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辺境の冒険者Aさん  作者: ミの人
56/401

56 冒険者Aさんと帰るまでがクエストです

あらすじ:薬草と大蛇ゲットだぜ!


視点:実は狸って蛇が好物 大妖狸ミケニャンさん

『』:アルファさん


(ザッザッザッザッ)



 むっふっふ、あれだけ大きかったら食べ甲斐がありそうですわ~。


 昔の獣時代だったら、おやつ代わりに生でガブリンチョでしたわね。


 でも、ご主人様が調理してくださったのを食べてからは


 すっかり生で食べなくなっちゃいましたね~。

 


(ザッザッ、スパンスパン)


「アルさん、そういえば、登りの時も草むらを切り開いてましたけど

 どうして既に有る小道を通らないんですか? うおっ」


「そ、そういえば、おでも不思議に思ってたんだな」


(シャッ、スパン、シャッ、スパン)


『あーーー、それはやな』


「それはじゃな、ありゃ小道というか獣道じゃからじゃ。

 言っとくが、獣道を人が通るのはオススメせんぞ」


「あ、そ、そうか、なるほどなんだな」


「獣道・・・ですか? うおっ」



 皮剥いで下処理してから、豪快にぶつ切り!


 煮るも良し、揚げるも良しですよね~。


 あ”あ”あ”~~~。


 それにそれに、毒腺ごと頭を漬け込んだお酒!!


 あれもまた飲みごたえがあって癖になるんですよね~。


 うへへ・・・じゅるり、おおっとミケとした事がはしたない!



『まあ、トロットじーさんに先言われてもうたけど

 獣道って、獣やモンスターが独自に作った道やからなあ。

 ま、言い変えると縄張りみたいなもんや。

 よーく見たら分かると思うけど。

 獣道には、そこ利用しとる奴の糞尿とか体毛とか結構落ちとるんや。

 そこ通るとか、喧嘩売ってるようなもんやし

 襲われてもしゃーないからな』


「特にこの辺みたいに、草の丈が腰まであるような所じゃと

 上から見ても獣道の中とか全然見えんからのう。

 中にまだ潜んどる事もよくあるし、通るのはかなり危険なんじゃ」


「お、おでも故郷で山歩きを教えてもらった時に、言われたんだな。

 あ、あと、獣道は、そこを通る獣を狙って

 ダニとかノミが一杯待ち構えてるから近づくなって教えられたんだな」


『おー、ロバやんもよく知っとるなぁ。

 せやな、そこ通る生物が居る事もあれば、そいつを狙った捕食者も潜んどる。

 んで、ロバやんがさっき言ったみたいに

 そうゆー害虫とかも待ち構えとったりする。

 おまけに、大概そうゆーやつらは、毒とか病気とか持ってたりするからなぁ。

 ま、【フソウ】にも{君子危うきに近寄らず}って言葉があるぐらいやし

 楽して危険を負うぐらいやったら、多少手間がかかって疲れるとしても

 自分で安全な道を作って通った方が、まだ問題起き難いわけやな』


「ノミにしろダニにしろ、奴ら虫の癖に妙に小賢しいんじゃよなぁ。

 自分の餌になる生物に移れるように的確に待ち構えすぎじゃろ」


(ガッサガッサ、シャキーン、ガッサガッサ)


『ホントそれなー。

 体格差から比較したら

 人が成竜とか巨人に飛び移るようなもんやと思うんやけど。

 あいつら、一切躊躇せえへんしな。

 おまけに、いっぺん取り付いたらそう簡単に離れへんし。

 皮膚ん中に潜伏して数日後に活動しだす奴もやっかいやけど

 特にこうゆー所によくおって、面倒くさいのが【マダニ】やな。

 血ぃ吸ってるのを見つけて取ろうとしたら

 頭や刺し口だけ残るとかやっかいすぎるやろ。

 しかも、あいつら大概変な病気持っとって

 その残った所から余計酷くなるとか、どんな嫌がらせやねん』


(ザッシュザッシュザッシュ)


「あれは本当にやっかいじゃからのう。

 一応、満腹になったら離れてくれるやつもおるんじゃがな。

 見えているのに取れないって言う、あのジレンマはやっとれんわ。

 ワシも仕事上で藪に潜む事が多いから、よく悩まされとってのう・・・。

 アルファーよう、なんぞ良い虫除けの薬とか道具とか無いもんかのう?」



 いやあ~~初めてご主人様に【蛇酒】飲ませて貰った時なんか


 体の底から熱~くなって、心臓バクバクになったんですよねえ~~。


 あの興奮作用は何度味わってもいいもんですよ~~じゅるり。


 おまけに体調良くなるとか、ちょっとした万能薬?


 ・・・それにしても、蛇の毒が酒に溶け込んで効能が強くなるとか?


