377 冒険者Aさんと答え合わせ ①
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あらすじ:拠点候補周辺の調査は一段落したようです。
視点:夜に色々教わっている ノブユキ・ムトウさん
『』:アルファさん
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《創世新暦1665年 前秋 第2週 木曜日》
◆宿屋【樫の木亭】部屋内◆
(ガチャッ)
「お師様、只今戻りました」
『お~、ありがと~な~』
「ああ、ユキさん。
今日もまたお疲れ様ですわ~」
「あれ? ユキくんってどっか出てたの?」
『わはは! ちゃうちゃう。
子供組を寝かせてきてもらったんや。
何かユキはやたら手馴れとるらしくて
あっちゅ~間に寝させてくるからな』
「へえ~~~! そうなんだ!
凄いね! ボクはそういうの苦手なんだよ。
…何でだろね!?」
「何でも何も…。
そりゃあ、騒がしいからに決まってるでしょ。
ヒゲモジャのワンコが騒いでちゃ
寝るに寝れませんわよ~」
「もう! ワンコじゃないって!!」
「あの…エッセンさん。
皆さん起きてしまいますので
もう少しお静かにお願いしますね?」
「あっ…うん、ごめんね、ユキくん。
あれ? そう言えば
何でサクちゃん達だけ別の部屋なの?
この間まで一緒に寝てたよね?」
「えっと、それは私がですね。
お師様に追加のご指導をお願い致しまして…」
「あ───。
そーいえば、そーだったね。
ユキくんって、心友の弟子だったんだよね。
何かそこのタヌキニャンより
ずっと従者っぽいから間違えちゃったよ」
「誰がタヌキニャンですか、誰が。
何で毎回ミケの名前が覚えられないんです?
本っ当ーに、頭、ドワーフしてますよね。
このロリーフは……」
『わはは、どっちもどっちやな~。
ま、サクも少しは慣れてきたっぽくてな…。
よーやく、飯を腹いっぱい
食ってくれるよーになってきたんやわ。
んで、寝るのも同じくって感じやな』
「ですわねー。
前は遠慮…と言うよりも怯えから来る物で
ずっと、緊張しっぱなしでしたもの…。
悲痛な心の声聞いてるミケの方が
むしろ辛かったぐらいですわよー」
「…それでも、ガッツリ聞いちゃうのが
ミ………タヌキニャンのえぐい所だよね。
【読心術】って、自分の意思で
聞いたり聞かなかったりできるんだろ?」
「ちょ、何で言い直したんです?
……まあ、【大妖狸】になる前はともかく。
今は一応、出来るっちゃできるんですけど。
正直ねえ…わざわざ対象絞るのって
すっごく面倒臭いんですよねー。
だからヤです」
「そっかー、面倒臭いのは嫌だよね」
「……」
まあ、ミケお姉様はそう仰いますが
実際は、お師様の為なのですよね?
ミケお姉様は、私の知る限りでも
お師様と会われるまでの長い年月。
人や人ならざる者達の様々な害意を
見て、聞いて感じてこられたはずです。
私以上にお師様をお慕いしておられる
ミケお姉様ですもの…。
お師様に対する周囲の害意は
絶対に見逃したくない事ですよね?
ですよね? ミケお姉様?
「……本当に、ユキさんって
ミケの苦手なタイプですわよね。
…ええ、ええ! その通りですわよ」
「(ニッコリ)ふふ…」
「『んんん???』」
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▽ ▽ ▽
▽
「そういえば、さっきの話ですけど。
本当、丁度良い機会でしたわよね?
サンもライスちゃんも…。
今は3人仲良く…ああ、忘れてましたわ。
あの鬼っ娘と、4人仲良く寝てますしね」
「ミケお姉様の仰る通りですね。
私ですと、元々里絡みの関係があったせいで
どう接しても、緊張してしまうでしょうしね。
残念では有りますけど…」
『わはは、そこは大丈夫やろ~。
どー見ても、俺よりユキの方が
懐かれとると思うで?』
「うん、そりゃそうだよ。
だって、心友はもうおっちゃんだもん。
サクちゃんだって、知らないおっちゃんより
綺麗なお兄ちゃんの方が気軽に近寄れるよ~」
『わははは、せやな!
そら、そーやな~~~。
俺やって、サクの立場やったらそー思うわ。
ホンマ、ウラちゃんもそうやけど
あの2人はええタイミングやったな~』
「………」
本当の所はどうなのでしょうね?
お師様の事ですし、そこまで考慮して…?
いえ…多分、そこは流石に偶然でしょう。
いけない、いけない。
以前、お師様にも注意されましたけど。
どうも私の場合、お師様への憧れが強い分
お師様への期待や信頼が過剰になり過ぎる…。
自分でも分かってはいるのですけど…ね?
どうにも……こればかりは…ふふ……。
「……うわぁ。
さすがのミケでも、うわぁ…」




