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辺境の冒険者Aさん  作者: ミの人
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04 冒険者Aさんと討伐開始

あらすじ:アルファさんはちょろかった


視点:Dランク冒険者 シーフLv3 ヤンキさん

『』:アルファさん


 そんな訳で俺達3人は緊急クエストを受けたというか


 受けたベテラン冒険者のお供として臨時パーティに参加してる。



「なあリーダー、結局あのおっさんがクエスト受けた理由は

 あの受付のおばさん目的って事になるのか?」


「おば・・おいおい、ヤンキ、失礼な事言うなよ!」


「いや、だって実際そうなんだろ?

 おっさんは自他共に認めちゃってるおっさんだし

 デルタちゃんが{アラサーの地味子先輩}なんて呼んでるけど

 それ抜きにしても年齢的にも・・・だろ?」


「いやいや、ヤンキ。

 ・・・アルファさんは、自称してる時もあるし

 まあ、仕方ないかもしれないけど。

 リマさんって、まだ20代後半だろ?

 僕らとそこまで変わるって程じゃないし

 どっちにしても

 女性にとっては呼ばれて気持ちの良い呼び方じゃないさー」



 何か変な所で反応が来たな。


 ケベックは一般論で返してきたが


 もしかしてリーダーってあのおばさんみたいなのが好みなのか?


 まあ・・・、今それを口に出しても話がこじれるだけだし


 ここは俺が折れとくか。


 くーーー! 俺って大人だな!!



「ふーん・・そんなもんか?

 まあ、一応気をつけとくよ。

 で、話が逸れたけど、どうなんだ?」

 

「あの場で即決した判断って言うならそうだけど。

 実際の所、リマさんが指名しないで

 クエスト依頼書を掲示板に貼り付けていたとしても

 自主的に受けてたんじゃないかと思うよ」



 なんだそりゃ?


 じゃあ、何で指名にしたんだよ。


 意味わかんねえ。



「ははは、ヤンキ、意味分からないって顔だね!

 ま、マイクが言ってるのは別に深い意味じゃ無いと思うよ。

 単にこのクエスト自体、アルファさんの傾向っていうか好みなんだよ。

 {食材系の採取}とか{食材としておいしいモンスターの討伐}とか

 アルファさんって、基本的にそういうクエストをメインにしてて

 見かけたら積極的に受けてるらしいんだよ」


「つまりは、食材メイン?」


「そうそう。

 ケベックが今言ったみたいに

 アルファさんって、食材にならないようなモンスターの討伐とかは

 高額報酬とかでも滅多に受けないらしいよ。

 今回は、猪系のモンスター【ワイルドボア】を討伐して、その素材の納品。

 新しい依頼書見せてもらったら、素材は毛皮とか牙も書いてあったけど

 やっぱりメインはお肉なんだよね、お肉」


「・・・肉?」


「そう! 肉だね! 【ワイルドボア】の肉。

 色んな部位が指定はされてたけど

 取れる総量考えたら、納品分納めてもまだまだ余ると思うんだよ。

 僕も聞いた事あるんだけど、あの肉って凄い美味いらしいんだ。

 でも、入荷量が少ないから高給料理店でしか食べれない上

 稀に市場に出回っても僕らじゃとても買えないような値段なんだってさ。

 だから、アルファさんなら絶対受けるだろうな・・と」



 あー・・・なるほど。


 本来なら、基本的にモンスターには狩猟制限がかかってて許可が必要だ。

 

 襲われたとか以外に無許可で狩れば密猟扱いになってしまう。


 クエストであれば狩る事も問題無いし、納品分以外の素材は好きに出来る。


 何だったら、どさくさにまぎれて多少余分に取ってくるのも有りだし


 そこら辺はギルドも割と黙認してくれるしな。


 食材が目的というなら、それは確かにおっさんの好みだわな。



「なるほどな、それは理解した。

 でもそうなると、余計に指名にした意味がわからねえな。

 自分で言いたくはないが、Dランクしか居ない俺達とか

 今回のクエストだと完全にお荷物なんじゃねえか?」


「うん、そうだろうね。

 ま、今回のギルド側のミスに対するお詫びって事と

 優遇するから、他言しないようにって意味で

 口止めも兼ねてるんじゃないか?」


「あー、やっぱリーダーもそう思うよな?

 そりゃそうだ、きっとそういう事だよな」


「うーん・・・。

 僕は話で聞いただけだから推測でしかないけど。

 多分、僕らに経験を積ませてくれるっていう

 リマさんの配慮もあるんじゃないかな?」


「は? 配慮?」


「僕達って、これまで地道にやってきてるし。

 それなりに期待も信頼もされてるって事なんだと思うよ。

 ・・・で、なければ、わざわざ説明なんかしないで

 簡単に賠償済ませて{ハイ、サヨナラー!}でしょ?」


「お? 普通はそう・・・かな?

 いや、普通は俺らみたいなDランク相手じゃ

 まず賠償すらしてくれないと思うぜ?」


「だろ?

 詳しい説明した上で、別の冒険者に交渉してくれるとか

 その職員さんが責任持つって事になるからね。

 いくらベテランさんって言っても、そのリスクは変わらないよ。

 僕らに全く期待してなかったら、そこまでやってはくれないさ。」



 なるほどな、そういう考え方もあるな。

 

 ・・・確かに、わざわざ推薦するって事は


 ギルドとしてだけじゃなく、推薦者本人が責任を持つって事だ。


 普通はそんな面倒な事しないわな。


 ん? そう考えると、ひょっとして・・・。


 俺が加わった後の、パーティの再評価も兼ねてんじゃねえか!