 毒サソリとか毒蜂なんかのお酒も同様らしいですけど


 最初にそんなもの漬け込んで飲んだ人って、何考えてたんでしょうねえ。


 毒が消えると思った? 保存食にするつもりだった?


 うーーん・・・ミケもご主人様のお供をして色々と世界周りましたし


 かなり染まってきたとは自分でも思うんですけど


 どこ行っても、人間の思考って想像の斜め上行く事多いですね~~~。



(スパンスパンスパーン)


『うーーーーん・・・あるにはあるんやで?

 ただ、濃い液体やから臭いもかなりきつくてなあ・・・。

 かなり離れてても臭って、しかも持続時間結構長いからなー。

 じーさんみたいに獣を追う猟師やと、一発で獣にバレてまうな。

 おまけに効果強すぎて、お肌にも良くないねんなー』


「うん? なんじゃ、あるにはあるんか。

 ・・・・・・ふーむ、確かに猟には向かんが

 山菜とか薬草だけの時なら使えそうじゃな。

 そのまま液体で使うんが問題じゃったら

 燻煙で外套に染みこませるのはどうかのう?

 上に羽織るだけでも、ある程度効果ありそうじゃしな」


(ザクッザクッ「キシャーーーー」ザクッ「ギャーーーーー」ザクッ)


『あーーー、なるほど、殺虫剤や防虫剤みたいな感じにするんか。

 確かにそういう使い方やったらええかもなあ。

 試しにやってみるのも有りやな。

 了解~、じゃあ今度連絡して取り寄せてとくわー。

 ・・・ん?』


「アルさん、今何か居たんじゃ・・・ん・・・これかな? うおっ」


「こ、これは? で・・・でっかいネズミ? だと思うんだな」


「お? ・・・あーーー、食えん方か、それは捨ててええぞい」


「食えない方・・・ですか? うおっ(ぽいっ)」


『せやなー。

 まー、ネズミも雑食性とはゆーても、肉とか虫好むやつもおれば

 草の根っことか、ドングリみたいな木の実好むやつもおってやなー。

 肉食メインのやつは、大概臭くて硬い。

 逆に草食メインのやつは肉も柔らかいし臭味もあんまり無いんや。

 だから食うんやったら草食メインの方やなー』


(ザクッザクッ)


「なるほど! ちなみに見分け方とかあるんですか? うおっ」


『ほーん? 見分け方ねえ・・・。

 特にコレってないしな、種類を見て覚える?

 ま、強いてゆーなら、色やな。

 基本的に肉食メインは黒っぽいのが多い。

 逆に茶色とか白が混じってるとか、明るい色のは草食が多いな。

 全部が全部って訳や無いけど、住んどる環境とか保護色の関係やな。

 あと単純に、気性やな。

 肉食のやつは、気性荒い上にすぐ腹ペコになる。

 だから、向こうから襲ってくるやつは、ほぼ肉食やな。

 問答無用でぬっ殺せばええ』


「逆に草食のネズミは危険を避けるから、すぐ逃げるしのう。

 警戒心も強いから、むしろ捕まえるのが難しいぐらいじゃ」


「おでの育った村だと、野ネズミは貴重なお肉だったんだども

 住んでる所で、ネズミも色々と違うんだな。

 そ、そういえば、商隊の荷物狙うのもいたんだな。

 1匹見つけたら、皆で他のも探し出して駆除してたんだな」


(ザクッ、スパッ、ザクッ)


『あーー、そうやろなー。

 商人とかお店やっとるとこやと、ネズミは完全に駆除対象やな。

 {1匹おったら30匹はおると思え~}ってよくゆーけど

 実際におるから困ったもんや。

 ・・・おっ、ようやく普通の道に戻ってこれたな』



 蛇の骨って硬い上に数が多いから


 そのまんまだと調理しても食べにくいらしいですねー。


 まあ、ミケは生でもバリボリいっちゃえますが。


 ご主人様は、捌いて開いてから、軽く骨切りしたり


 鍋に【聖鉄紙】で落し蓋した上でよく煮込んでましたねえ。


 あーやると骨も美味しく頂けるとか、さすがご主人様!


 そして、ご主人様には【蛇酒】を飲んで貰って、うへへへ。


 元気になった{ご主人様の蛇さん}をミケが美味しく・・・。



「あっ、また蛇が・・・あれは小さいんだな」


「ええっ!? ご主人様の蛇さんは確かに可愛いらしい方ですけど

 決して小さくなんてありませんよ!!?

