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辺境の冒険者Aさん  作者: ミの人
391/401

391 冒険者Aさんとアリ討伐隊 ②

==========================================

あらすじ:今回のアリ討伐隊には装備やアイテムを

     無料で貸し出してるようです。


視点:アリ討伐隊の副隊長の1人 アルフェルさん

『』:アルファさん

==========================================


《創世新暦1665年 前秋 第3週 月曜日》


◆拠点候補地近くの街道◆



「アルフェルちゃん、お疲れ~。

 ほい、これ(ヒョイ)」


「ああ、レイさん。

 おや? 温かい飲み物ですか?

 ありがとうございます」


「さ、皆も飲んでくれ。

 ちゃんと人数分あるから」


「あざ~っス! レイさん」


「ありがとうございます。

 ちょっと肌寒かったんで

 丁度温かいの欲しかったんですよ」


「いただきま~す! 熱つつっ!」



▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽




(ズズズズ、ホワワ~~)


「なるほど、想定だと

 多くても2~300匹ぐらい…と」



 私達の分隊Bは監視と周囲警戒の為に


 本隊から少し離れた所で野営している。


 ま、野営と言っても寝袋と毛布だけの


 簡易野営で、焚き火も目立つので使えない。


 食事は本隊の野営地で先に済ませてるし


 飲み水とかも皮袋に用意はしてるけど


 やはり夜は少し冷える様になってきたから


 こうやって温かい飲み物の差し入れは


 非常にありがたいものだわね。


 ……あっ、美味っ!



「うへ…そんなに居るんスか?

 今日だけでも結構倒しましたよねー」


「はは、まあね。

 ちなみに、今日の討伐数は全体で59匹。

 ま、規模としては小さめな方さ」


「えっ? それで小さい方なんです?」


「そうね、小さい方だと思うわよ。

 実際、王都の方で有った例だと

 その倍以上の規模の巣ができたらしくて

 大規模な討伐戦とかあったのよ」


「ご、ごひゃく…」


「あ──…それなら俺も聞いた事あるよ。

 確か20年近く前だったかな。

 何でも、王都の兵士総出だったらしくて

 相当な被害が出たって聞いたなぁ」


「ひえぇ……」



 うん、被害は実はもっと酷かったのよね。


 王都自体に襲撃を受けた訳じゃないから


 城も街にも直接の被害はなかったけど


 兵士の人達が大勢亡くなっちゃったせいで


 街の治安も経済もボロボロ。


 当然、亡くなった兵士の人の数だけ


 奥さんや子供達が路頭に迷う事になって


 娼館や孤児院が溢れかえったらしい。


 私は王都出身だけど、その例に漏れず


 16才になるまで孤児院暮らし。


 ま、それでも私はまだ幸運だった方。


 入ってた孤児院はどこかの商会が


 結構な額の援助をしてくれてたらしく


 建物は新しく建てられた物だったし


 食事だってそこそこは食べれたから


 常に飢えを感じるって程じゃない。


 でも、その後に生まれた子達は悲惨。


 孤児院は既にどこも満員。


 それでも孤児院の前に捨てられる。


 両親も不明な私生子を、無理してでも


 受け入れて育ててくれる孤児院は少ない。


 聞いた話だと、そういう孤児院は


 昔から国の税金で運営しているから


 私の居た孤児院の様に、商会とかから


 直接援助金とかが受けられないらしい。


 だから、食事とかも当然ギリギリ。


 そして年齢制限があるから


 14才には絶対に出院させられる。


 ………。


 ……ふう、王都での話をしてたら


 何か嫌な事思い出しちゃったな。



「…ま、それはそうとして。

 そこまでの規模じゃないみたいだし

 あなた達も必要以上に心配しなくていいわよ。

 あ、もちろんだけど、油断はしない事。

 わかってるわよね?」


「は、はい! アルフェルさん」

「はいっ!」

「も、もちろんですぅ」

「あい、アルフェルさん」


「はははっ、さっすがアルフェルちゃん。

 こっちの分隊を安心して任せられるよ。

 いや、本当、今回は助かったよ~。

 中々条件に合う人が居なくてね」


「まあ、私も渡りに船でしたからね。

 お互い丁度良かったという事ですよ」



 今回の【巨大アリジャイアント・アント】討伐は参加条件がある。


 ま、それはそうよね。


 新拠点候補の安全確保が目的なんだから


 調査も討伐も手抜き仕事なんてされたら


 困る…程度じゃないものね。


 …で、その条件が【タンゴの町】出身か


 この町への住民希望者というもので


 私は後者。


 実は前々からエクスさんとレイさんから


 この町の話は色々聞いてた事もあって


 最近は休暇の度にこっちへ来ている。


 王都みたいにごちゃごちゃしてないし


 全体的にむき出しの地面と雑草ボーボーで


 そこら中には木が無造作に生えてる。


 重装鎧の兵士がウロウロ警戒して無いし


 連日の様に、私兵や騎士への勧誘も無い。


 うんうん、すごく落ち着く。


 そういうので良いのよ、そういうので。


 …それに、何よりも。


 本────っ当に、食事が美味しい!!


 確かに王都あっちでも、美味しい料理は有る。


 有るけど、そうじゃない。


 何処何処の何たらっていう食材を使って


 何とかって手法で一流のシェフが作ったとか。


 食べる順番がどうとか、作法がどうだとか。


 そ ん な も の どうでも良いのよ!!!


 私は気軽に食事を楽しみたいの!!


 片っ端からモリモリ食べたいのよ!!!


 孤児院育ちの現役冒険者に何求めてんのよ!?


 こっちのは、素材自体が美味しい!


 丸ごと焼いたお魚料理? 良いじゃない?


 お肉の豪快な串焼き? 良いじゃない!?


 自由な屋台広場? 凄く良いじゃない!!!


 うん、こりゃ永住するしかないわよね。


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↓ こっちも開始しました・・・開始しちゃいました。
猟団の団長Bさん
こっちはチートや変態成分高めの傭兵稼業です。



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