367 冒険者Aさんと楽器を選ぼう ②
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あらすじ:ガラス製の風鈴は好評だったようです。
視点:少しは演奏経験あり ライムグラスさん
『』:アルファさん
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《創世新暦1665年 前秋 第2週 木曜日》
◆町付近 南西の森◆
『まー、それはそーとして。
こっちの金属の風鈴はともかく
ガラスのは楽器やあらへんで?
当然、すぐ割れるしな!』
「ですよね…」
「まー、楽器は他にも用意してありますので
色々とお好きに試してみて下さいな」
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「太鼓は島にもあったで
おらでも叩けるずら~」
(ポコポコポコポコ♪)
「あははは! おもしろいでヤンスね!
ふったらシャンシャンでヤンス!」
(バタバタ、シャンシャンシャン♪)
「~~~あははっ!」
(タンタン♪ ピョイピョイ、タンタン♪)
ははっ、普段大人しいサクちゃんも楽しそう。
……あ───、何か孤児院思い出すなあ。
孤児院はいつも貧しかったから
ご飯はあんまり食べれなかったし
本だって字の勉強用のが少しあったぐらい?
だから、遊ぶ道具って全部手作りなんだよね。
院長さんがいくつか楽器作ってくれてからは
アタシ達も夢中になって作ったっけ。
…ま、拾ってきた木片並べただけの物で
カンカン叩いて騒いでたりとか
紐で結んだ石を打ち鳴らしたりもしたっけ?
アレって、石によって色んな音が出るんだよね。
う───ん…今思い出してみても
アレは楽器なんて呼べる代物じゃなかったけど
みんなでワイワイ騒ぐのは楽しかったかな。
「(ニヘニヘ)はあぁぁぁ、来て良かったわ~。
日々の疲れが吹き飛ぶわ~~~はふぅ…」
……うん、あっちは見なかった事にしよう。
リマさんも楽しそうでヨカッタナー。
「まー、至福のメガネさんの事は置いとくとして。
やっぱり、弾いたり吹いたりする楽器じゃなく
叩くだけとか振るだけの方が良さそうですわね。
ご主人様~?」
『わははは! せやな~。
1人で演奏するんやったらともかく
みんなで鳴らすんやから、単純な楽器でええ。
とにかく、楽しく騒ぐんが目的やしな~』
(チャッ、ベベン♪ ベンベンッ♪ ベンベン♪)
「わわっ? 先生、手際良い~~~!?」
「んだ、弾き慣れてるって感じがするっぺ」
「(キラキラ)ととさま、すごい!」
「……それにしても珍しい楽器ですね。
三弦なのに…革張りの三味線とも違っていて
胴は琵琶型ですし…お師様のお手製ですよね?」
「えっ? アルさんが作ったんですか? うおっ」
『(ケラケラ)わはは、せやで~~。
まー、木で彫って防腐剤塗っただけのもんやから
本職の人らみたいなええもんや無いけどな~。
弦の本数も単純に3本で柱も2つだけやし』
(カッ、ベベンベンッ♪)
うんん? {ゲン}とか{ハシラ}とか
よくわからないけど、十分凄いと思う……。
少なくとも、アタシ達が昔作った
楽器もどきとは全然違うのは確かだもん。
…本当、先生って料理だけじゃなくて
何でも作っちゃう人だよね……。
まあ……いつもの…毎回の事だし?
あはは──うん、いいかげん慣れてきたかな。
よし、気にしないでおこうっと。
でないと…{先生の弟子}って肩書きが
どんどん重くなってきちゃうしね。
あははは────はあ……。




