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辺境の冒険者Aさん  作者: ミの人
400/401

400 冒険者Aさんと調査員は調査中 ④

==========================================

あらすじ:フォウさんはこの町へきてから

     食欲に目覚めたようです。


視点:ドライエック商会 調査員 チョークアップさん

『』:アルファさん

==========================================


《創世新暦1665年 前秋 第3週 水曜日》


◆タンゴの町 屋台広場◆



「……ふむ(チラッ)」



(ワイワイワイ)


「こっち焼けたぜ! さあさあ!

 どんどん持っていってくんな!」


「おっ! 美味そうじゃねえか!

 1つ貰ってくぜ」


「あたしもあたしも~~!」


「慌てないでくださ~い!

 材料もまだまだありますので」



「…ふむふむ(キョロキョロ)」



(ザワザワ、ザワザワ)



「へえ~、こんな食べ方あるんだ。

 これ良いなあうちでもやろうかな」


「えっ? 作り方教えてくれるの?」


「それなら、俺も聞いていいかい?」


「どうぞどうぞ。

 こちらなんですが~~」



「(シャクシャク)ふむふむふむ」



 さすがにお祭りほどではないが


 ただの催し物としては、大盛況。


 ……しかも町民だけじゃない。


 町長や関係者も居れば、行商人に船乗り。


 軽く周りを見渡しても


 老若男女お構いなしで、皆楽しんでる。


 中にはちらほら冒険者っぽい姿もあるな。


 凄いな、王都ではまず見た事のない光景だ。


 そして、何より驚かされたのが


 今回ここでの食事は全て無料らしい。


 材料費や人件費は町で出してるんだろうが


 それだけも大したものと思わざるを得ない。


 ……それにしても美味いなこのキュウリ。


 季節はもう秋だが、まだまだ外は暑い。


 そんな時によく冷えた塩気のきいたキュウリ


 それを丸かじりする…実にたまらんね。


 はは、あそこはお爺さんとお孫さん達かな?


 あちらも実に楽しそうにしてる……。


 ………うん?



「おじいさま! おじいさま!

 このカボチャのお漬けもん

 めっちゃ美味いって!?」


「(ポリポリ)……。

 ふうむ、確かにこれは良い塩梅だな」


「うっわ! めっさ美味いやんか!?

 ワイ、カボチャの漬けもんって

 初めて食ったわ!!」


「何ゆうてんの? ジン。

 カボチャのお漬けもん自体は

 【フソウあっち】でも普通に売っとるで?

 ここまで美味いんは中々あらへんけど」


(ワイワイワイワイ)



「……は?」



 え? 嘘だろう!?


 あそこの人って、か…会長じゃないか!?


 {美味い物有る所に【ショクドーラクの会】有り}


 と言う名言で有名な{ご隠居様}……!!。


 何でこの町……あ、いや、まてよ?


 以前にトリアングルさんが言ってたな。


 …確か、半年ほどぐらい前から


 この町を拠点に活動してるとか何とか。


 だから…まあ、おかしくはないのか。


 じゃあ、あっちのお嬢さんがお孫さんで


 横の男が護衛であってるはずだな。


 …ふむ、あの人達がいるって事は


 美味い物が…って、うん?


 誰か会長に近づいて行ったぞ?



「お久しぶりです、ご隠居様。

 ユミネちゃんもジン君も久しぶり」


「あ! タケさんや!

 お久しゅう~してます~」


「タケジローはん、お久ですわ」


「うむ、タケジロウ君か半年ぶりだな。

 元気そうでなによりだ。

 君もこっちへ来たのかね?」


「ええ、つい最近来た所ですよ。

 義兄にいさんに頼まれた届け物と

 ついでにウラさん連れて来てます。

 前々からせがまれてましたので…」


「えっ! ウラちゃん来とるん!?」


「今はえーっと、あっちで手伝いを…。

 ああ、あそこですね」


「(ガタッ)おじいさま!

 ウチちょっと行って来ます!

 うわ~! めっちゃ久しぶりやわ~」


(タッタッタッ)



「…………え!?」



 は? いや、ちょっと!!!?


 あの人、タケジロウって呼ばれたよな!?


 それって……あの・・!?


 【ドライエックうちの商会】の最大仕入れ先の?


 と言うか、生命線って言っても過言じゃない


 【五十六商会】の副会長の!!???


 いやいや!? 王都ならともかく


 何でそんな大物が【タンゴの町】に!!?


 ……そ、そういえば、届け物がどうとか?


 あ、ああ、そうか、そうだよな。


 単に商売上の用事とかそういうので……。



『わははは、ご隠居様やんか。

 さっき帰ってきたん? お帰り~。

 ジン君もお帰りさんやな~』


「ただいまですわ~、アルファのにーさん」


「おお、アルファ君か。

 うむ、ついさっき到着して

 荷物を置いてからと思ったのだが

 ユミネのやつが急かすものでな」


「ほんま、それ! 帰ってくる途中から

 美味いもんの気配がどうとか言って

 めっちゃ急かされましてん。

 まったく、お嬢の食い意地にも

 困ったもんですわ~~~!」


「え…そうなんだ。

 ユミネちゃんってそこまででしたっけ?

 以前はそんなでもなかったような…?」


「どうなんやろ?

 ワイはあんまり向こうでの事知らんけど

 多分、こっち来てからですよね?

 ご隠居様」


「う、うむ。

 そうかもしれんな」


『わっはっは! まあええやんか。

 それより、他も色々あるから

 楽しんでってな~』


(ワハハハ、ワイワイ)



「……………え”え”え”え”!?」



 い、いやいやいやいやいやいや!!


 えっ? えっ? 何かの見間違い!?


 嘘だろ? 嘘だと言ってくれよ!?


 あああ”あ”あ”あ”…あの人って


 現会長に商会引き継いだ後は


 ご隠居とか元会長とか名誉会長とか


 色々な役職で呼ばれてるけど


 実際の【五十六商会】で一番影響……。


 トリアングルさんが直接取引した…。


 …………は? ん?


 ……確か、あの人の名前も。


 …………いやいやいやいやいや。


 同名だろ? 同名に決まってる。


 {アルファ}なんて名前。


 この国にはたくさん居るんだから、な。


 そ、そう、だからこれは偶然だ、偶然。


 で、でも? もし…?


 …………。



(ダッダダダダダダダダダッ)



「おや? あんなに急いで

 あの人どうしたんでござろう?」


「さあ…何か顔真っ青だったけど

 何かあったんでござるかな?」


「ま、いいでござる!

 さあ、そんな事よりも拙者達も

 美味しいもの食べるでござるよ!!」

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↓ こっちも開始しました・・・開始しちゃいました。
猟団の団長Bさん
こっちはチートや変態成分高めの傭兵稼業です。



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