44 冒険者Aさんと素朴な疑問 ②
あらすじ:不思議生物 KUSHI
視点:【元祖・アパカッ】店長 料理人 ワンさん
『』:アルファさん
いててて・・・・・・リースに蹴られた所がまだ痛ぇ。
可愛い妹とはいえ、何かツーのやつと俺とで扱いが違うような気がすんだよな。
牧場で母ちゃんの手伝いも終わって、食材貰ってきたし。
とりあえず、昼の開店には間に合ったな!
「ごちそうさまでした、うおっ。
ブタの串焼きも焼き鳥丼もおいしかったです! うおっ。」
『おー、うまかったな。
やっぱ串焼きも焼き鳥も、炭火の直焼きが一番美味いよなー。
フライパンで焼くのとはまたちゃう風味がたまらん。
んで、農場産のニンニクがまたええ味出しとるよな。
たっぷりのおろしニンニクと塩コショウ、単純やけどコレがまたええんやわ。』
さすが! アルファさんは分かってる!!
じーちゃんも色々試してみて、結局これが一番だ! って言ってたし!!
まあ、炒め物とかはじーちゃん特製のタレ使うけど
やっぱ、屋台でやるならこっちの方が人気あるんだよな!
「(はぐはぐはぐ)うぉしゅひんはま(もぐもぐ)もうよおひいんでふの?」
『ミケ、食うかしゃべるかどっちかにせーよ。
まあ、俺も食うのが趣味とは言え
お前やエッちゃん達みたいに、そこまで量は食われへんしなー。
ま、俺は食後のお茶でも飲んでまったりしとるから
ミケは満足するまで食うたらええ。』
「(もっしゃもっしゃ)ヴぁい!!(ごっくん)ブタ串10本おかわりです!!」
「ブタ串10本追加ですねっ! ちょっとお待ちをっ!!(ジュワーーーー)」
(ガヤガヤ、ジュウウウウ、ワイワイワイ)
「そういえば、アルファさん、屋台を見てて少し気付いたんですが、うおっ。」
『(ずずずー)うん? どしたんや?』
「さっき、牧場を見学しましたけど
ここではブタとニワトリのお肉だけなんですか? うおっ。
ヒツジとかウシって食べたりはしないんですか? うおっ。」
『あー、なるほどなー。
うん、ええとこに気付いたな。
いや、ウシもヒツジも料理としてはあるんやで、美味いし。
だけど、この国ではあんまり食えへんやろうな。』
「この国では・・・ですか? うおっ。」
「(はぐっはぐっ)ほれはへすね!」
『ミケはええから食っとけ。
まあ、簡単に言うとやな、サバミソ。
この国ではウシもヒツジもお肉にするより、他の価値の方が重要なんや。』
「他の価値ですか、うおっ。」
ブタ串10本追加で焼くぜ焼くぜ焼くぜー!!
あー、ウシ肉にヒツジ肉かー。
そーいえば、昔同じ事を母ちゃんに聞いたことあったなー。
『せや。
この町は海があるからそこまででもないけどな、この国は基本的に農業が主流なんや。
だからウシは労働力に使われとる。
専用の器具をつけて畑を耕したり、重~い荷物運んだりとかやな。
だから王都では、馬車よりも牛車の方がよく見かけるぐらいなんやで。』
「なるほど、それじゃあ確かに食べるわけには行かないですね、うおっ。」
『んで、ヒツジも同様やな。
毛の方が利用価値が高いし、乳もチーズにしたりできる。
大体、お肉として食べるとしたら
大きい怪我で死んだやつとか、年取ってもう働けへんようになったやつとかや。
でもな、正直そんなん食っても美味くはないんやな、これが。』
そうなんだよな。
聞いた話だと、昔は年取ったやつとか動けなくなったやつを食べたらしいんだが
でも、そうなってから食べても筋張ってたり硬かったりするから
特に美味くもねえってことで、結局食べなくなったらしいんだよな。
そりゃそうだ。
他に食える肉があって、そっちのが美味いなら、誰だってそうする、俺だってそうする。
うちの牧場でも,年取った奴は功労者として,そのまま余生過ごしてもらってるしな!
(ジュウウウ)よっし!! 焼けた!!!
「あいよ! お待たせです!! 熱いうちにどうぞ!!」
「そういえば【リューグー】でも、既に死んでる魚とかは食べませんね、うおっ。
病気とか寄生虫とか怖いですし、何よりおいしくないですし、うおっ。」
『ちなみに、南の【ドラント王国】とか【フソウ】の大都市なんかやとな
人口が多すぎて自給自足は難しいって事から
食料自体は他の町からガンガン買って成り立っとる。
そうなると、商売的には{大衆向けの安い大量生産品}じゃない
{付加価値のある希少商品}ってのが必要になってくるんやけどな。
それがまあ、食用のウシやヒツジやったり、ウシの乳やったりする訳や。』
「(はふはふはふ)うひのお乳はふ、ひゃぎよりもくへがなくてはふはう。(もっぎゅもっぎゅ)」
『・・・【フソウ】では【牛乳】って言うんやけどな、ヤギ乳より癖がなくて飲みやすいんやわ。
今ではすっかり定着して需要が増えまくって、それ専用で育てとる牧場も次々に増えとる。』
ウシの乳! そういうのもあるのか!!
【クシ】の乳とは違うんだろうな・・・。
あれ、透明だし、海草っぽい味するし。
「(はぐはぐはぐ、ごくんっ)はっふ~~~。
ちなみに他国だと、ヒツジのお肉は割と食べられてまして
生後1年未満の仔羊のお肉は【ラム肉】
それ以上の成羊のお肉は【マトン肉】とか呼ばれて分類されてますね。
ミケ的には【マトン肉】の方が、脂がのってて風味も強いから好きなのですよ。」
「なるほど・・・お肉と一口に言っても国や環境で色々と違うんですね、うおっ。」
ま・・・まとん・・・らむ・・・。(ごくり)
そういえば、昔一度だけじーちゃんが食べさせてくれたヒツジ肉。
アレってすごく美味かったんだよな。
つまりアレってまだまだ若いヒツジだったんだな。
今だったら数も増えてきたんだし、母ちゃんに頼めば・・・。
だ・・だめだ! お、俺が叩き殺されるかもしれねえっ!!?(がくがくがく)




