381 冒険者Aさんと若手PTは小休暇 ①
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あらすじ:ギルマスとサブマスの会議では
討伐対象の規模は想定内で収まりそうです。
視点:Dランク冒険者 ファイターLv4 モッブコットンさん
『』:アルファさん
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《創世新暦1665年 前秋 第3週 月曜日》
◆宿屋 樫の木亭 室内◆
「(グッタリ)はあ~~~」
「いやいや、大変だったのはわかるけどさ。
いつまで疲れてるのよ、モブコ。
もう丸2日以上そんな感じじゃない」
(ゴロンゴロン)
「(ムクリッ)うーん…いや、まー。
そーなんだけどねー?」
3日前に調査クエストから戻ってきたけど
私達のパーティは今、小休暇中。
報告した調査内容が高評価だったらしく
ギルド側からの追加報酬もあって
懐具合にかなり余裕が出たから
私達は疲れを取るのと準備を兼ねて
5日ほど休暇を取ることになったのよね。
でも、今ライスが言ったみたいに
私は戻ってからの3日間のほとんど。
寝て、食べて、寝てを繰り返してる。
う~~~~~ん…体はともかく。
思った以上に気疲れしてたのかなあ…?
聞いた話だと、マイクさん達も同じ感じで
どっと疲れがでてるらしくって
屋台広場ですっごい疲れた顔して
もそもそ串肉頬張ってたんだよねえ。
(グウ~~~~~)
「気持ちが疲れてても、お腹は減るんだね」
「いや、モブコは疲れてなくても……」
何でだろ? 何が原因?
モンスターの巣穴に潜ったせいかな?
アリのモンスターも面倒だったけど
不意打ちや挟み撃ちを警戒して
潜ってる間、ずっと緊張してたし?
……あ……でも、やっぱり。
泊まりでってのが一番の原因かも…?
アルファさん達と行った時はライスも居たし
リマさん達も居て大半が女性だったもの。
サバミソ君は何かもうサバミソ君だし。
…アルファさんもロバートさんも
大人の男の人だけど、どっちかって言うと
孤児院の院長みたいな感じなのよね…。
何と言うか……保護者?
マイクさん達のPTには、何度か参加したけど
誰も気にしてなかった…と思う。
でも、さすがに同年代の男女PTだし
女の子は私だけで、泊まりこみとなると
やっぱ、少しはお互いに意識しちゃうよね。
…まあ、あっちはそう思ってなくて
こっちが意識してるだけなのは
わかってるはいるんだけどね。
だって、私みたいな髪の毛モコモコで…。
「そういえば、モブコの髪の毛って
かなり毛艶よくなってきたよねー?
昔はもっとくすんだ灰色で
触ってもボッフボフの固い感触だったし」
「へっ? いや、そんなこと……。
え? そうなの? ライス?」
「うん、自分じゃ見えないから
わからないかもしれないけどねー。
こう…柔らかそうなフワフワ?
色もかなり白っぽくなったし」
「ふ、フワフワかあ…」
う、うーん…今はお風呂も入れてるし?
髪洗う感覚が違ってきた自覚はあったけど
そんなに違うものなのかな?
昔からよく知ってるライスがそう言うなら
きっとそうなんだろうけど。
……ま、まあ、髪の毛はともかく。
ヒョロヒョロで貧相な体だものね。
女性的な魅力なんて欠片も……。
(ムニッ、ムニッ、ペタペタ)
「……ねえ、モブコ。
腕とか太もももそうだけど
結構、肉付いてきたんじゃない?」
「えっ!? 太ってる!?」
「んー? いや、太ってるとも違うかな?
前は痩せてたけど、こう…ムチッと。
肌の色も赤味が増して健康的?」
「そ、そうなんだ?
あはは…まあ、そうかも。
毎日ごはんがおいしくってつい…」
……う、うーん?
そっか、まあ、悪い事じゃないよね。
…あれ? …うん?
……………。
………え、え──っと。
今度から泊まりになりそうな場合は
参加しない方が良いのかな?
…な、なんて、ないない!
うん、自意識過剰ってやつよ、間違いない。
あはは! 自分で自分を笑っちゃうよ。
駆け出しの冒険者が何考えてるのかな。
ライスとは違って、地元に残るって事で
せっかくのアルファさんのお誘いも断って
今のパーティに入れてもらってるんだもん。
余計な事に気をまわしてないで
もっともっと頑張らないと!
「ま、いいじゃない!
ほら、もうご飯の時間だし
モブコもいつまでも寝てないで行こうよ。
先生達待たせるのも良くないし」
「う、うん! 行く行く!!
はあ…今日の朝ごはんも
きっと美味しいんだろなあ~~。
え、えへへ(ジュルリッ)」




