384 冒険者Aさんと町民からの相談事 ②
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あらすじ:町長代理さんは空腹。
我慢できなくなり
本能に従って脱走。
視点:町長補佐 フォックスさん
『』:アルファさん
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《創世新暦1665年 前秋 第3週 月曜日》
◆町長会館 応接室◆
「「「「………」」」」
『わははは、お腹空いたんやろ。
しゃーないしゃーない~』
ああぁんの、メス豚ヤロウぉぉおお!
人に依頼する立場の癖に
いきなり私用で居なくなるとか
ありえんでしょおおおお!!!?
しかも相手にフォローされてるとか
何やってるんですかああああ!!!
…これは、戻ってきてから
さすがに、お話必要ですねえぇ。
「…えっと、フォックスさん?
とりあえず、さっきのお話なんですが。
アルファ義兄さんへの依頼は
まあ、わかりますけど。
なぜ僕まで、この場に?」
「あっとぉ!? これは申し訳ないです。
本当、説明が遅くなってしまって
申し訳ありませんよぉ。
それはですねえ……」
『わはは! つまりアレやろ?
今回は、ギルド通す依頼や無くて
【五十六商会】絡みって訳で
俺個人と商会に依頼なんちゃうか?
どや? フォックスくん』
「(ポリポリ)はは…その通り。
ご明察ですよぉ、アルファさん」
「あ───…なるほどなるほど。
それなら確かに、僕もこの場に
居た方が良いですね」
「まー、そうかもしれませんわねー。
今の商会でのご主人様の肩書って
{元商会長のご隠居様}ですし。
……でも、何でまた?」
「あ、それはですねぇ。
ちゃあんと理由があるんですよぉ…」
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「ふむ…つまりは、この先も継続的に
お料理実習を開いて欲しい訳ですね。
その為の人員とレシピと食材。
他にも専用の調理器具も…。
そりゃ確かに、商会じゃなきゃ
揃えるのは難しいでしょうね」
『わはは、せやな~。
しかもアレやろ? フォックスくん。
どっちかってゆーと、この町ってか
国のもん以外の食材とか
それ使った料理とか、そんなんを
広めたいって事ちゃう?』
「ええ、そうなんですよぉ。
地元の食材に既知の料理法なら
別にお願いするまでもなく
王都から料理人でも呼びますけどぉ…」
「あー…、前回、前々回に
ご主人様がサクッと開催したのは
うどんとおにぎりでしたけど
【フソウ】の人ならともかく
現地の皆さんには驚きだったんですね…」
「ですねぇ…ミケニャンさんの仰る通りで
つまりは、そういう事なんですよぉ~。
ですので、アルファさんと商会の方々に
お力を貸してもらえないかなぁ…っとぉ」
元々この国は農業が盛んでしたから
割と食材は豊富な方だったんですけど
悲しいかな、田舎ですからね~。
料理とか調理器具って、王都ですら
そんなに種類無いんですよねぇ…。
私もあんまり詳しくは知りませんけど
【五十六商会】さんは、食に関して
すごい協力的ですしねぇ。
まあ、聞いた話ですと
元商会長のアルファさんの影響が
かなり大きいらしいんですけど
ま、とにかく、定期的にやる為に
協力してもらおうと思ったら
現副会長のタケジロウさんにも
お願いするしかないですしねぇ。
「…それにしても
港町はどこも割とそうですけど
この町は特にそういう傾向有りますよね。
外からの物や文化にあまり抵抗が無い」
「ですわよねー…。
ミケもそうでしたけど
サバミソとか、あっさり受け入れられて
むしろこちらがビックリですわよ」
「ま、まあ…元が開拓村ですからねえ。
割と異種族の方とも交流がありますしぃ。
使える物は何でも使っちゃう性質ですし」
…さすがに私も、あの子の場合は
初対面でビックリしましたけどねえ。
でも、ま…ちゃんと話してみれば
礼儀正しいし、知性が感じられますし。
どこぞの本能に従う腹ペコ娘とは
比べ物にならない良い子ですよぉ。
『んで? フォックスくん。
3回目やるんは、まあええとして。
結局、内容的には何したらええんや?
何か希望とかあるんやろ?』
「ああ、ありますありますよぉ。
…それがですねえ、アルファさん。
主婦の皆さんからの希望はぁ。
お野菜なんですよおぉ」
「んんん? お野菜…?」
「ええ? お野菜…?」
『わはは! 何やわかったよーな
よーわからんよーな感じやけど
わかったわ! ええで~』
「えっ!? 義兄さん?
いいの!? 今の説明で?」
「ええっ!? いや、その…。
私、まだ条件も報酬もぉ
何も伝えてないんですけどぉ!?」
「ま、まー…良いんじゃないですか?
ほら、ご主人様ですし」
「「………あ、はい」」