 最大時なんてそりゃもう凶悪で!!!!」


「えっ?? うおっ」


「いきなり、なんじゃい?」


『あ”あ”っ?(びきびきびき)』


「きょ・・・凶悪な暴れん棒さんで・・・え、えへへ」


『・・・ミケ、お前警戒もせんと、ずっとちゃう事考えてたやろ

 どーせ、さっき獲った蛇をどーやって食うとかなんとかで

 頭いっぱいになっとったとかか?(がさがさ、しゅぱーん)』


(シャキーーーーン、シャキーーーーン)


「はうっ!? そ・・・それは・・・そのハリセンはご勘弁を!?」



 ヤバイヤバイヤバイ!?


 あのハリセン・・・{壱型}と{弐型}じゃないですか!?


 ご主人様、かなり怒ってらっしゃるーーーー!!!?


 特に{壱型}はヤバイ・・・ミケでもヤバイですよぉおおお!!!



「ご・・・ご主人様、ご・・ごめんなさ 『選べ、どっちか選べ』

 はうううう・・・・、うう・・・{弐型}でお願いしますぅ~」


『まあ、{弐型}で勘弁したるわ。

 ミケぇ!! 帰るまでがクエストじゃあああああ!!!(ひゅぱっ!)』


(スパーーー 「ドナイナットンネーン!」 ーーン!!!!)


「(ビリビリビリ)あばばばっばばばっばっばーーーーーーー!!!?

 おふーーーーーこ”へ”んな”さ”ーーーーい”!!!(ビリビリビリ)」


「はわわわ!? ミケ姉さん、だ、大丈夫ですか!? うおっ」


「う、うわわ、な、何がどうなってるんだか?」


「おーー、こっちのハリセンはさっきのとは効果が違うんじゃな」



 あばばばばっばばっばっば!


 ま、まだ、しびびびびび!


 わ”わ”わわわ・・・は・・・はひひひ~~~~~。


 ・・・だ、大、大妖狸の、あびびび、ミケで、で、ですらーかかかっかー。


 かかか回復にににこれだけ、かかかーかかりますよ~!?


 あ、あいかわ、らずすごいこうかかかか・・・。



『ええかー、ロバやんにサバミソー!

 クエストではなー、どんなもんでも帰りってのが1番危ないねん!

 荷物も増えた! 疲労も溜まっとる! そして達成感でほっとしとる!

 野生の獣にしろ、モンスターにしろ、それこそ山賊なんかもそうや。

 みんな、そういう時を狙って襲い掛かってくるんや!!

 何しろ1番気ィ抜けとる時やからなーー。

 実際に、クエスト失敗とか未帰還とかで1番多いんが

 この{帰り道でのアクシデント}ってやつなんや。

 昂揚するのもしゃあないし、しゃべるのも全然構わん。

 でもなー、しゃべっとる間でも周囲への警戒は忘れたらアカンで~!』


「はっ! はい!! わ、わかりましたっ!! うおっ」


「お、お、おでもわかったんだな!」


「そうじゃぞー。

 気を抜いて歩いておったら、つまづいて転ぶかもしれんしのう。

 帰り道で怪我したらつまらん話じゃからな」


『ちなみにトロットじーさん、さっき使ってたのが{壱型}で

 こっちのは{弐型}やから、効果はちゃうでー。

 こっちのんはシビシビ痺れる効果やな。

 ・・・ほれ、ミケいつまで痺れとんのや。

 そんなとこでシビシビしとったら、ツンツンするで?

 (つんっ・・・つんっ・・・)』


「(ビリビリ)あ、あひぃいいいいいいい!?

 なな、治ってきた所で敏感になってるのにぃいいい!

 ごごご・・ご主人様の天然ドS~~~~!!(ビリビリ)

 あふっ・・・はぅうう(びくんびくん)」


「お前ら相変わらず仲ええのう。

 ほれ、動けるようになったんなら、とっとと帰るぞい」



 う・・うふふ・・・ふーーー。


 そ、そうなのれす、これはご主人様ななななりの


 みみみミケへの愛情表現なのででで~~~~す!!


 (びくんっびくんっびくんっ!!)


 ・・・・・・ふうっ、ようやく治まりましたよ。


 もうっ、ご主人様の愛情表現はたまに激しすぎますよ~~。


 それだけミケへの愛が深いってことですね! ですね!!!


 それにしても、ご主人様の【ツッコミくん弐型】。


 {壱型}も大概ですけど、この{弐型}もやっかいですよね。


 攻撃力は0に等しいですけど


 【耐性無効】に、確率50%の【麻痺付与】【感覚2倍付与】とか


 普通に、単体性能で見ても、なかなかの鬼畜仕様ですわよね・・・。


 はあ・・・さあっ、気を取り直しましょ!!


 早く帰って、あの蛇モンスターを美味しく頂かないと・・・じゅるっ。


 ・・・・・・まさかですけど。


 帰ったら、アレ、待ち構えてないでしょうね?


 お約束とは言え、まさかそんなことは。


 まさかまさか、はは・・・。


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猟団の団長Bさん
こっちはチートや変態成分高めの傭兵稼業です。



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