 ただの地味なおばさん職員としか思ってなかったけど


 かなりのやり手なのかもしれねえな。



「まあいいか。

 あ、そういやリーダー。

 昨日、俺には参考になる事が多いかもって言ってたけど。

 例えばどんな事だ? スキルとかか?」


「えーと、それはね」


(ガサッガサガサ・・・ザッザッザッ)



 あ、おっさんと従者の獣耳の人? 幼女? が戻ってきたな。


 あの獣耳の人って何かの獣人なのか・・・?



『うおーい、キミらいつまで休憩しとんのや。

 ダベる余裕あるんならボチボチいくでー』


「あ! はい! すいません。

 今行きます! ほら! 行くぞヤンキ、ケベック」



▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽




「でかーーーーーーー!!!!!?」



 でかい、でかすぎる! 何だアレ!?


 【ワイルドボア】って言ったってワイルドすぎるだろ!


 高さが5m越えてる【ボア】とか初めて見たわ!


 今まで俺が見たモンスターの中でも、一番でかいぞアレ!!


 あんなのどうやって倒すんだよ。


 アレ討伐してこいって

 

 Fランクの初心者パーティにクエスト受けさせたのか!?


 あの新人の受付2人の内、どっちが言ったのかは知らねえけど


 頭ヤバイんじゃねーか!!!?



『ちょっ・・・キミ声大きいで、何叫んどんのや(ボソボソ)』


「ゴッゴッゴメンッ(ボソボソ)」



 ミスった!! 思ってたよりでかすぎて思わず叫んじまった。


 そ・・・それにしても大きさもそうだけど、威圧感半端ねえな。



「何してるんですか、全く。

 ご主人様・・・気付かれましたかね?(ボソボソ)」


『・・・アカン・・・アレは多分・・というか

 ほぼ間違いなく気付いとるなー。

 せっかく遠回りして風下に来たんやけど

 まあ、しゃーないか(ボソボソ)』


「えっと、アルファさん仲間がすいません(ボソボソ)」


『あー、ええよええよ。

 どっちにしてもやる事はたいして変わらんし

 というか、もう完全にバレとるし、普通にしゃべってもええで』



 ま・・・まずった!


 とにかく、ここは取り戻す為にも積極的に攻めるべきだよな!?



「こっ・・攻撃魔法使えるケベックが先制して

 リーダーと、お・・俺が突っ込んだらいいか!?」


『まー、ちょっと落ち着きーや。

 向こうもこっちに気ぃ付いとるけど、まだ警戒って程度やしな。

 そんな慌てんでえーよ』



 え!? そ、そうなのか?


 よ・・・よし! おち・・おちちつついたぞ!!



「ヤンキ君でしたっけ? あなた【シーフ】でしたよね?

 何で【ファイター】のマイク君と一緒に

 正面から突っ込もうとしてるんです?」


「えっ!? 突っ込んだらまずいのか?

 でも、【シーフ】は【ダブルアタック】あるし

 メイン火力でいけるだろ?」



 【シーフ】のクラスLv1から取得できる【ダブルアタック】は


 短剣や小剣などの武器で使用可能な攻撃スキルで


 攻撃した箇所に追加で斬撃が加わるって代物だ。


 セオリーだと、【シーフ】にとって{必須スキル}で


 初っ端からギルドポイントを使ってこのスキルを修得すれば


 【ファイター】と同じぐらい火力出るし


 後は特に必須のスキルは無いから、ランク上げ用に溜めとけって


 知り合いの先輩冒険者が言ってたから、その通りにしたんだが。


 ・・・俺、何か間違ってたのか?



「はあ? 【ダブルアタック】?

 あー・・連続で2回攻撃判定が出るやつでしたっけ?

 【ショートソード】程度のしょぼい威力を

 2回当てた所で、どーしよーってんですか。

 いえ、そんな事ではなくて。

 攻撃スキルとかどうでもいいんですよ」



 ・・・はっ? どういう事?


 俺が最近所属したばかりのこのパーティーは


 【ファイター】【ソーサラー】に、俺の【シーフ】。


 【ファイター】のリーダー以外は防御系のスキルを持ってないし。


 火力のある{攻撃スキルでゴリ押し}が効率良いんじゃないのか?


 確かに、リーダーやケベックにも


 動きを変えるべきだとは何度か言われてたけど・・・。



「いや、【シーフ】ならまず【ハイド】修得するべきでしょ?

 あと【スニーキング】でしょうね。

 攻撃系スキルなんて、二の次どころか三の次ですよ!」



 【ハイド】って確か{隠れ身}ってやつだろ?


 えーっと確か、自分の気配を薄めて察知させにくくするやつだっけ?


 んで・・・【スニーキング】は足音消すスキル・・・だよな。


 何でそんな地味で役に立たなさそうなスキルを


 先に取らなくちゃいけないんだよ。


 やっぱり、まず攻撃スキルだろ! 派手でカッコイイし。


 先輩も{攻撃は最大の防御}とか言ってたしな。


 取るとしても、高難易度のクエストに挑む頃になってからで


 まだ、必要なスキルじゃないよな?


 カッコイイは正義!!



「え? でも、同期だけでなく先輩の冒険者達に聞いても

 皆、最初は{攻撃スキル一択}って言ってたぞ・・・?」


『あー・・・典型的なアレやな。』


「そうですね。

 典型的なアレのパターン入ってますね。」



 ・・・えっ!? て、典型的なアレ?


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猟団の団長Bさん
こっちはチートや変態成分高めの傭兵稼業です。



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