399 冒険者Aさんと野菜を美味しく食べよう ⑤
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あらすじ:ツーさんは料理修行に行くことも
視野に入れだしたようです。
視点:町長代理見習い フォウ・フォームさん
『』:アルファさん
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《創世新暦1665年 前秋 第3週 水曜日》
◆タンゴの町 屋台広場◆
(ガツガツガツガツ)
(バクバク、サクサク、モグモグモグモグ)
(ゴクゴクゴク、ガツガツガツ)
「はあぁ…本当ぉに、すごい食欲ですねえ。
朝から食べっっぱなしじゃないですかあ」
「(モグモグ)んぐっ、ひひひゃない!
ひゃんほおひごともひてるでひょ!?」
『わはは! まあええやんか、フォックス君。
フォウちゃんもよー頑張ってくれとるし
こんだけ美味そうに食ってもらえたら
作っとる側も気持ちええしな~』
「ふぁっふぁっふぁっ! そうじゃな。
1年前にここへ来た時に比べたら
少し食いすぎるぐらい良いことじゃって」
「まあぁ…そうなんですけどねえ」
「(ゴクン)………」
そういえば、そうでしたっけ。
…確かに1年前、私がここへ移住した時
内心ではかなり嫌だったんですよね。
だって仕方ないじゃないです?
生まれも育ちも王都の城下町ですし。
いくらこの国が地方の小国だって言っても
その中でも元々が開拓した村だった所ですよ?
爺ちゃん達が60年頑張って港町になった。
そう聞いてても、ど田舎なんだろうな~って
印象持ってたって、当然じゃないですか。
実際、私以外の王都の人達からの認識も
大体そんな感じでしたし…。
(ワイワイワイ)
「おっ、これは…食べたことないが…。
うん! 美味いな!」
「これ、サクサクしてて食べやすいね!」
「へえ…!? この食べ方良いわね!
家でもやってみようかしら」
「(サクサクサク)………」
これは、茹でた鶏の身をほぐして
生野菜と一緒にドレッシングと混ぜたサラダ。
………うん! 美味しい。
確かすり潰したゴマが混ぜてあるんですよね?
濃い味付けのドレッシングが生野菜とよく合う。
…しっかり混ぜてあるから全体に味がのってる。
鶏肉も茹でてるからサッパリはしてるんだけど
香辛料でしっかり味付けされてて美味しい。
野菜はサックサク、鶏はギュっとした歯触りで
食べてる時の感触が気持ちいい。
王都だったら、これと同じ具材を使ってても
皿に焼いた鶏と野菜を添えて終わり…ですよね。
この国だと野菜も火を通すのが基本だから
どうしても、ベシャッとしてるのがほとんど。
……食感って本当、味以上に大事ですよね~。
『おっ! フォウちゃん、これもどうや?
今が旬の焼きナスや!!』
「(モグモグ)んん! あひはとうごまいます!」
うんうんうん! これはナスを皮ごと焼いた?
おおっ……これも良いですね!!
皮は食べれませんけど、中身がトロっとしてて
香ばしくって、醤油の味付けもまた合う!!
それにしても、あえて皮を直火で焦がして
中身だけ食べるって発想がまた凄い。
……はあ~、私も元々は野菜苦手でしたけど
こっちへ来てからは何だかんだと
アルファさんと話す機会が多かったおかげで
色々と差し入れてもらったりして……。
いつの間にか、苦手だった魚も野菜も
美味しく食べれるようになったし
お肉はもっと好きになりました。
……それに、町の人達との関係。
実は、一番の心配事だったんですよね。
いくら身内の…爺ちゃんが居るって言っても
外から来た人がいきなり受け入れられると
思ってませんでしたし……。
まあ、田舎の国ですからね。
「(バクバク)んんんん!!!」
「(ニコニコ)ははっ、フォウちゃんは
今日もよく食べるねえ!」
「(ニコニコ)あら、フォウちゃん。
これも美味しいわよ! ほら、食べて食べて」
「(ニコニコ)う~ん、気持ちいい食いっぷり。
俺も腹減ってきたな!」
理由は自分でもよくわかってませんけど
最近は結構馴染めてるような気がします。
餌付け……いや、理由はわかってませんけど!
……はあ──…それにしても。
………。
あっちに居た頃とは比べ物にならない程
たくさん食べるようになりましたよね。
モグモグ…あっ、これも美味しい!
でも仕方ないですよね!?
町長代理として…ムグムグ、うんうん。
ゴックン…と! 頭と精神を酷使してますし。
だからこれは仕方ない…あっ! アレ何!?
ああっ!? アレは食べておきたい!!
そう! これは、町の為でもあって…!
「そう思うんならぁ、いい加減に
食べるのを止めろぉぉぉお!!!
このメス豚ヤロウ!!!」
「(ビクッ)んぐぐぐっ!?」




