373 冒険者Aさんと調査報告書 ①
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あらすじ:港の防波堤と海岸工事にも
アルファさんが関わってたようです。
視点:冒険者ギルド 副ギルド長 マリ・ムトウさん
『』:アルファさん
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《創世新暦1665年 前秋 第2週 木曜日》
◆冒険者ギルド会館 会議室◆
(コンコンコン)
「おう…開いてるぜ~」
(ガチャッ)
「あら~お疲れ様です~、ブラボーさん」
「ああ、そちらこそな~」
(パラッ、パラッ)
「あらあら? 報告書ですか?
それは……あ~~~。
リッちゃん達のですか~」
「そういう事じゃ。
マリさんも読むかのう?」
(パサッ)
「あらあら~?
ではせっかくですし……(ヒョイッ)」
(パラッ、パラッ…)
「あらあら……まあまあ……」
「なっ? 大したもんだよなあ」
確かに…コレは大したものよね。
だって、この報告書って、どう見ても
リッちゃんが現地で書いた物よね?
裏にちょっと汚れとか付いちゃってるし…。
あはは、凄いわね、リッちゃん。
ギルドの資料にする時の必要事項とか
ほとんどギルドの書式で纏めてくれてるから
清書とか抜粋とかする必要ないもの…。
そのまま資料として使えちゃうわね。
…しかも、調べたのがアルファさん達か~。
なるほどね~~~。
その辺の必要事項知ってる
ベテランの冒険者が調査を行って
それを現役のベテランギルド職員が纏める。
それなら、ここまで完璧な報告書も
納得できるわよ、うんうん!
「ま…とりあえず、近場の森の生態系には
異変なしって事だな…」
(パサッ)
「そして、こっちがアルファの坊主からの
おまけの報告書だ…面白いぜい?」
「えっ? 面白?(ヒョイッ)」
(ペラリ…)
……ぷっ…、あはははは。
リッちゃんってば
サクちゃんのピンチに大慌てになって
とっさにスキル使って迎撃したら
木々をなぎ倒しちゃったとか~!?
もう~~~、全力出しすぎよ~~~!
……えっと? ある程度は修復して
資材や材料として使えるものを回収して
調査サンプルとして納品してるのね~。
そこはさすがにアルファさんね。
それなら、多少被害が出ていたとしても
名目があったとして処理できるから
リッちゃんに罰則出ないもの。
本当、抜け目無いわ~。
…まあ~、処理はそれでいいとして。
問題はリッちゃんの気持ち……あら~?
「くっくっくっく…のう?
本当、あやつ大したもんじゃよな~」
「あらあら~~~~ふふふっ…」
リッちゃんが気にしない様に
サクちゃん達で散々ほめて
その後は、楽器で楽しく演奏したのね。
う~~~~~ん、微笑ましいですね。
……そこまでは。
「まさか…その後で…のう。
リマの時以上の破壊をしちまったから
追加の資材はギルド裏の資材置き場に
こっそり置いとく…じゃと…」
「へえ~~? ふむふむ。
ミケちゃんとふざけ過ぎて
うっかりと大技を…ですか~?」
「「………」」
「嘘じゃな」
「嘘…でしょうね~」
どうせ、アレよね~。
騒ぎすぎて、ちょっと厄介そうなのが
寄ってきちゃったんでしょうね~。
それで偶然を装ってミケちゃんと…
う~~ん、直に見てないけど
結構派手な事したんでしょうね~。
リッちゃんの失敗が帳消しに……。
いえ、気にならなくなるくらいの
…事しちゃったんでしょうね。
「(クスクス)納得しましたわ~。
それでリッちゃんが帰ってきた時に
申し訳ない…だけじゃなく
呆れた様な顔してたのね~…ふふふっ」
「まー、今日の所は疲れとるじゃろーし
全員とっとと帰らせたがのう。
…アルファのやつもどこまで
わかってやっとるのかわからんしな。
ま、詳しくはまた明日でもいいじゃろ」
「ええ…そうですわね~」
アルファさんのは絶対わざとよね~。
さすがに長いお付き合いですし。
今まで何度もあったもの──。
……それにしても。
アルファさんもブラボーさんも
リッちゃんにはわざとだって
バレてないと思ってるみたいだけど
それはどうなのかしらね~?




