385 冒険者Aさんと町民からの相談事 ③
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あらすじ:町からは冒険者としてではなく
個人と商会への依頼のようです。
視点:農園に用事で来てた猟師 トロットさん
『』:アルファさん
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《創世新暦1665年 前秋 第3週 月曜日》
◆コンビ農園◆
「ほう、それじゃ今回は野菜なんじゃな。
そりゃ良いわい。
確かに最近の若いもんは
野菜を食いたがらんからのう」
「ははは、確かにそうだね~。
うちの所も、市場での売れ行きが
イマイチらしくて~。
最近リースがぼやいてるんだよね~」
「(ポリポリ)ああ、確かにのう。
ここ数年で市場の売り物なんかは
かなり種類が増えたからなあ。
肉も魚もそうじゃが、果物に乾物に
以前とは比べ物にならんほどじゃわい」
「ま、まあ、それに関しては
うちの商会も結構関わってますので
申し訳ないとしか、はは…」
「いやいや、それはそれで
むしろ喜ばしい事じゃからな?
元の開拓村の時なんか酷かったもんじゃし。
ふうむ、それにしても、野菜嫌いのう…」
ワシの時はもろに開拓時期じゃったから
野菜どころか、飯食えない事はしょっちゅうで
そこら辺の草とか木の皮とか根っことか
手当たり次第に鍋に放り込んで
煮込んで食ったもんじゃわい。
ま、今考えたら、この辺の森には
毒草とかもいっぱい生えとったのに
よく死なんかったもんじゃのう。
…それにしても、野菜嫌いか。
それが町民の問題になるぐらいには
この村…町も豊かになったって事じゃな。
わっはっはっはっは!
「笑いごと…なんですかねえ?
それにしても、野菜嫌いですかー。
ミケには理解できませんけど」
「…いや、それはミケさん」
「あ~~、それって多分~~」
「む? まあそうじゃろな」
「(ビクッ)ふわっ!?
何ですー? お三方揃って」
「そりゃお前ぇ、狸の嬢ちゃんよぅ。
飯作ってんのはアルファなんだろ?
じゃあ、野菜嫌いになる訳ねえじゃろが」
「………あっ」
「そうですよ、ミケさん。
それこそ、僕ら【緑寿園】で育った者も
義兄さん直伝の料理でしたから
野菜嫌いな奴なんて、ほぼいませんし」
『わはは、せやで~、ミケ。
ず~っと俺と同じもん食っとるんやから
野菜嫌いになんて、させる訳あらへんやろ!
わははははは!(ペシペシペシ)』
「んもー! ご主人様!
ペシペシ叩かないでくださいよ!
叩くならナデナデしてください!!」
『おお? おー…? こうか?
よーしよしよしよし(ナデナデナデ)』
「(ニヘラ~)おっひょっひょ!!
むっふ─────!!!!!」
「…相変わらずじゃのう」
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▽
「それじゃあ、アルファ義兄さん。
僕はちょっと港に寄ってくるよ。
丁度あっちに商会員の人が来てるしね」
『わはは、よろしくな~、タケちゃん。
明後日の昼前に屋台広場でやるから
ちょい早めに来といてな~』
「わかったよ、義兄さん」
(ザッザッザッ)
「さて、それじゃワシも帰るか。
少し長居しすぎたのう」
『お? もう帰るん? トロットじーさん』
「ああ、そもそもワシの用事は
家畜用の薬草持ってきただけじゃしな」
「(ビクッ)………っ!?」
「? うん? 何じゃい。
どうしたんじゃ、狸の嬢ちゃん」
「(ヒクヒク)い、いえ…。
何でもございませんわよ!
お、おほほほほほ!!」
「?」
『(ゲラゲラ)わはははは!
いや、ミケは【妖怪】なんやけど
狸に違いはあらへんからな!
そりゃ定期的に食わせとったんよ。
俺の特製品をな~~~~!』
「(ヒキキッ)む、昔の話ですわ!」
『せやな! 今は料理しか食わんから
もういらんもんな、ミケ。
わはははは!!(ポンポン)』
「(フンスフンス)ぐぬぬぬぬ!!
酷いですわ! ご主人様!」
うん? つまりどういう事じゃ?
家畜…薬草……狸?
料理しか食ってない?
「……ああ、虫下しか」




