43 冒険者Aさんと地方の特産品
あらすじ:ブヒィ
視点:タンゴの町 町長代理見習い フォウ・フォームさん
『』:アルファさん
「こん・・・・・の!! メス豚ヤロウぉお!!!」
ブ・・・・ひぃっ!? な・・・何!? なにぃいいい!?
何で私いきなり罵倒されてるのぉおおおおおおお!?」
「何でもへったくれもないんですよぉおお。
なぁあんで、まだ集計終わってないんですかぁああああああ?
そぉおおおおおんなに難しかったんですかぁああ?」
「え・・・っと、その、朝ご飯食べ過ぎてちょっと眠たくて・・・。」
「はぁあああああああ!?
ご飯食べすぎて眠たいとか、あぁあああなたあ
メス豚ヤロウどころか、牛だったんですかぁああああああ!?」
「う・・・牛っ!? ひ・・・ひどっ!?」
そこまで言う事ないんじゃないですか!?
いくら町長補佐だからって言い過ぎじゃないですか!!!?
いくらゼーロ爺ちゃんの補佐をして16年の大ベテランだったとしても!!
いくらこの町の発展を支えてきた実質的な大黒柱だったとしても!
いくらこの町の経理に外交に区画整備に・・・。
・・・・・・えっと、あ、はい、すいませんでした。
「・・・それ終わるまで昼飯は抜きです。」
「!!?!!??
な、なななななななな!!!!!
何だってええええええええ!?
わ・・・・私に死ねって言うんですかっ!!!!?」
「1食抜いた程度で死ぬわきゃないでしょおおおが。
っていうかぁ、あなた食いすぎなんですよお。
あなた、たった1年ちょいの間にぃ
何、この町の大食いトップ勢に数えられてるんですかぁ。
しかも町中のみぃんなが知ってるんですよぉ?
そぉんな知名度はどぉおかと思いますがねぇえ!?
仕事ぶりとか、町への貢献とか実績で知名度上げて下さいよお。」
えっ・・・・私って町の人達からそんな認識されてたの?
ちょっとだけショックなんですけど・・・。
あ、ショックと言えば今日の朝ご飯は失敗だったのよね。
いつものレストランで、いつもの日替わり定食じゃなくて
パスタ(山盛り)とスープ(大皿)別々に頼んだら
まさか・・・豚と豚が被っちゃうとか!
ありえないわよね。
でも、どっちもおいしかったし・・・。
あ、お昼はやっぱりこってり系で(ぐぅぅう~~~~~~~~~~~)」
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・あはは。」
「まぁ、その書類は昼には必要になるんでぇ。
どっちにしろ、それ終わるまでは解放しませんけどねぇ。
こってり系はそれからにしてくださいよぉお?」
「あ、はい。
がんばります。(ぐぅうううう)」
この書類さえ終わらせればればれば、あああ、お昼は{レバニラ炒め}とかいいわね。
はっ!? ダメよ、今は一心不乱に書類なのよ!
え~~~っと、【クシ】の数は町全体で順調に増えてるのよね。
後は各牧場の育成費用と生産量と、交易での売上げを・・・。
それにしても、あの【クシ】って生き物も中々の謎生物よね。
フォックスさんから聞いた話だと、この町がまだ開拓村だった頃に
フックさんのお父さんのジャブさんが開拓中の森で捕まえたらしいのよね。
あ、そういえばフックさんもジャブさんも、元々はこの国の人じゃなくて
他所から流れてきて開拓村に辿り着いたって聞いたけど
結局どこの国の人だったの知らないのよね。
ジャブさんは2年前に亡くなったらしくて、私も直に会った事ないし。
今度奥さんのトレートさんにそれとなく聞いてみようかしら。
「えっと【クシ】のご飯代は、町の運営費から補助金出してっと。
今育ててる牧場数がこれだけで・・・っと。」
「そうですよぉ。
【クシ】から取れる素材はこの【タンゴの町】の大事な大事な特産品ですからねぇ。
育ててくれてる所には、ちゃあんと補助金出さないとダメですよぉ。」
「私、こっちに来て初めて見た時、すごいドン引きしましたけどね。
モンスター飼ってるの!? とか正直思いましたよ。」
・・・まあ、【クシ】って、私は今でも少し苦手なんですよね。
だって、前半分の{頭と胴体が牛}っぽくて、後ろというか{お尻が蜘蛛}。
そして胴体からは8本の牛の足。
