!!?(びくっ!)」」」
「ほう・・・大蛇か、これは見事と言わざるを得んのう」
「おいしそう!(じゅるっ)」
「さすがにお嬢様と一般のお子様には刺激が強すぎましたかねー。
あと、何でそこのお侍さんもビビッてるんです?(にやにや)」
「え!? ワ・・・ワイはビビッてへんよ!
うん! ワイをビビらせたら大したもんやわ!!
な・・なははははは!!(たら~~)」
嘘です、すんまへん!!! ちょっとビビりました~!!!
ワイ、蛇とかカエルとか苦手なんやわ。
い、いや、怖いとかそんなんやないんやで!?
昔、修行時代に、沼地で【ヒュドラ】に丸呑みされたり
【巨大ガマ】に丸呑みされたり、【巨大ハブ】に丸呑みされたり。
せ、せや・・・ちょっと苦手なだけなんや、うん。
おまけに、ぬめっとる上に鱗まであるから切りにくいねん。
剣士とか刀使いにとっては、やりにくい相手なんやし
う、うんうん、苦手意識ぐらいはしゃーないよなっ!
「ま、まあまあ、おで達もさっきびっくりしたんだな。
さすがに、み、見るの2度目だし」
「は、はは、いやー・・・ウチびっくりしましたわ~。
こんなでっかい蛇さん、さっすがはおじさまやね!(べたべた)」
「ちょっと!? そこ!!
何どさくさにまぎれてご主人様にベタベタしてるんですっ!?」
『わはは、ありがとうな、姫さん』
「もう! おじさまっ!?
ウチの事も名前で呼んでって言ってるやないですかー!!」
「きいいいいいいいいい!!!! そこっ!!
何ミケを差し置いてイチャイチャしてるんですかっ!!!
そういうのはっ!!! そういうのはミケの特権なんですよ!!」
『ほれほれ、姫さんもミケもそこまでや。(ぽんぽん)
そしたら、みんなボチボチ解体始めんでー。
ツリーさんお手伝い助かりますわー。
エイトちゃんもありがとうな~』
「は、はいっ! えっと僕は何からすればいいですか? うおっ」
「お、おでも頑張るんだな」
「(にこにこ)お気になさらず、アルファさん。
今日は他のお客さんもいませんし、丁度手が空いてましたので」
「任せて! でっかい蛇さんにはビックリしたけど
わたしも頑張る! 超頑張るよ!!」
『わはは、よろしく~。
っちゅーわけで、ジンくん、まずはよろしく』
「えっ? ワイ?」
えっ? えっ!?
わ、ワイ、何させられんの?
「そうですよー、ジンさん。
とりあえず、その自慢の刀で頭を落としちゃって下さいな。
えーーっと・・・・この辺に毒腺があるから・・・。
この辺ですね、(ぽんぽん)この辺でバッサリと!」
「え・・・ワイが切るん?
この蛇って確か【ジャイアントパイソン】やろ?」
あれ? この大蛇ってゆーか、このモンスターって
確か{別名:剣士泣かせ}とか言われとったよな?
金属みたいな、ザラザラの頑丈な鱗で覆われとって
剣やったらまともに刃が通らんってアレやなかったか?
え? ワイがそれ切るんか?
「あれあれ~? (にやにや)
お侍さん、その刀は飾りなんですか~?
あっ!? 自信ないんですね! これはすいません。
いえいえ、ご安心を。
蛇が苦手でビビってしまったお侍さんは
そちらで休んでてください~。(ぷぷっ)
ミケがバッサリやりますんで~~~」
「!!?(びきびきびき)
や! やったらあああああああ!!!!
ワイが真っ二つにしたるーーーーー!!!!」
『わはは、頼もしいなジンくん。
ほんなら頼むわ、そこをズンバラリンとやってくれるかー。
あ、そうそう。
シート切ってもうたらアカンから俺が頭持ち上げとくわ。
・・・・・(ぐいっ)よっこらせっと』
「ふむ、期待しておるぞ、ジン君よ」
「ジン! おじさまに良い所見せるチャンスやで!!
あんじょう、気張ぃ!!」
うう・・・にーさんとご隠居とお嬢の期待が重いわー。
・・・ま、冗談はともかく、仕事はちゃんとこなしまっせ。
でもあれやな、【雷刃丸】で切ったら焦げる可能性あるし
【風刃丸】で下から上にスパッとやったらええやろか?
刀で真下から垂直切りとか、すっごいやりにくいねんけどなぁ。
「ほなら、行くで!!(スッ・・・・・ズパッ!!!!!)」
(ドザッ・・・ボタボタボタボタ)
『おー! お見事やジンくん。
きれいにズンバラリンできたなー。
さっすが、【風雷のサムライ】の異名を持つ剣豪やな!
いや、すごいすごい』
「いや~~~はっはっは!
そんな誉めんとってーな~~!!
これくらい、当然やって、に~~さ~~~ん!!」
「それじゃ、次は胴体の裏の・・・(ぺんぺん)この辺ですね。
こっから(ずずずずずいっ)尻尾まで切り裂いて下さい。
あと、それが終わったら・・・」
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・・・つ・・・疲れた。
切りにくすぎるやろこいつ。
おまけに、体液で体中もベットベトやベットベト。
あれから、胴体の裏っかわ切り裂いた後で
にーさんらが皮剥いで内蔵取っ払った胴体を
散々ブツ切りや!!
胴体分厚すぎるっちゅうねん、俺の腰まであるやないか。
おまけに何メートルあんねん、この蛇。
1メートルごとで7回やから、大体8メートルぐらいか?
さすがにしんどいわ、もう腕上がらんっちゅーに。
それにしても蛇の皮ってあんなきれいに、ずるっと剥けるんやな。
何か、靴下をべろんっと裏っ返しに脱いだ時みたいに見えたわ。
・・・さ、さすがに、もうワイの出番は終わりやろ。
「それじゃ、次は捌いて骨切りよろしくー」
「マジでええええええ!!?」




