376 冒険者Aさんと野営中の調査隊 ④
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あらすじ:マイクさん達一行は無事に
拠点に戻ってこれたようです。
視点:食事も終えて一息つけた ケベックさん
『』:アルファさん
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《創世新暦1665年 前秋 第2週 木曜日》
◆拠点候補地 キャンプ場◆
「へ? あのキノコって
その辺で生えてたやつじゃねえの?」
「え? 違うよ?
アレはアルファさんが栽培してた分だよ?
確か【タマゴタケ】って名前だったと思う。
…あれ? 私言わなかったっけ?」
「いや、{採ってきた}としか聞いてねえ。
まあ…別にいいんだけどよ…。
実際、食いてえって訳じゃ無かったし。
食って大丈夫だってんなら、問題ねえ」
「あ……ごめん、ヤンキ。
僕はモブコから聞いてたんだけど
2人もてっきり聞いてると思ってて
言ってなかったな…あ、あはは」
「何だよ…聞いてたのか。
ま、いいけどよ──」
「あ、あはは…。
あれ? そういえばケベックさんは?」
「ああ、ケベックは今、テントだよ。
地図と併せて、報告する内容まとめてる。
焚き火だとどうしても暗いからね」
「あ──なるほど。
ランプとかの灯りじゃないと
書き物とか難しいですもんね。
…手伝わなくてよかったのかな」
「あー、大丈夫だって、モブコ。
任せといたら良いさ。
あいつ、そーいうの得意みたいだし」
「………へえ~(ニマー)」
「……んだよ? その生暖かい目は」
「え? いやいや~。
ヤンキさん、いっつもケベックさんに
割りと小言と言うか、愚痴ってますけど。
実は結構認めてるんだな~…って」
「ぷっ! は、ははは!」
「…そりゃ、俺だって認める所は認めるぜ?
書類関係とか知識に関しては特によ。
単に、普段は頼りねえってだけだ」
「んっふっふ~、そうなんだ~?」
「……ちっ」
(ザッザッザッ)
「おっ? 何々~!?
何か楽しそうだけど、どうしたの?」
「何でもねえよ!」
「はは…お疲れ様、ケベックさん」
「もう終わったのか? ケベック」
「まあね~」
何か知らないけど、僕が居ない間に
話が盛り上がってたっぽい?
ま、暗いよりは良いよね。
さて、それじゃ、まとめた内容を
パパッと話し合っちゃうか~!
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▽
「…で、この地図だとこの辺とここ」
(クルクルッ、トントントン)
「ん…なるほどな。
じゃあ範囲としてはそんなに広くないな」
「…それって、良かったって事だよね?」
「まあなー。
下手に道の反対側まで巣が広がってたら
討伐するのに相当やっかいだったからな。
何十人必要になるんだって話しだ…」
「だね」
結局、事前に聞いていた話と
僕達が今回調査した分から考えると
巣穴の分布はこの拠点から更に東側。
地上の穴の向きも、全部そっちからだった。
何で道の反対側の山側じゃなくて
海岸側に巣穴作ってたのかは知らないけど
こっちとしては範囲も狭いし
対処がし易すくなるからありがたい。
「まあ、何にせよ僕らの仕事はここまでだ。
アリの掃討は、多分別の人達だろうしね」
「えっ? そうなの? マイクさん」
「そりゃそうだろ、モブコ。
俺達、何だかんだ言っても
まだDランク冒険者なんだぜ?
案内とかぐらいだったら
参加させてくれるかもしれねえけどなー」
「あっ、そっか。
そりゃあ、そうですよね~」
「ま、そう言う事。
とにかく僕達は、無事にギルドへ戻って
調査結果を伝えれば良いのさ」
「そーそー。
この調査クエストって、指名な上に
実は結構、報酬大きいんだよ?
他の人達にもお仕事回さないとね~。
何事もほどほどが一番ってもんだよ。
うんうん!」
そう、僕達の場合は特にね~。
僕達って、結構アルファさんと話してるし
色々と教えてもらったりもしてるから
実は、ちょっと悪目立ちしてるんだよね。
ギルド職員の人達からは評価してもらえてるけど
アルファさんをよく知らない他の冒険者達からは
あまり良い目で見られてないんだよな…。
露骨に嫌がらせをされるほどじゃないけど
陰口は結構聞くんだよね~。
と言うか、多分アレって
わざと聞こえる様に言ってるよね。
……ま、良いんだけどね、別に。
くだらない事に無駄な時間使ってるな~
としか思えないんだよね、最近は特に。
…これって、アルファさんの影響かな?
嫌味とか全く意に介さないもんな、あの人。