どんな謎生物なんですか、それ。
前半分が牛なんだから【ウモ】じゃない? とかも思いましたけど。
生態的には牛とほぼ同じらしいんですよね。
・・・で、{蜘蛛っぽい牛}だから【クシ】。
ちなみに命名したのは、捕まえたジャブさんだそうです。
「【クシ】は、お尻の蜘蛛部分からは【クシ糸】が取れますし
毎年生え変わる角は、粉にして色々な素材に混ぜれますからねぇ。」
「【クシ糸】って不思議ですよね、半透明で細いのに
コットン糸やシルク糸なんかとは比べ物にならない程の強度。
おまけに水を弾くから傘とか雨具にもってこいだとか。」
「まあ、逆に硬くて弾力性がないから服には向いてませんけどねぇ。
ですが、それよりもここは何と言っても海の近く。
釣り糸から網だけじゃなく、船や桟橋の建材にも大活躍なんですよぉ。
それと、テントやシートなんかにも使われてますし
いくらあっても、まだまだ足りないぐらいなんですよねぇ。」
「前にアルファさんから聞いた話だと
この大陸でも家畜として育てる事に成功してる所ってあまりないらしいです。
そのおかげで【ドラント王国】や【フソウ】からの商人からは大人気ですし。
まあ、王都からも要望が強くて、全然需要に供給が追いついてませんけどね。」
「そりゃあそうでしょう。
今でこそ、ようやく軌道に乗ってきましたけど
ジャブさんだけでなく、私の父さんや町長も育てるのに四苦八苦してましたしねえ。
まさか、真水は飲まなくて海水を飲むとは普通は分かりませんよぉ。
牧草よりも海草を好みますしねぇ。」
そのくせ、森の中とか草が生い茂る環境に住むとか意味不明なんですよ。
それじゃ、確かに育成に成功してる所は少なくて当然よね。
しかも自然に生きてたとして、何の為の糸出してるのか未だに不明だし。
「角を粉にした【クシ粉】も評判良いですよね。
商人さん達の予約がすごい溜まってて
1年どころか4年先とか、もう年単位の待ちになってるんですけど。」
「そりゃあ、そうでしょうねぇ。
【クシ粉】はレンガやガラス、壁の建材に混ぜれば、強度も耐久年数も向上。
こっちにも糸と同じで防水効果があるから、カビなんかにも強いですしぃ。
調度品だけじゃなくて、武具や装飾品なんかにも使えるらしいですよぉ?
でも、1年に1回しか生え変わらないですしねぇ。
当然、糸よりも希少品になっちゃいますよぉ。」
「ですよねー。
王都からも税金の代わりに【クシ粉】や【クシ糸】の物納でも可。
っていうか、むしろそっちを納めろってうるさく言ってくるぐらいですし。」
・・・そういえば、【クシ】って
お乳が{濃厚な海草の出汁味}って聞いたんですけど本当なのかな・・・。
今度、トレートさんに少し分けてもらえないかお願いしてみよう。
・・・ところで【クシ】って{クモっぽいウシ}ってことはウシなんだよね。
た、食べれるのかな?(ぐぅううううううううううう)
そういえば、牛っておいしいって聞くけど
足8本もあるんだから1本ぐらい分けてもらえないかな。」
「それわぁあああああああああ!!!!
絶対に言うんじゃないですよぉおおおおおおおお!!!!!
フリとかじゃなくてぇええええええええ!!!
死にたくないならぁ!
絶対にぃいいいい!!!
言うんじゃないですよぉおおおおお!!!!!」
「(びくっ)ひっ、ひぃ・・・わ、わかってますよぅ。」
「・・・はあーーーーーーっ。
他に食べれるお肉が一杯あるんだからそっちにしておきなさい。
冗談とかじゃなくてねぇ。」
いけないいけない。
また心の声が漏れてたっぽい。
でも一度は食べてみたいのよね、どんな味がするんで・・・(ごくりっ)
はっ!? いけないいけない!
とにかく書類よ書類!!
「うーーーん、これはこうで・・・こっちがあれだから・・・。」
「そういえばぁ、昨日アルファさんからおやつ貰ったとか聞いたんですけどぉ?
何かの干物だとかなんとかぁ。
こういう時にこそ、それかじってればいいんじゃないですかぁ?」
「・・・・・・・。」
「・・・?」
「そんなぁあ!! おいしいものぉおお!!
残ってるわけ!! ないじゃないですかああああああああああ!!!!!!」




